雨宮淳【彫刻家】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

雨宮淳(あめのみやあつし)

雨宮淳は1937年4月に東京都で生まれました。

父は『落花』や『無人の境を行く』などが知られている

彫刻家の雨宮治郎であり、姉は同じく彫刻家で

『想秋』が知られている雨宮敬子と、

彫刻家の家系に育ちます。

その後日本大学芸術学部に在籍し

その際は映画について勉強していましたが、

1961年に同校を出ると、彫刻家の道を進み始めました。

彫刻関連としては奈良で古代彫刻を学び

穏やかな作風で知られている加藤顕清からは

彫刻についての考えを。

そのほか男性の裸体像が有名で

『平和祈念像』が有名な北村西望。

多くの裸婦像を手掛けた北村西望の息子である

北村治禧から学んでいきます。

そして1963年には日本美術展覧会において出品した

『首（B）』で初入選となり、

翌年には日彫展で奨励賞を獲得するなど

受賞を重ねていきました。

2001年には父や姉と同じ様に日本芸術院会員となり

2010年、72歳で息を引き取っています。

作風

雨宮淳はブロンズを使っての

人物の裸体像を創り続けた事で知られています。

写実性を重視しながらも西洋的な理想の体つきや

筋肉などを作品に求め、その表現を追求しました。

また活動初期は王道的な力強さの感じられる

男性像を多く手掛けていましたが、

活動後期になると女性像の作品を

多く制作するようになります。

女性像に関しては男性像とは対象的に

静かな動作で抽象的なものを表現しており、

特にそれが現れていると感じるものが、

2004年に日本美術展覧会の場で出品した

『旭日昇天』です。

その作品は上向きの女性が

ただ立ち尽くしている像となっており、

活動終盤の洗練された雰囲気があります。

合金の素材について

合金のブロンズは、同じ様に彫刻作品でよく用いられる

ゴツゴツした大理石と比べると、

男性のゴツゴツした理想的な肉体を表現するのは

その点では不向きかもしれません。

しかし一貫してブロンズで人物像を手掛け

受賞を重ね続けた功績には目を見張るものがあります。

なお雨宮淳は制作活動と並行して

後進を育てることにも尽力し、

1985年から2003年にかけて

宝仙学園短期大学で教授となっています。

そして最後の作品となるのが

2010年に発表した『聡慧』です。

多くの作品が野外で見られます

作品の多くは公園や広場で展示されている事で

知られています。

触れやすい作品の一つとしては

現在東京都八王子市にある

片倉城跡公園で見られる『独』があります。

物憂げな表情でこちらを見つめる女性像として造られ

1984年の第14回日彫展において

第5回西望賞を獲得しました。

他にも雨宮淳の多くの作品は公園や広場と言った

野外の場所で見られます。

人生の終盤まで彫刻家として活動した

雨宮淳の思いを感じたい所です。