染織家の志村ふくみは
1924年に滋賀県に生まれました。
上京後、1942年に文化学院を卒業すると
染織の道を志し
母である小野豊に植物染料による染め,
紬織りの手ほどきを受けて
織物の研究を始めました。
その後、33歳の時に第4回日本伝統工芸展に
初出品し初入選を果すと
紬織着物で第5回展から連続で4回受賞し
第9回展からは特待出品者となります。
そして、1964年に「第1回志村ふくみ作品展」を
資生堂ギャラリーで開催、1968年には
京都市嵯峨野に工房を構えました。
また、1983年に著書『一色一生』により
大仏次郎賞を受賞しました。
それらの功績が認められて
1986年に紫綬褒章を受章しました。
1989年には娘の志村洋子と共に
「都機工房」を創設しました。
そして、1990年には
重要無形文化財保持者(人間国宝)「紬織」に
認定されます。
さらに1993年に文化功労者、著書においても
『語りかける花』で
日本エッセイスト・クラブ賞を受賞します。
そして、2013年に志村洋子と染織の芸術学校である
「アルスシムラ」を設立するなど
後進の育成にも力を注ぎました。
翌年に第30回京都賞(思想・芸術部門)を
受賞しています。
志村ふくみの作品は
草木の自然染料で糸を染められ、手織りで作られ
色彩豊かな独創的な紬織の着物に
仕立てられています。
その独創的な作品は、紬織着物の
既存の価値観を変える程の
大きなインパクトを世間に与えました。
紬織とは、もともと本繭よりも劣るとされていた
太くて節の多い玉繭からとれた糸を使い
着物を織ることを言い、
本繭からとれる絹糸などとは違って
糸の太さが一定でないことから
折りあがった紬は小さなでこぼこができ、
独特の風合いが出来上がります。
元来は野良着として織られたもので
その素朴なフォルムとデザインが
江戸の洒落人の間で人気を呼んで、
通の普段着として着られていました。
志村ふくみは
化学染料が普及した時代の風潮には流されずに
敢えて自然の素材にこだわって
草木染めを独自の手法で極めました。
その色は化学染料にはない植物の色の美しさと
深みを引き出すことで得る染色技術で
高い評価を受けました。