坪内逍遙とは【代表作/歌舞伎/小説神髄/功績】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

坪内逍遙（本名は坪内勇蔵）は、1859年に岐阜県加茂郡で生まれました。父は代官所に務めており、坪内逍遙は比較的裕福な環境で育ったと言われています。

幼い頃から読み書きや漢学を習い、また母の影響から歌舞伎や戯作、和歌など、文学や芸術にも強く興味を持っていきました。その後、愛知英語学校での英語学習を経て、19歳の頃に東京大学文学部に進学。この間には西洋文学についても学び、のちに政治学者となる高田早苗と知り合ったことで詩や西洋小説にも没頭しています。これがきっかけともなり、坪内逍遙は学生時代から「橘顕三」の号を使用して西洋文学の翻訳版を出版するなどし、同校を卒業後は早稲田大学の前身でもある東京専門学校の教壇に立つこととなりました。

以降はシェイクスピアの作品を筆頭として、数々の翻訳書を発表。また1885年に発表した自身の文学論をまとめた『小説神髄』は、国内の近代文学に大きな影響を及ぼした作品として知られています。同年には小説『当世書生気質』で好評を得て、近代文学界の話題を集めました。

30代になると東京専門学校内で文科が新しく設置されるのに伴い、文芸雑誌『早稲田文学』を発表。続いて戯曲作品として『桐一葉』や『牧の方』といった新歌舞伎の作品を手掛けています。1906年には演劇団体でありながらも美術や音楽、宗教など芸術関連をサポートする、文芸協会の設立に携わりました。

やがて56歳で早稲田大学教授の務めを退任し、1928年には長年続けてきたシェイクスピアの全ての作品の翻訳が完成。この功績から早稲田大学内に坪内博士記念演劇博物館が設立されています。晩年まで作品集などの出版を積極的に行っていましたが、1935年、75歳で息を引き取りました。

坪内逍遙は人間の内面にスポットを当てた近代小説を書いた所に特徴があります。

幼少期は、悪人の行動は懲らしめ、善人となることを模範とした内容が多い、江戸時代の勧善懲悪作品を読んでいたのですが、それとは異なるものを提示しました。

実際内面性を重視した思いやりを描いた作品を出すべきだと、小説『当世書生気質』内でも発表し、また写実主義や自律性も訴える事で近代日本文学草分け的存在となっていきました。

早稲田大学に関係の深い人物としても評価されており、1883年には早稲田大学の前身である、東京専門学校で外国歴史や憲法論について教えていました。

そのほか森鴎外と没理想論争を繰り広げたり、政治家・大隈重信の早稲田大学創立30周年記念祝典での発言の草案にも携わっています。

そして西洋文学の翻訳にも携わったなど今日の日本文学の発展に貢献し、高田早苗と天野為之や市島謙吉と合わせて「早稲田四尊」と称されてもいます。

代表作

1885年に春の舎おぼろ名義で出した小説『妹と背かがみ』などがあります。

1933年に発表し全40巻となる『新修シェークスピヤ全集』。

1904年に発表の浦島説話をテーマに、日本の音楽や洋舞も紹介した音楽劇『新曲浦島』（関連書を早稲田大学図書館が所有）

などがあります。

■高田早苗(たかたさなえ)

1860年に生まれ、教育家や政治家として活躍しました。

第二次大隈内閣の文部大臣となったり、早稲田大学の設立にも携わっています。また、『読売新聞』の首席ともなりました。