辻永【洋画家】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

辻永(つじひさし)

辻永は1884年2月に広島県広島市で生まれました。

父が書画や骨董品を集めるのが好きであったため

自身も興味を持つようになり、また父の仕事の影響で

茨城県水戸市に住むようになると

そこでの豊富な自然環境により

草木や花々にも関心を寄せるようになったと

後に本人自身が語っています。

やがて17歳の時には東京美術学校西洋画科に入り

そこでは日本における外光派

（風景画に実際の外の光の表現を持ち込んだ画家達）

の第一人者である黒田清輝。

またその黒田清輝と共に白馬会を立ち上げた

岡田三郎助から指導を受けました。

なお在学中に白馬会にて作品を出品すると

美術学校の購入作品となり、注目を集めています。

やがて1906年に東京美術学校西洋画科を出ると

その2年後、1908年の第2回文部省美術展覧会において

出品した『秋』が初入選。

以降は受賞を重ね続け、

1919年の第１回帝国美術院展覧会において出展した

『剪毛後の或日』から無鑑査となります。

明治時代末頃からは

個展も開催するようになりました。

30代半ば頃になると、様々な国をめぐりながら

多くの作画方法を模索し、翌年に帰国。

1927年に朝日新聞社が開いた

明治大正名作展においては『無花果畑』と

『ベルギーにて』が選ばれています。

以降も晩年まで展覧会に多くの作品を出品していき

帝展の審査員なども務めました。

1968年には茨城県特別功績者に選ばれ

1974年7月、90歳でこの世を去っています。

作風

辻永は写実的な作風からフォービスム的

(野獣派と呼ばれる原色が多い大胆な色使い)なものまで

器用にこなす画家として有名です。

また描いているテーマにも変化があり、

初期は「山羊の画家」と言う呼ばれがあるくらいに

山羊をテーマに描くことが多くありましたが

ヨーロッパに渡ってからは風景画家と認識されるほど

日本各地の自然風景を表現した作品を

発表するようになっています。

また水彩画として細い線ながらも繊細すぎず

重すぎないのも辻永の作品の特色です。

白馬会について

1896年に明治美術会を抜け出した

黒田清輝や久米桂一郎などによって創られました。

黒田清輝は前述の通り

フランスから学んだ外光派の表現で、

自然光を使った明るい風景画を描いてきました。

反対に明治美術会では

重厚的な風景画を好んでいました。

白馬会では明るい色合いの作品を

多く発表するようになり、多くの共感を得て

明治美術の中心的存在となりました。

父からの影響が作風となって出てきた辻永

辻永は美術界の重鎮的な存在となり

「日展の法王」と呼ばれるようになりました。

恐らくその謂れは幼い頃の父から与えられた

影響もあるはずです。

諸外国を巡ってきた中で父からの影響が

作風として表現されたのは、本人としても

思う所があったと考えられます。