
もくじ
「父の遺品整理を進めているのですが、骨董品や掛軸、古い道具などがいろいろ残っています。一度見に来てもらえませんか。」
今回ご紹介するのは、西条市にお住まいのお客様からいただいた、遺品整理に伴う出張買取のご相談です。
愛媛県松山市のイオンスタイル松山3階にある買取専門店 くらや 松山店では、勲章をはじめ、古銭、記念メダル、軍装品、掛軸、茶道具、陶磁器、骨董品、美術品など、幅広いジャンルの店頭買取・出張買取を行っております。
近年は、ご実家の片付けや遺品整理をきっかけに、「何が残っているのか分からないので見てほしい」「まとめて整理したい」といったご相談をいただく機会が増えています。実際にお伺いすると、お客様が価値があると思っておらず、処分しようと思っているものの中に買取できるものが見つかることがよくあります。
今回も、ご依頼いただいた骨董品や掛軸などを拝見していると、床の間近くに額へ入れて飾られた勲章が目に留まりました。お客様へお尋ねすると、
「父がいただいたものだと思うのですが、飾ったままになっていて、これも見てもらえるものなんですか。」
とのことでした。
勲章は、国から功績を認められた方へ授与されるものですが、遺品整理の際には「買取の対象になるとは思わなかった」とお話しされる方も多くいらっしゃいます。一方で、勲章はコレクターの方々からの需要もあり、コレクションアイテムとして取引されている分野でもあります。種類や等級、付属品の有無、保存状態などによって評価は異なりますが、中には想像以上の査定額になる勲章も存在します。そのため、「記念品だから」と処分してしまう前に、一度ご相談いただくことをおすすめしております。
次章では、日本の勲章制度の変遷と、戦前・戦後・2003年(平成15年)の栄典制度改正後における代表的な勲章についてご紹介いたします。
日本の勲章制度は、明治時代に近代国家としての制度を整える中で創設されました。西洋諸国の栄典制度を参考に整備が進められ、1875年(明治8年)に旭日章が制定されたことが、日本の勲章制度の始まりとされています。翌年には菊花章、その後も瑞宝章や宝冠章などが制定され、現在の勲章制度の基礎が築かれました。
戦前には、国家や社会への功績だけでなく、軍人の武功をたたえる勲章も設けられており、現在とは異なる制度で運用されていました。
■ 大勲位菊花章(1876年・明治9年制定)
大勲位菊花章は、日本の勲章の中で最高位に位置付けられる勲章です。国家に対して極めて顕著な功績を残した方へ授与されるもので、現在でも日本最高位の勲章として位置付けられています。
■ 旭日章(1875年・明治8年制定)
旭日章は、日本で最初に制定された勲章です。太陽の光が四方へ広がる様子を表した意匠が特徴で、国家や公共に対し顕著な功績を挙げた方へ授与されました。現在も名称や制度を引き継ぎながら授与が続けられています。
■ 瑞宝章(1888年・明治21年制定)
瑞宝章は、1888年(明治21年)に制定されました。長年にわたり公務や教育、医療、警察、消防など公共性の高い分野で誠実に職務へ従事し、功績を積み重ねた方へ授与される勲章です。
遺品整理で見つかる勲章の中でも特にご相談の多い種類の一つであり、額装された状態でご自宅に飾られているケースも少なくありません。
■ 宝冠章(1888年・明治21年制定)
宝冠章は、瑞宝章と同じ1888年に制定された勲章です。戦前は主に女性に対して授与されていましたが、2003年(平成15年)の栄典制度改正以降は、主に外国人女性へ授与される勲章として位置付けられています。
■ 金鵄勲章(1890年・明治23年制定)
金鵄勲章は、軍人の武功をたたえるために制定された勲章です。戦場における功績に応じて授与されるもので、陸軍・海軍の軍人にとって大変名誉ある勲章とされていました。
しかし、第二次世界大戦後に制度が廃止されたため、現在では新たに授与されることはありません。そのため、遺品整理で見つかった金鵄勲章は、戦前の歴史を伝える貴重な資料としても知られています。
■ 文化勲章(1937年・昭和12年制定)
文化勲章は、1937年(昭和12年)に制定された勲章です。学術や芸術、文学、科学など、日本の文化の発展に特に優れた功績を残した方へ授与されます。
ノーベル賞受賞者や著名な芸術家などが受章することでも知られており、現在も毎年文化の日に親授式が行われています。
このように、戦前の日本ではさまざまな功績に応じて多くの勲章が制定されていました。しかし、第二次世界大戦後には勲章制度そのものが大きく見直され、戦前とは異なる制度へと移行していきます。
次章では、戦後の勲章制度がどのように変化し、現在の制度につながっていったのかについてご紹介いたします。
第二次世界大戦の終戦後、日本の勲章制度は大きな転換期を迎えました。
1946年(昭和21年)、連合国軍総司令部(GHQ)の占領政策の影響により、生存者に対する叙勲は停止され、軍功を対象としていた金鵄勲章も廃止されました。そのため、戦前まで運用されていた勲章制度は大きく見直されることとなります。
その後、日本の復興が進む中で、社会や国家へ長年貢献した方々の功績を顕彰する制度の必要性が改めて見直され、1963年(昭和38年)には生存者叙勲の再開が閣議決定されました。そして翌1964年(昭和39年)から春秋叙勲が実施され、現在まで続く勲章制度の基礎が築かれています。
戦後の勲章制度では、軍事的な功績よりも、公務や教育、医療、福祉、産業、地方自治、消防、警察、自衛隊など、社会や公共への長年の貢献が重視されるようになりました。そのため、遺品整理で見つかる勲章も、こうした分野で功績を残された方へ授与されたものが多く見られます。
戦後に主に授与されていた勲章には、次のようなものがあります。
■ 大勲位菊花章
戦前から引き続き、日本最高位の勲章として位置付けられています。国家に対して特に顕著な功績を残した方へ授与される勲章であり、授与される機会は極めて限られています。
■ 勲一等旭日桐花大綬章
国家や公共に対して特に大きな功績を残した方へ授与された勲章です。旭日章の最上位に位置付けられていましたが、2003年(平成15年)の栄典制度改正により、現在の「桐花大綬章」として独立しました。
■ 旭日章
戦後も引き続き授与された代表的な勲章です。地方自治や産業、文化、教育など、幅広い分野で社会へ大きく貢献した方が対象となり、多くの受章者を輩出してきました。
■ 瑞宝章
長年にわたり公務へ誠実に従事し、社会へ貢献した方へ授与される勲章です。教員や警察官、消防職員、自衛官、公務員、医療従事者など、公共性の高い職業の方が受章されることも多く、遺品整理のご相談でも比較的目にする機会の多い勲章です。
■ 文化勲章
文化勲章は戦前に制定された勲章ですが、戦後も引き続き授与が続けられています。学術や芸術、文学、科学など、日本文化の発展に大きく貢献した方へ授与される勲章として現在も高い権威を持っています。
このように、戦後の勲章制度は「武功をたたえる制度」から、「社会や公共への長年の功績をたたえる制度」へと大きく姿を変えました。
そして2003年(平成15年)には、さらに制度全体が見直され、現在の勲章制度へとつながる大きな改正が行われます。
次章では、2003年(平成15年)の栄典制度改正によって何が変わり、現在はどのような勲章が授与されているのかについてご紹介いたします。
2003年(平成15年)、日本の勲章制度は約40年ぶりとなる大きな見直しが行われました。社会の変化や価値観の多様化に対応するため、勲章の種類や授与基準が整理され、現在の制度へと改められています。
主な改正内容は次のとおりです。
この改正により、勲章はより分かりやすい制度となり、現在も春と秋の叙勲を中心に授与が行われています。
現在の主な勲章をご紹介いたします。
■ 菊花章
日本最高位の勲章であり、国家に対して極めて顕著な功績を残した方へ授与されます。授与対象は限られており、日本を代表する栄典として位置付けられています。
■ 桐花大綬章
2003年の制度改正により、旭日章から独立した勲章です。国家や公共に対して特に大きな功績を残した方へ授与され、現在では菊花章に次ぐ位置付けとなっています。
■ 旭日章
社会のさまざまな分野で顕著な功績を挙げた方へ授与される勲章です。地方自治や産業、教育、文化など幅広い分野が対象となり、制度改正後は男女を問わず授与されています。
■ 瑞宝章
長年にわたり職務へ誠実に従事し、社会へ貢献した方へ授与される勲章です。公務員をはじめ、教育、医療、警察、消防、自衛隊など、多くの分野で功績を残された方が受章されています。
■ 宝冠章
現在は主に外国人女性へ授与される勲章です。外交や国際交流など、日本との友好関係の発展に貢献した方へ授与されています。
■ 文化勲章
文化勲章は現在も授与が続けられており、学術や芸術、文学、科学など、日本の文化の発展に著しい功績を残した方へ授与されます。文化の日に親授式が行われることでも広く知られています。
勲章は、授与された年代や制度によって種類や意匠、付属品が異なります。また、勲章本体だけでなく、勲記や略綬、ケースなどがそろっているかどうかも評価のポイントとなります。
次章では、西条市へ出張買取でお伺いした際の、買取エピソードをご紹介します。
額に飾られていた勲章を拝見すると、それは瑞宝章でした。
瑞宝章は、公務員や教育、医療、警察、消防など、長年にわたり公共性の高い分野で功績を重ねられた方へ授与される勲章です。そのため私は、
「お父様は、学校の先生や公務員など、公共性の高いお仕事に就かれていたのでしょうか。」
とお尋ねしました。
すると、お客様は少し驚かれたご様子で、
「そうなんです。父は長年学校の先生をしていました。退職した後にこれをいただいたと聞いています。」
とお話しくださいました。
さらに詳しく確認すると、勲章本体のほか、勲記や略綬、ケースも大切に保管されており、保存状態も良好でした。
勲章も買取の対象になることをご説明すると、お客様は、
「そうなんですね。実は父が趣味で集めていた勲章や記念章も押し入れに残っているのですが、そういったものも見てもらえますか。」
とのことでした。
ご案内いただいた押し入れを確認すると、そこにはお父様が長年にわたり収集されていた勲章や記念章、記念メダルなどが大切に保管されていました。
一点ずつ種類や保存状態を確認し、それぞれの特徴や評価のポイントをご説明しながら拝見いたしました。
お客様は、
「父がもらった勲章だけでなく、集めていたものまで見てもらえるとは思っていませんでした。」
と驚かれつつも、とても喜んでいただきました。
今回は、ご依頼いただいた骨董品や掛軸、お父様が受章された瑞宝章、お父様が趣味で収集されていた勲章コレクションまで、一点ずつ種類や保存状態を確認し、それぞれの査定内容をご説明いたしました。
お客様にも内容をご理解いただき、「父が大切にしていたものなので、一つひとつ丁寧に見てもらえて安心しました。」とのお言葉をいただき、すべてご成約となりました。
遺品整理では、受章された勲章と趣味で収集されていた勲章や記念章が一緒に保管されていることも珍しくありません。また、骨董品や掛軸など、さまざまなものが一緒に見つかるケースも多くあります。
買取専門店 くらや 松山店では、勲章をはじめ、記念章、記念メダル、軍装品、掛軸、骨董品、美術品など幅広いジャンルの買取に対応しております。ご実家の片付けや遺品整理で気になるものがございましたら、お気軽にご相談ください。
今回のブログでは、日本の勲章制度の歴史について、戦前の勲章、戦後の勲章制度、そして2003年の栄典制度改正後の勲章制度をご紹介いたしました。
勲章には、それぞれ制定された時代や授与の目的があり、その背景を知ることで、お手元にある勲章がどのような意味を持つものなのかを知ることができます。また、勲章本体だけでなく、勲記や略綬、ケースなどの付属品も評価の対象となるため、遺品整理やご実家の片付けの際には、まとめてご相談いただくことをおすすめしております。
今回はご紹介できませんでしたが、勲章以外にも、記章や記念章、旧日本軍に関する徽章や軍装品など、さまざまなコレクションが存在します。それぞれ歴史や特徴、評価のポイントが異なり、コレクターからの需要があるものも数多く存在します。これらについては、別の機会にご紹介します。
買取専門店 くらや 松山店では、勲章をはじめ、記章、記念章、軍装品、古銭、骨董品、美術品、掛軸など、幅広いジャンルの店頭買取・出張買取を行っております。ご実家の片付けや遺品整理で気になるものがございましたら、お気軽にご相談ください。