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日暮里店
2023/10/12

東京都荒川区 骨董品の買取|鼻煙壺|コレクターを魅了する掌サイズの美術品

6:00 am

はじめに

皆さんこんにちは。東京都荒川区周辺で骨董品・古美術品の査定・買取を行っている買取専門店『くらや日暮里店』です。当店は〈出張買取〉にも対応しております。遺品整理で価値の分からないものを見つけてお困りの方、骨董品のコレクションを整理したいという方は、是非一度『くらや日暮里店』にご相談ください。

 

本日ご紹介するのは、唐物の〈鼻煙壺〉です。〈ビエンコ〉と読むのですが、耳慣れない方も多いでしょう。これは嗅ぎたばこを嗜む際に使う道具で、中に粉末状にしたタバコの葉を入れて持ち歩けるようになっています。

 

「祖父の遺品整理をしていたら、古くて価値の分からないものがたくさん出てきてしまったんです。大切にしていたものだし、処分する以外にも何か良い方法はないかと思って…」と、荒川区にお住いの40代男性のお客様よりご相談を受けたのは、つい先日のことでした。

 

御祖父様のご自宅は既に解体することが決まっているのだそうで、「片付けが追い付かなくて困っている。値が付くものはできるだけ買取ってほしい」とのご要望があり、後日当店の鑑定士が出張買取でお伺いすることになりました。

 

所謂〈唐物〉がお好きで、中国の美術工芸品を多く集めていたという御祖父様。部屋や物置の中には、木箱に入った陶磁器から雑多に置かれた書画まで、様々なお品が遺されていました。

 

鑑定士がひとつひとつ丁寧に査定を行っていたところ、別室で片付けをされていたお客様が「これは何でしょうか…?」と小さな筒状の瓶を持って来られました。コーラルが美しい珊瑚の表面には、鳳凰図が細密に彫り込まれています。

 

「これは嗅ぎたばこの道具で、鼻煙壺というものです。保存容器みたいなもので、蓋に付いているこの匙で粉にしたタバコの葉を掬って使うんですよ。」と鑑定士が説明すると、初めて聞く〈鼻煙壺〉という用語にお客様も興味を持たれたようでした。

 

骨董品など古い時代の作品は、価値はおろか「一体何に使うものだろう?」と疑問に思われる方も多いはず。『くらや日暮里店』では、買取の際にただ査定額をお伝えするだけでなく、その骨董品が持つ歴史的背景や豆知識なども出来得る限りご説明しております。

 

「ちゃんと価値を分かってくれる人に見てもらえて、おじいちゃんもきっと喜んでくれているはず」と、お出しした査定額にも大変ご納得されたご様子で、鼻煙壺を含めた数点の骨董品・美術品を快くご売却いただけました。

 

さて、今回は〈骨董品の買取〉についてのお話です。買取エピソードに登場した〈鼻煙壺〉の話を中心に、骨董品の買取における高評価ポイントなども併せてお伝えしていきたいと思います。遺品整理や生前整理でご売却を検討されている骨董品・古美術品をお持ちの方は、是非最後までお付き合いください。

タバコと鼻煙壺

鼻煙壺とは、という話をする前に、まずは〈煙草〉の起源についてお話ししていきましょう。昨今は喫煙できる場所もどんどんと減っていく一方ですが、愛煙家は現在もなお世界中に存在します。

 

〈タバコ〉はアメリカ大陸に起源を発している、ナス科の植物。元々は祭事や占い、医療などに利用されていたようですが、次第に嗜好品として普及していったと考えられています。ジャガイモやトウモロコシ等と同様、タバコはアメリカからヨーロッパへと伝わり、その後世界に広がっていきました。

 

葉を燃して煙を吸う〈喫煙〉、口内で噛む〈噛みたばこ〉、粉にして鼻につける〈嗅ぎたばこ〉と、タバコの葉を加工して利用する方法は3種類あります。最も広い地域で慣習化されたのは〈喫煙〉で、〈噛みたばこ〉〈嗅ぎたばこ〉は比較的限定的な地域で親しまれていました。

 

タバコとその種がヨーロッパへ渡ったのは16世紀半ば頃のこと。17~18世紀頃のヨーロッパでは、嗅ぎたばこが大流行したそうです。その後アジア地域に広まり、日本へは1601(慶長6)年にスペインの宣教師よりタバコの種がもたらされた、という記録が残っています。

嗅ぎたばことは

〈嗅ぎたばこ〉は、日本で多く見る紙巻たばこよりも遥かに長い歴史を持ちます。タバコの原産地であるアメリカ大陸では、ハーブや野草などを粉にして吸う習慣もあるようです。

 

ヨーロッパにおける煙草の人気は大変なもので、伝来から間もない1614年にはスペインに嗅ぎたばこの製造工場がつくられました。時のフランス王妃へはタバコの葉が薬草として献上され、頭痛薬や気付け薬として用いられたのだそうです。

 

フランスにタバコをもたらしたのは、外交官であった〈ジャン・ニコ〉という人物。勘のいい方ならすぐにお気づきかと思いますが、〈ニコチン〉はジャン・ニコの名をもじってつくられた言葉なのだとか。

 

フランスの宮廷では嗅ぎたばこが流行し、17世紀に入ると一般庶民にもこの習慣が広がっていきました。ルイ13世やナポレオン、マリー・アントワネットなどは、嗅ぎたばこの愛用者として大変有名です。

 

嗅ぎたばこの種類には、大きく分けて〈ドライスナッフ〉と〈モイスティスナッフ〉の二種類があります。ドライスナッフはタバコの葉を乾燥させて粉末にしたもので、モイスティスナッフはタバコの葉に水やエキスを加えて湿らせたものを指します。

 

嗅ぎたばこには、ひとつまみほどのスナッフを手の甲に置き、それを親指と人差し指で挟んで鼻腔内にすり込む方法と、鼻をつまんで嗅ぎ込む方法があります。鼻腔内から直接ニコチンを摂取するため、すぐに効果が現れるのも特徴です。

 

最近では喫煙に対する健康への懸念から、喫煙の代替品として嗅ぎたばこを使用する人が増えている…なんて話も聞きますが、鼻煙壺が嗅ぎたばこという本来の用途で使われることは滅多にないでしょう。一部の国や地域では、嗅ぎたばこの販売や使用が規制されている場合もあります。

鼻煙壺の歴史

タバコの葉を粉末状にして鼻腔に吸い込み、その香りと刺激を楽しむ嗅ぎたばこ。嗅ぎたばこの習慣がヨーロッパから中国に伝わったのは17世紀半ば頃のことで、その後清朝の宮廷で大流行をみせました。

 

嗅ぎたばこの伝来当初は、タバコを入れておく容器にヨーロッパ式の箱形のものが使われていたそうです。ところがこの保管方法は湿潤なアジアの気候に合わず、薬などを入れるのに用いていた密封度の高いガラスの小瓶が代用されるようになりました。

 

この小瓶が中国独自に進化していったものが、〈鼻煙壺〉です。清の時代には芸術性が競われるようになり、北京の宮廷内には鼻煙壺専門の工房もあったのだとか。皇帝専用の鼻煙壺は、民間のそれと区別するため〈官僚鼻煙壺〉などと呼ばれていました。

 

高さは大きいものでも10cm程度で、金・銀・陶器・水晶・ガラス・琥珀・珊瑚・翡翠・瑪瑙など、様々な種類があるのも特徴です。彫刻や絵で表面が装飾されたものも多く、鼻煙壺の中には粉にしたタバコの葉を掬うための匙がついています。

 

小さな容器であること、身近な愛玩品であったこと、また美術品としても高く評価される鼻煙壺はコレクターも多く、二次流通の市場において高値で取引されることが多くあります。

6:00 am

鼻煙壺の内画技法

先にも記述した通り、鼻煙壺には金属や陶器、珊瑚、翡翠など様々な素材が使われますが、多用されるのは無地のガラス・水晶・琥珀です。冒頭の買取エピソードで登場した珊瑚の鼻煙壺などは表面に装飾が施されますが、ガラスや水晶には〈内画〉と呼ばれる技法が用いられます。

 

内画技法は、その名の通り瓶などの内側に絵や文字を入れていく方法です。裏画・内絵などとも言われます。掌に収まってしまうほどの鼻煙壺ですが、その内側に絵や字をかくというのは如何に高度な技術が必要であるか、皆さんにもきっとお分かりいただけるでしょう。

 

一般的に絵を描く筆というものは真っ直ぐな形状をしていますが、内画技法を施す際には先端が直角に曲がっている特殊な筆を使用します。小さな鼻煙壺の狭い入口に、耳かきの様な細い筆を差し込むというだけでも大変な作業ですよね…。

 

実際に鼻煙壺を見る機会があったら、内側から描き込まれた絵にも是非注目してみてください。内画技法による鼻煙壺の制作過程は、動画などでも見ることができます。

鼻煙壺は何でできている?

鼻煙壺はガラス、水晶、陶器、金属など様々な素材を加工してつくられます。冒頭に登場した唐物の鼻煙壺のように、珊瑚、翡翠、瑪瑙など希少な素材が用いられることもあれば、石や木などごく身近なものが使われることも珍しくありません。

珊瑚

〈珊瑚〉は、海洋生物が形成する堅い骨格から成る貴重な有機物。見た目からは分かりにくいですが、珊瑚は植物ではなく動物です。美しい模様や色合いを持つことから、宝石や装飾品、工芸品など多くの分野で用いられます。

 

イソギンチャクの一種である珊瑚は、長い時間を掛けて海中で成長していきます。そのため自然界での産出は限られており、希少性が高いとされているのです。高品質で大きな珊瑚は滅多にお目に掛かれません。

 

日本では古くから根付や簪などにも使用されており、古い時代につくられた作品などは骨董価値が高く評価される傾向にあります。中国では〈血赤珊瑚〉〈赤珊瑚〉の人気が非常に高く、縁起の良いものとして捉えられているのだとか。

翡翠

古代中国から宝石として珍重されてきた〈翡翠〉。緑、白、黄、赤、紫などの色がありますが、最も価値が高いとされているのは〈緑色〉の翡翠です。透明感のある濃い緑色の翡翠は、最高級品として取引されることが多くあります。

 

翡翠の価値を左右する要素は、透明度や内包物の有無、加工の状態などです。産地も重要で、特にミャンマー産の翡翠などは高評価となる傾向にあります。

 

中国において翡翠は〈美玉〉として重要視されており、古くから大変重宝されてきたようです。エジプトや中南米においても、翡翠の美しさや希少性は高く評価されています。

瑪瑙(めのう)

〈瑪瑙〉は半貴石の一種です。半貴石とは、貴石ほどではないけれど装飾などに使える天然石を指します。瑪瑙のほか、アメジストやラピスラズリ、トルコ石なども半貴石です。高値で取引される貴石と比べると希少性や永遠性が劣るため、比較的安価で手に入ります。

 

美しい模様と多彩な色合いは、瑪瑙ならではの見どころ。瑪瑙の模様は、しばしば縞模様・斑点模様・雲模様などと表現されますが、これらは地層の異なる鉱物成分が蓄積することで形成されます。

 

硬い鉱物である瑪瑙は精緻な彫刻に適しており、鼻煙壺をはじめとした骨董品の素材に使われることが多くあります。

鼻煙壺の高評価ポイントは?

6:00 am

骨董品の多くは〈作家〉が重要視されますが、鼻煙壺に関しては高評価が期待できる特定の人物はいません。材質についても「これなら高い!」というものはありません。では、プロの鑑定士はどの様なポイントを見ているのでしょうか?

 

その答えは、〈彫り〉や〈出来栄え〉といった非常に抽象的なものです。素材の表面に緻密な彫刻が施されている鼻煙壺や、絵や字が精巧に描き込まれている作品などは高評価が期待できるでしょう。

 

また、これは骨董品全般にも共通して言えることですが、古い時代のものほど歴史的価値が評価され高値で取引される傾向にあります。中国の清朝時代などは顕著で、職人達がその技を競ったことから美術性に富んだ鼻煙壺が多く生み出されています。

 

遺品整理や片付けで掌サイズの小瓶を見つけたら、まずは蓋の中に匙がついているか確認してみてください。匙がついていれば鼻煙壺である可能性が高いです。「古そうだけど、綺麗な細工の小さな壺を見つけた」という方は、一度『くらや日暮里店』で査定してみませんか?

おわりに

『くらや日暮里店』は、骨董品や古美術品の査定・買取を得意とする〈買取専門店〉です。査定鑑定にあたるのは、専門の知識を持ったプロの鑑定士。多くの本物に触れ培った確かな鑑定眼で、ひとつひとつ丁寧に査定し高価買取いたします。

 

「遺品整理で価値が分からない壺を見つけた」「コレクションしてきた大切な骨董品を整理したい」という方はもちろん、「他店での査定額に納得がいかなかった」「売るかどうかは悩んでいるから、まずは査定だけ…」という方もお気軽にご利用ください。

 

店頭でのお買取はもちろん、「骨董品以外にも査定してほしいものがたくさんある」という方へは〈出張買取〉もお勧めしております。当店の出張買取はリピーターの方も多くおられ、日程の調整次第では迅速に対応することも可能です。まずはお電話にてお問い合わせください。

 

査定・相談・出張費用は全て無料です。お客様のご来店・お電話を、心よりお待ちしております。

 

 

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