- 刀・鎧水戸駅前店2023/12/18
骨董品・美術品、遺品整理の高価買取
こんにちは。骨董品や古美術品の査定・買取を行っている買取専門店『くらや水戸駅前店』です。片付けで出てきた陶磁器や遺品整理で見つけた古い壺、処分に悩まれている方は一度プロの鑑定士に相談してみませんか?骨董古美術品の査定・鑑定なら、専門知識と買取経験を豊富に持つ鑑定士が在籍する『くらや水戸駅前店』に、是非お任せください。
先日、益子焼の人間国宝作家〈濱田庄司〉の柿釉壺をお買取しました。この柿釉壺は、1980年代に購入された作品だそうです。近頃生前整理を考えるようになり、ずっと大事にしてきた柿釉壺をご子息に譲ろうと声を掛けたところ、「価値も分からないし部屋に合わないから要らない」と言われてしまったのだとか…。
所謂バブル前には、有名作家の作品が飛ぶように売れていた時期がありました。人間国宝作家や文化勲章作家が手掛けたものをはじめ、陶芸、絵画、掛け軸などといった大小様々な作品が数多く流通していたのもこの時期です。
当時はちょっと名が知られている程度だった作家でも、現在では人間国宝に指定されるまでに上り詰めた人物もいます。
茨城県水戸市近郊では〈益子焼〉と〈笠間焼〉が数多く制作されており、ここから誕生した著名作家などは馴染みがあるという方も多いでしょう。そこで本日は、益子焼・笠間焼などといった陶器の買取についてお話ししていきたいと思います。
高評価が期待できる人間国宝や有名作家についても詳しくお伝えしますので、査定・買取を希望されている方、処分方法に悩まれている方は是非最後までお付き合いください。
益子焼(ましこやき)は、栃木県芳賀郡益子町周辺で制作されている陶器です。室町・鎌倉時代に築かれた文化財が残る益子町には、現在200軒以上の窯元が点在します。来るもの拒まずといった風土も手伝い、国内外から多くの陶芸家が集まっているようです。
益子焼の発祥は江戸時代末期頃と言われており、楽焼・萩焼・唐津などといった日本を代表する陶器に比べると歴史が浅いことが分かります。常陸国笠間藩(現 茨城県笠間市)で技術を習得した大塚啓三郎という人物が、益子町に開窯したことが益子焼の始まりと伝えられています。
手に馴染みやすいぽってりとした厚みと、醸し出す素朴な味わいは益子焼ならでは。土に鉄分が多く含まれるため焼き上がりは黒っぽく、その上から柿釉(かきゆう)や白釉をかけて仕上げるのが一般的です。柿釉とは鉄釉の一種で、茶褐色の釉薬を指します。
益子焼の名を全国区にしたのは、〈濱田庄司〉や〈島岡達三〉といった作家です。食器や花器などといった日用品が活発に制作されるようになり、益子焼は1979(昭和54)年に国の伝統的工芸品にも指定されました。
笠間焼(かさまやき)は、茨城県笠間市周辺で作られている陶器です。笠間の辺りは歴史の古い陶器の産地として有名で、日本三大稲荷のひとつである笠間稲荷神社の参拝土産として用いられてきました。
開窯は江戸時代中期頃のこと。笠間藩箱田村の名主であった久野半右衛門という人物が、信楽焼の陶工から教えを受けたことが笠間焼の始まりなのだそう。久野家を含む6つの窯元が笠間藩の御用窯に指定され、藩の保護のもと産業として発展していきました。
益子焼をはじめ、平清水焼(山形県)や小砂子焼(栃木県)などにも笠間焼の製陶法が受け継がれていると言われています。長い歴史を持つ笠間焼ですが、堅苦しい慣習がないのも特徴です。全国各地から新しい気風を求める陶芸家が集まり、現在も日用品や芸術品など多種多様に制作されています。
粘りのある細かい粒子の蛙目粘土(がいろめねんど)で作られる笠間焼。笠間で採れる粘土は花崗岩質で、鉄分を多く含みます。焼成後に褐色化するため、絵付けより釉薬による装飾技法が多用されることも大きな特色です。
笠間で陶器づくりを学んだ〈松井康成〉などは、後に人間国宝になっています。松井康成については、後ほど詳しくお話ししていきましょう。
益子焼の有名作家としては、先述の買取エピソードで登場した〈濱田庄司〉をはじめ、〈島岡達三〉〈加守田章二〉〈佐久間藤太郎〉などが挙げられます。笠間焼については、1993(平成5)年に重要無形文化財〈練上手〉保持者に指定された〈松井康成〉が代表的作家です。
二次流通の市場においても、これらの有名作家が手掛けた作品は大変需要が高く、高額査定が期待できるでしょう。
濱田庄司(はまだ しょうじ)は、昭和期に活躍した陶芸家です。1894(明治27)年、現在の神奈川県川崎市にて誕生。少年時代には画家を目指していたようですが、印象派のフランス人画家ルノワールの手記に工芸分野の発展へ期待を寄せる一文を発見し、自身も工芸作家を志すようになったと伝えられています。
東京高等工業学校(現 東京工業大学)窯業科に入学後は、陶芸家として初の文化勲章を受章した〈板谷波山〉に師事。卒業後は2年先輩であった〈河井寛次郎〉とともに釉薬の研究を行いました。柳宗悦、富本憲吉、バーナード・リーチらとも交友関係を持ち、日用雑器の中にこそ美を見出そうという民藝運動を興したことでも知られています。
1920(大正9)年にはイギリスへ帰国するバーナード・リーチに同行し、小さな海辺の町セントアイヴスに共同して築窯。ロンドンにて個展を開催した実績もあります。帰国後は壺屋窯(沖縄)などで学び、1930(昭和5)年以降は深い興味を持っていた栃木県益子町で作陶を続けました。
重要無形文化財〈民芸陶器〉保持者に認定されたのは、1955年(昭和30年)のこと。その後1964(昭和39)年には紫綬褒章を、1968(昭和43)年には文化勲章を受章しています。
濱田庄司といえば、やはり〈琉球赤絵〉でしょう。作陶のため度々訪れていた沖縄で出合った琉球赤絵をきっかけに、赤絵に取り組むようになったのだそうです。濱田庄司がつくり出す鮮やかな釉景色からは、柔らかな温かみを感じますよね。
作品の状態や付属品の有無にもよりますが、琉球赤絵の作品は高評価が期待できます。赤絵丸紋角瓶や赤絵丸紋急須などをはじめ、濱田庄司の作品の査定・買取は『くらや水戸駅前店』にお任せください。骨董品に精通するプロの鑑定士が、ひとつひとつ丁寧に査定します。
島岡達三(しまおか たつぞう)も益子に窯を築いた陶芸家のひとりです。1919(大正8)年の生まれで、現在の東京都港区愛宕出身。組紐師であった父のもとで育った島岡達三は、幼い頃からものづくりに関心を寄せていたそうです。
東京工業大学窯業科に入学後、濱田庄司の門戸を叩いた島岡達三は、手作業で行う民芸陶器づくりを学びました。益子町に住居と窯を設けたのち、東京で行われた個展で陶芸家としての名を上げ、その後は海外にも活躍の場を広げました。
1996(平成8)年、島岡達三は〈縄文象嵌〉と呼ばれる技術の保持者として人間国宝にも認定されています。作品に縄目を施し、色の違う土をはめ込むこの技法は、生家での組紐仕事の経験から着想を得たのだとか。縄文象嵌を用いて制作された作品は、力強く美しいと国内外で高い評価を得ています。
また、〈塩釉象嵌〉を用いた作品も大変有名です。塩釉は釉薬の代わりに塩を使う特殊な釉技。ドイツやフランスで陶器の強度を上げるために使われていた釉薬を、濱田庄司が日本の陶工として初めて導入し、これを島岡達三が継承したと言われています。
20世紀後半の日本陶芸界で、ひと際異才を放った陶芸家・加守田章二(かもだ しょうじ)。1933(昭和8)年大阪府岸和田市の生まれで、美術への興味と才覚を発揮したのは加守田章二が高校生の時分でした。
京都市立美術大学(現 京都市立芸術大学)へ進学後、人間国宝〈富本憲吉〉に師事。研鑽を積み、26歳のときに栃木県益子町に窯を借りて独立を果たします。
伝統的な作風からの脱却を試みていた加守田章二は、日本伝統工芸展への出品をやめ、岩手県遠野市で修行僧のように作陶に没頭したのだそうです。そして40歳の頃には陶芸家初となる芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。〈曲線彫文〉や〈彩陶〉などといった新境地を次々と開拓しました。
デザイン性が高く独創的な作品を作り続けていた加守田章二でしたが、残された作品の数はそう多くはありません。というのも、49歳という若さで病気の為夭逝してしまったからです。
加守田章二が得意としていたのは、〈象嵌技法〉です。象嵌技法を駆使して施された抽象文様が灰色の地肌に映え、シャープな印象を与えます。遠野で過ごした30代後半から40歳頃は、加守田章二の作陶人生のなかでも特に充実した時代であったと言えるでしょう。
加守田章二の作風は、若年の益子時代に制作された灰釉や鉄釉、土器風の作品と、晩年の遠野時代につくられた象嵌作品に大別されます。高評価が期待できるのは、晩年に制作された作品です。
人間国宝にこそ認定されていない作家ですが、短い作陶人生の中で生み出された作品は、現在の陶芸家たちにも多大な影響を与えています。
濱田庄司が教え、板谷波山が認めた陶芸家、佐久間藤太郎(さくま とうたろう)。1900(明治33)年生まれ、栃木県益子町出身。益子焼の窯元であった父の下で家業に励み、轆轤の技術で頭角を現しました。
一時、イギリスから帰国した濱田庄司が佐久間家に身を寄せて作陶を行っていたこともあり、佐久間藤太郎は濱田庄司に師事します。昼は家業をこなし、夜は濱田庄司と肩を並べて作陶に打ち込んでいたのだそうです。
人間国宝・板谷波山が主宰する東陶会の会員となった佐久間藤太郎は、その実力が買われ、頻繁に個展を開催するようになりました。展示販売では作品が飛ぶように売れ、その後59歳のときに栃木県文化功労章を、73歳のときには勲五等瑞宝章を受章。益子焼に新しい歴史を刻みました。
佐久間藤太郎は人間国宝作家ではありませんが、高評価が期待できる作家のひとりです。釉薬を自在に使い分け、筆で鉄絵を描き、刷毛目の作品も多く手掛けていた佐久間藤太郎の技術は息子や孫に伝承され、現在もなお守られ続けています。
松井康成(まつい こうせい)は、昭和から平成時代にかけて活躍した陶芸家です。1927(昭和2)年の生まれで、出身は長野県北佐久郡(現在 佐久市)。戦時中に茨城県笠間町へ疎開、その後明治大学文学部文学科を卒業しています。
練上手(ねりあげで)という陶芸用語があるのですが、あまり聞き慣れないという方も多いでしょう。〈練上手〉とは、複数の異なる色の土を煉り合わせ、これを捻る・伸ばす・練り込むなどして模様をつくり出す技法です。
表面に傷を入れ、その割れ目から下の粘土板の層が見えるようにする練上手は、素焼きしたものに釉薬で色付けをする一般的な陶器とは制作方法が全く異なります。煉り合わせる土の色をたくさん使うほど、焼きあげた際に割れてしまうことも多いため、練上手の作品は大変貴重です。
松井康成が練上手の技法で人間国宝に認定されたのは1993(平成5)年。作陶を始めてから30年以上が経った、66歳の時のことでした。
〈嘯裂文〉(しょうれつもん)なども松井康成の作風を代表する技法です。細かくひび割れた胎土の表面は、土というよりも毛織物のように見えます。とりわけピンク色をした練上嘯裂文壺などは有名且つ希少です。
益子焼や笠間焼などといった陶器は、作家が誰であるかということはもちろん、作品の大きさや用いられている技法によっても評価が大きく変わります。また、自筆のサインと落款が押されている共箱など、付属品の有無も鑑定士が確認する重要なポイントです。査定の際には忘れずにお持ちください。
今回は、栃木県の〈益子焼〉と茨城県の〈笠間焼〉にスポットを当て、人間国宝や有名作家を中心にご紹介しました。もちろん陶芸だけでなく、書画、漆芸、金工の分野においても有名作家が手掛けた作品は高評価・高価買取が期待できるでしょう。
実家の片付けで出てきた陶器、代々受け継がれてきた壺には、実は思わぬ価値が潜んでいるかもしれません。「ちょっと価値が気になってきた」という方は、処分してしまう前に一度査定だけでもしてみませんか?
骨董品など一見して価値の分かりづらいものは、一般的な買取店やリサイクルショップでは安く買いたたかれてしまうことも。査定に出す店・鑑定士選びには十分拘りたいものです。「過去に査定を断られてしまった」「査定額に納得できず売却しなかった」という方も、是非買取専門店『くらや水戸駅前店』にご相談ください。
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