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こんにちは。愛媛県松山市で骨董品・美術品などの買取りを行っている買取専門店「くらや松山店」です。
骨董品の買取を行う中で、私たちは日々さまざまな歴史的価値のある品々と出会います。
西郷隆盛(南洲)の書は、その力強い筆致と歴史的背景から非常に人気があり、市場でも高値で取引されることが多いです。
今回は、ご依頼者様のご自宅へ出張買取に伺い、南洲の掛軸と出会ったエピソードと南洲の人物像についてお話していきたいと思います。
西郷隆盛(1828年〜1877年)は、日本の歴史において極めて重要な人物であり、幕末から明治維新にかけて活躍した薩摩藩士であり政治家、軍人です。「敬天愛人」という言葉で知られる彼の思想は、現代においても多くの人々に影響を与え続けています。
しかし、西郷隆盛は単なる政治家や軍人ではなく、書家「南洲」としても高い評価を受けています。その書には、彼の生き方や思想が色濃く表れており、今日でも多くの人々に感銘を与えています。西郷隆盛の生涯、彼の号である「南洲」の由来、そして書家としての側面に焦点を当て、その人物像を深掘りしていきます。
西郷隆盛(さいごう たかもり)は、1828年(文政10年)、薩摩藩(現在の鹿児島県)に生まれました。幼名は小吉(こきち)、後に吉之助(きちのすけ)と名乗ります。武士の家系ではあるものの、上級武士ではなく、家計は決して裕福ではありませんでした。
彼は幼少期から学問に励み、特に藩校「造士館」で儒学や兵法を学びました。また、藩主・島津斉彬(しまづ なりあきら)に見いだされ、その才覚を発揮する機会を得ます。斉彬の改革を支えるべく活動しますが、斉彬の急逝により立場を失い、失意の中で流罪となるという苦難も経験しました。
西郷は流罪から赦免されると、再び薩摩藩の政治に関与し、幕末の動乱の中で重要な役割を果たします。坂本龍馬の仲介による「薩長同盟」、そして「王政復古の大号令」により、新政府樹立に尽力しました。戊辰戦争では官軍の指導者として戦い、江戸城無血開城にも貢献しました。
しかし、新政府の政策に反発し、1873年に明治政府を去ります。その後、鹿児島に帰郷し、私学校を設立して若者の教育に努めました。1877年、西南戦争が勃発し、政府軍と戦いましたが敗れ、城山にて自刃しました。
西郷は「南洲(なんしゅう)」という号を用いました。この由来には諸説ありますが、一般的には中国の故事に由来するとされています。「南洲」は『論語』の一節に登場する言葉で、「南方の国々に理想の地を求める」という意味合いを持ちます。
また、西郷が流罪となり奄美大島や沖永良部島に送られた経験から、「南の島に住んだ人物」という意味でも解釈されています。この号には、彼が理想とする政治や道徳を追い求める姿勢が込められていたのかもしれません。
西郷隆盛の書風は、豪快さと素朴さを兼ね備えており、一見すると粗野にも感じられますが、そこには彼の誠実な人柄や精神的な強さがにじみ出ています。
西郷の書は、力強くもありながら、どこか温かみを感じさせるものです。その筆跡には、彼の豪放磊落な性格と同時に、細やかな情緒が表現されています。特に「敬天愛人」という言葉の筆致には、彼の人生観や信念が深く刻まれています。
西郷隆盛は、特定の書家の流派に属することなく、独学で書を学びました。彼が影響を受けたとされるのは、唐代の欧陽詢(おうようじゅん)や顔真卿(がんしんけい)といった中国の書家たちです。特に顔真卿の書には、義に生きた者の気概が宿っており、西郷もその精神に共鳴したと考えられます。
また、日本の近世書道においては、細井広沢や貫名菘翁(ぬきなそうおう)などが挙げられますが、西郷隆盛の書はより実直で、技巧よりも心を伝えることを重視していた点が特徴的です。
西郷の書には、「敬天愛人」の精神が色濃く反映されています。彼にとって書は単なる技術ではなく、自己の信念や思想を表現する手段でした。彼の書を見た人々は、そこに込められた誠実さや温かみを感じ取ることができます。
特に、「南洲翁遺訓」に見られるように、西郷は「人は道理を重んじ、天の意志に従って生きるべきだ」と考えていました。この思想が、彼の書にも強く反映されているのです。
ご依頼のきっかけ:祖父の遺品整理
ある日、一本の電話が店頭に入りました。依頼主は愛媛県松山市にお住まいの70代の男性で、ご実家の整理をされているとのこと。蔵の中から古い掛軸が見つかり、その中に「南洲」と書かれたものがあるが、本当に価値があるものなのか知りたいとのご相談でした。
「西郷隆盛の書と聞いたのですが、果たして本物かどうか分からなくて……」
こうした問い合わせは珍しくありません。掛軸は代々受け継がれることが多く、来歴が不明なものも多いため、真贋の見極めが重要になります。
お客様と相談の上、出張買取のご依頼を受けることになりました。
訪問当日、お客様のご自宅に到着すると、立派な日本家屋が目に入りました。蔵のあるお宅で、歴史を感じる建物です。お客様に案内され、さっそく掛軸を拝見させていただくことになりました。少し経年によるシミが見られますが、掛軸の状態は比較的良好で、落款や印影も確認できました。そして市場での相場や保存状態を考慮し、掛軸の査定額を提示させていただきました。ご依頼者様は、「まさかこんなに価値があるとは思わなかった」と驚きながらも、「祖父が大切にしていたものなので、しっかり評価してもらえて嬉しい」とおっしゃっていました。特に、掛軸の歴史的背景や西郷隆盛の書の特徴について詳しくお話しすると、ご依頼者様も「こういう話を聞くと、祖父が大事にしていた理由が分かる」としみじみとされていました。買取成立後、最後にご依頼者様から「大切にしてくれる方に渡るといいですね」との言葉をいただきました。その想いを受け、今後もこのような貴重な書を適切に評価し、次の持ち主へとつなげることの大切さを改めて感じました。
今回の南洲掛軸の買取を通じて、改めて歴史的な品々の価値と、それを持つ人々の思いの深さを実感しました。単なる骨董品としてではなく、その背後にあるストーリーや想いを大切にすることが、私たち買取スタッフの役割です。
もし、ご自宅に「南洲」と記された掛軸や西郷隆盛の書がある場合、その価値を確かめてみることをおすすめします。歴史的な品々は、適切に保存・管理されることで、次の世代へと受け継がれていきます。
私たちは、こうした買取を通じて、歴史を未来へつなぐお手伝いを続けていきます。買取のご相談がありましたら、「くらや松山店」へ、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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