橘天敬とは【日本画家/作品/評価】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

橘天敬は1906年に生まれ、福岡県で育ちました。幼少期から絵に興味を持ち学んでおり、10代中頃の頃には上京。翌年、東京美術学校に進学しています。在学中には多くの芸術家たちと交流を深めましたが、一方で関東大震災で被災し、またその惨状を目の当たりにしたことは橘天敬にとって大きな衝撃となりました。これがきっかけで仏画を学び始めたと言われています。

以降は仏教美術について学びを深め、観念寺の為の如来像を制作。1933年には欧州やアジア、ヨーロッパなど各国を巡り、タイ国立博物館での個展を成功させるなど画家としての腕を磨いていきました。

日本国内でも、1935年に文部省美術展覧会から招待され、翌年には新構造社の会員となるなど名を広めていきます。その後1940年には花鳥や仏など様々な題材を描いた日本画家の川口春波と共に、日本の美術を海外にアピールするきっかけとするため日東美術院を設立。指揮の立場を務めました。

また、40代の頃にはそれまで使っていた画家名を、園部香峰や橘香果から橘天敬に変更。障壁画を数多く描くようになります。1952年には代表作の『富岳雲海之図』を発表し、この間にも世界各地で個展を開催しました。

このようにして世界的にも高い評価を得ていった橘天敬は、1960年にはメキシコ政府からの招待でメキシコ国立美術館内で展覧会を開催し、以降も1970年の『風神雷神図』。1975年の『和楽之図』など多くの作品を手掛け、この内『風神雷神之図』は尾形光琳や俵屋宗達に次ぎ、アメリカのスミソニアン博物館に収蔵されるという大きな功績を遺しています。また制作活動に並行して、1966年には西テキサス州立大学芸術学部名誉教授にも任命されるなど、後進の指導にも携わりました。

晩年まで制作活動や個展は続きましたが、1984年、77歳で息を引き取っています。

橘天敬の作品は下絵は描かずに金箔や岩絵の具で直接作品を描き、みなぎる生命力を表現しているのが特徴です。圧倒的な技術力で日本に古くからある美術の歴史に則り、大胆ながらも美しく、また繊細さも兼ね備えています。

ですがあくまで自由なタッチで描く事をモットーとしており、それらは1961年発表の『牡丹の図』や1970年の『四方の海』に強く現れています。

このような橘天敬の作風は活動中から海外で強く支持されていました。ここまで取り上げた以外では60代の頃にアメリカのバンハンドル・ブレンズ歴史博物館にて障壁画展を発表。1977年にはパリ市から芸術功労賞を授かるなどしています。

実際に橘天敬は海外の多くの人に見てもらえるように活動しているのが日東美術院の設立で伺い知れるのですが、それに付随して第1回展で『立正安国』を発表しました。

なおこれだけ海外にも及んで活動しているのが知られているにも関わらず、橘天敬が学んだ経歴は現時点で殆ど判明されていないと言われています。

代表作

1933年発表の『メナムの黎明』(タイ国立博物館が所蔵。)

1970年発表の『清生楽々天地乃間』(テキサス州歴史博物館が所蔵。)

1975年発表の『和楽之図』(大英博物館が所蔵)。

などあります。

■如来

釈迦の悟りの境地を開いた姿でインド貴族が由来です。

仏の中で最高の位とされており、様々な如来が仏教の違いによって誕生し、如来がその総合の呼び方となり、仏法や宇宙の真理を現すものともなりました。

■川口春波

日東美術院の他に、青龍社や明朗美術連盟に参加したりしています。

団体を抜け出し無所属で活動している事が知られており、1940年に紀元前元2600年奉祝日本画展での『春光賦曲』が外務省購入となっています。