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2026.07.15
松山店

【宇和島市へ出張買取】上村淳之とは?上村家三代に受け継がれた日本画。絵画の査定ポイントもご紹介|買取専門店 くらや 松山店

2:27 am

第1章|【宇和島市へ出張買取】叔母様が大切にされていた上村淳之の日本画をご相談いただきました

「叔母が集めてきた大切な絵がたくさんあります。量が多く、店頭に持ち込むことができないので、一度見に来てもらえませんか。」

宇和島市にお住まいのお客様からこのような相談の電話を頂きました。

後日現地へお伺いして、お話を聞くと、叔母様がお亡くなりになり、叔母様が住んでいた家の整理を進めているとのことでした。叔母様にはお子様がおられず、お客様は小さい頃から実の子どものようにかわいがってもらっていたそうです。

「子どもの頃によく遊びに行っていた家には、いつもたくさんの絵が飾られていました。叔母は美術館へ行くことが好きで、旅行へ出掛けた時も美術館へ立ち寄ったり、百貨店で開催される展示会へ足を運んだりして、気に入った作品を少しずつ集めていたようなんです。でも、私は絵のことが全く分からないので、価値があるものなのかも判断できなくて……。」

叔母様が暮らしていたご自宅には、日本画や洋画など数多くの絵画が残されていました。お部屋の雰囲気に合わせて飾られている作品もありましたが、飾りきることができずに、箱へ収められたまま保管されている作品もたくさんありました。総数で60点ほどの絵画がありましたが、どれも保管状態は良く、一つひとつ丁寧に管理されていたことが伝わってきます。

お客様も「叔母は本当に絵が好きだったんです。家へ遊びに行くたびに、『この絵はね』と楽しそうに話してくれたことを今でも覚えています。」と、懐かしそうに当時の思い出を聞かせてくださいました。

そのため、整理を始めた当初は処分することに迷いもあったそうです。しかし、ご自身では飾る機会がなく、このまま保管し続けるよりも、大切にしてくださる次の方へ受け継いでもらえたらという思いから、ご相談を決意されたとのことでした。

数多くの作品を査定していく中で、特に目を引いたのが、日本画家 上村淳之 の作品です。上村淳之のリトグラフなどは目にする機会も多く、珍しくはありませんが、今回拝見したのは本人が書いた肉筆画の作品でした。

静かな自然の中にたたずむ鳥が描かれたその作品は、派手さこそありませんが、落ち着いた色彩と繊細な筆遣いが美しく、見れば見るほど心が穏やかになるような魅力を持っています。共箱などの付属品も大切に保管されており、保存状態も良好だったため、現在の市場相場を踏まえながら丁寧に評価させていただきました。

査定では上村淳之という作家についてもご説明しながら、一点ずつ評価の理由をお伝えすると、お客様は、

「叔母が好きで集めていた理由が少し分かった気がします。ただ飾っていただけではなく、本当に作品そのものが好きだったんですね。」

とお話しくださいました。

査定内容にもご納得いただき、無事に成約となりました。

絵画は、作者名だけで価値が決まるものではありません。作品の保存状態や制作年代、作者の代表的な作風であるか、付属品の有無など、さまざまな要素を総合的に確認することで適正な評価につながります。

買取専門店 くらや 松山店では、日本画をはじめ、油彩画、水彩画、木版画、リトグラフ、シルクスクリーンなど幅広い絵画作品の店頭買取・出張買取を承っております。

次章では、今回の出張買取で見つかった、日本画壇を代表する花鳥画家 上村淳之 と、日本画の名門として知られる上村家三代の歩みについてご紹介いたします。

2:27 am

第2章|上村家三代に受け継がれた日本画の系譜―上村淳之の歩み

今回ご紹介する上村淳之(うえむら あつし)は、現代日本画を代表する花鳥画家の一人です。上村淳之は1933412日、京都市に生まれました。本名は「上村 淳」で、「上村 淳之」は画家として使用した画号です。

日本画家の名前として広く知られているのは「淳之」ですが、読み方はいずれも「あつし」です。

上村淳之を語るうえで欠かせないのが、祖母・上村松園、父・上村松篁へと続く、上村家三代の日本画の系譜です。

祖母の上村松園(うえむら しょうえん)は、1875年に京都で生まれた日本画家です。鈴木松年、幸野楳嶺、竹内栖鳳らに学び、気品と格調を備えた女性像を数多く描きました。

松園が描く女性は、単に容姿の美しさを表現したものではありません。京都の風俗や歴史、能や謡曲などを題材にしながら、女性の内面にある気高さや慎ましさ、強さまでを描き出している点に大きな特徴があります。

代表作として知られる「序の舞」や「焔」「母子」などは、現在も日本の美人画を代表する作品として高く評価されています。1948年には女性として初めて文化勲章を受章し、近代日本画の歴史に大きな足跡を残しました。

その松園の長男として生まれたのが、上村淳之の父・上村松篁(うえむら しょうこう)です。

上村松篁は京都市立絵画専門学校で学び、西山翠嶂に師事しました。母・松園が主に美人画を手掛けたのに対し、松篁は花鳥画の道を歩みます。

松篁の作品は、鳥や草花を細部まで観察した写実性に加え、近代的な色彩感覚と洗練された画面構成を備えていることが特徴です。日本画の伝統的な技法を大切にしながらも、そこへ新しい造形や色彩を取り入れ、独自の花鳥画を築き上げました。

1948年には、既存の日本画壇に新しい風をもたらすことを目的として結成された日本画団体「創造美術」の創立に参加。その後も花鳥画の第一人者として活躍し、1984年に文化勲章を受章しました。

こうした祖母と父のもとに生まれた上村淳之は、幼い頃から日本画が身近にある環境で育ちました。

そして、上村淳之は、偉大な画家を祖母と父に持つ環境の中で、自らの表現を追求し続けていくことになります。上村淳之は京都府立鴨沂高等学校を卒業後、京都市立美術大学の日本画科へ進学しました。1957年に同大学を卒業し、1959年には専攻科を修了。その後、母校の助手、助教授、教授を経て、美術学部長や副学長を務め、長年にわたり後進の育成にも力を注ぎました。

画家としては、父・松篁と同じく鳥を中心とした花鳥画を得意としています。しかし、作品から受ける印象は父とは異なります。

上村淳之の画面には、鳥が生息する広々とした空間や、水辺の静けさ、朝夕の光、季節の移り変わりまでが感じられます。鳥の姿だけを写実的に描くのではなく、その周囲を包む空気や時間までを表現している点が、淳之作品の大きな魅力です。

淳之は鳥の生態を深く理解するため、実際に多くの鳥を飼育し、日々観察を続けました。羽の色や形だけでなく、歩き方や首の動き、鳥同士の距離感、季節による行動の変化まで見つめ、その積み重ねを作品へ反映させています。

そのため、淳之が描く鳥には写実性がありながら、静かな画面の中に鳥の生命感が宿り、見る人に穏やかさと緊張感の両方を感じさせます。

1995年には「雁金」により日本芸術院賞を受賞し、2002年には日本芸術院会員となりました。2013年には文化功労者に選ばれ、2020年に旭日中綬章、2022年には文化勲章を受章しています。

祖母・上村松園は1948年、父・上村松篁は1984年、そして上村淳之は2022年に文化勲章を受章しました。日本画の分野において、祖母・父・子の三代が文化勲章を受章したのは初めてのことです。

また、上村淳之は、1994年に奈良市で開館した松伯美術館の館長も務めました。同館では、上村松園・松篁・淳之の三代にわたる作品や下絵、素描などが収蔵され、上村家が築いてきた日本画の歩みを現在へ伝えています。

上村淳之は2024111日、91歳で逝去しました。

祖母の松園が追求した気品ある人物画、父の松篁が切り開いた近代的な花鳥画、そして淳之が築き上げた静けさと広がりを感じさせる花鳥画。上村家三代は、それぞれ異なる表現を持ちながら、日本画の伝統を守り、新しい時代へとつないできました。

今回ご相談いただいた肉筆画からも、鳥を長年見つめ続けた上村淳之ならではの繊細な筆遣いと、静謐な世界観を感じることができました。

 

2:27 am

第3章|絵画の査定ポイントとは?種類や技法によって評価も異なります

3章では、絵画の査定ポイントについて少し触れていきたいと思います。

実際の査定では、まず作者は誰なのか、そしてその作品が作者を代表する作品や画風であるかどうかを確認します。そのうえで、作品の種類や技法、保存状態、付属品の有無、市場での人気など、さまざまな要素を総合的に判断しながら査定を行っています。

さらに、絵画を査定するうえで大きなポイントとなるのが、その作品が作者本人による肉筆画なのか、それとも版画などの複製作品なのかという点です。

肉筆画は、一点一点を作者自身が描き上げた作品であり、同じ作品が存在しないことから希少性も高く、評価は当然高くなります。今回ご紹介した上村淳之の作品も、本人による肉筆画であったことから、その点もしっかりと評価させていただきました。

一方で、リトグラフやシルクスクリーンなどの版画作品は、版を用いて制作される複製技法です。リトグラフやシルクスクリーンの中には、高い評価を受けているものもありますが、肉筆画に比べてその評価は低くなってきます。

また、版画作品では本人による直筆サインが入っているかどうかも重要な査定ポイントです。あわせて、作品の限定部数を示すエディションナンバーや、作品の保存状態なども確認しながら評価を行っています。

絵画にはさまざまな種類や技法があります。

日本画は、岩絵具や和紙、絹など日本独自の画材を用いて描かれた作品です。今回ご紹介した上村淳之のような日本画家の作品では、画題や制作年代、保存状態などによって評価が大きく変わってきます。

油彩画は、油絵具をキャンバスなどへ重ねながら描く技法で、重厚感のある色彩や立体感のある表現が特徴です。水彩画は、水彩絵具を用いて紙へ描く技法で、透明感や柔らかな色彩表現が魅力とされています。

版画にもさまざまな制作方法があります。

木版画は、木版を彫刻刀で彫り、版木へ絵具をのせて紙へ刷り上げる伝統的な技法です。銅版画は、銅板へ細かな線や模様を刻み、その溝へインクを詰めてプレス機で刷り上げる技法で、繊細な線や陰影表現を得意としています。

リトグラフは、石版や金属板へ描いた絵を、水と油が反発する性質を利用して刷り上げる版画技法です。シルクスクリーンは、版の上からインクを押し出し、色ごとに版を重ねながら制作する技法で、鮮やかな色彩やデザイン性を活かした作品が数多く制作されています。

さらに、絵画全般に共通して重要なのが保存状態です。直射日光による色あせやシミ、カビ、額縁の傷みなどは、当然ながら査定額へ影響してきます。しかし、ご自身で無理にクリーニングや修復などを行うと、かえって作品を傷めてしまうこともありマイナス評価の原因となりますので、そのままの状態でご相談いただくことをおすすめいたします。

また、共箱や黄袋、保証書、鑑定書、展覧会図録などの付属品が残っている場合は、作品の来歴を確認するうえでも大切な資料となり、評価につながることがあります。ご自宅を整理される際は、作品だけではなく付属品も一緒に保管しておくことをおすすめいたします。

買取専門店 くらや 松山店では、日本画をはじめ、油彩画、水彩画、木版画、銅版画、リトグラフ、シルクスクリーンなど、さまざまな絵画作品の査定を承っております。

「作者が分からない」「価値があるのか判断できない」といった作品でも、一点ずつ丁寧に拝見いたしますので、ご実家の整理やコレクション整理をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

2:27 am

第4章|絵画の価値を正しく見極めるために

今回は、宇和島市でご相談いただいた上村淳之の日本画の買取エピソードを通して、日本画壇を代表する上村家三代の歩みや、絵画の査定ポイントについてご紹介いたしました。

上村淳之は、祖母・上村松園、父・上村松篁から受け継がれた日本画の伝統を守りながら、自身ならではの花鳥画を築き上げ、日本画壇に大きな足跡を残した作家です。現在でも多くの美術愛好家から高い評価を受けており、その作品は美術市場でも安定した人気があります。

また、絵画の査定では、作者名だけを見るのではなく、その作品が作家を代表する画風や題材であるか、肉筆画なのか版画なのか、保存状態や付属品の有無など、さまざまな要素を総合的に確認しながら評価を行っています。そのため、一見すると価値が分からない作品の中にも、思いがけない評価につながるものが見つかることも少なくありません。

ご実家の整理や遺品整理では、日本画や洋画、版画など数多くの作品が見つかることがあります。「作者が分からない」「価値があるのか判断できない」と、そのまま保管されたり、処分を検討されたりする前に、一度専門店へ相談してみることをおすすめいたします。

買取専門店 くらや 松山店では、日本画をはじめ、油彩画、水彩画、版画など幅広い絵画作品の査定を承っております。店頭買取はもちろん、出張買取にも対応しておりますので、ご売却をご検討の際はお気軽にご相談ください。

一枚の絵画には、作者の想いだけでなく、大切に受け継いできたご家族の思い出が詰まっていることもあります。その価値を丁寧に見極め、次に大切にしてくださる方へ橋渡しすることも、私たち鑑定士の大切な役割だと考えております。

 

 

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