池田蕉園【日本画家】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

池田蕉園(いけだしょうえん)

池田蕉園(本名:百合子)は1886年5月に

東京の神田雉子町で生まれました。

1898年に女子学院に入りますが、

幼少期から絵描きの能力が優れていた池田蕉園は

3年後の1901年に

おぞましい絵で有名な月岡芳年を育てたことで

知られている、美人画が有名な水野年方の

慶斎画塾に、学校と並行する形で入ります。

またそこでは後に結婚相手となる

池田輝方と知り合いました。

その後20代になると、水野年方が

息を引き取っていた事も背景に、

文展や官展で活躍し日本の自然を

素朴なタッチで描いた川合玉堂に師事。

(池田輝方も同様に川合玉堂から教わります。)

同年には浮世絵の雰囲気のある

独自性の高いタッチで、花鳥画を描いた

鈴木華邨からも学んでいきます。

この間1903年には風俗画について学ぶ団体である

烏合会に参加し、1906年には美術研精会において

出品した『わが鳩』が研精賞牌を得ました。

また、文展の場でも活躍を続け、

1907年から1910年には3等賞を獲得。

やがて25歳の時には池田輝方と結婚を果たし

まもなく文展にて3等賞となるのを挟んで、

翌年には『こぞのけふ』で

ついに特選を受賞しました。

そして1917年12月に結核で倒れ

31歳の若さで息を引き取っています。

作風

池田蕉園は浮世絵の系譜を受け継ぐ

ロマン性豊かな美人画で好評を博し、

社会性の強い作風から

ロマンや神秘性の高いものに変わった、

小説家の泉鏡花の挿絵を手掛けている事で

知られています。

・画家としての池田輝方との関わり

1903年に池田輝方が別の女性と共に行方をくらまし

当時の新聞を賑わす一大スキャンダルとなりました。

ところが一時期作品が描けなくなったものの

その事で作品の深度が高まったと言われており

哀愁漂う美人画の数々が生まれたました。

マイナスの出来事が、画家の作品の影響としては

プラスになった事例と言えるかもしれません。

失踪後の1909年に川合玉堂から学び、

多くの作品はその時期に作られ、

賞と言う形で名誉を獲得しているのも

その時期となります。

1911年に池田輝方が再び現れ結婚を果たし

共同作となる

『山鴽籠　夫婦合作　双幅』も発表しました。

池田輝方と合わせて文部省美術展覧会の

鴛鴦画家と呼ばれ、また「西の松園、東の蕉園」

とも称されるようになったのは、

スキャンダルとなった時期と比べると

手のひら返しのようにも感じます。

短い生涯の中に生きた池田蕉園

池田蕉園は内面の気品漂う美人画を手掛ける

女流画家の上村松園と共に、

閨秀美人画家と呼ばれています。

戻ってきた池田輝方と結婚し

合作も手掛けるようになったのは、

池田蕉園自身の才能に支えられていたからでは?

と言う指摘もあります。

なお結婚後は作家としての活躍は控え

江戸っ子的な輪郭線が強調された女性画を

描くようになってきたと言われています。

ちなみに池田輝方は

39歳の若さで亡くなっています。

二人共早くでこの世を去る形となっていますが

池田輝方も同様なのですが池田蕉園も

濃い人生を歩んだように感じます。