岩田正巳とは【功績/作品/代表作/評価/日本画家】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

岩田正巳(いわたまさみ)は1893年に新潟県で生まれました。また父親も眼科医として働く傍らで“愛山”の名で日本画家として活動しています。岩田正巳は中学時代の美術教師がきっかけで絵に強く興味を持ち、19歳の頃に川端画学校に進学。当時教壇に立っていた寺崎広業から夜間の部で日本画について指導を受け、1913年には東京美術学校日本画科に入学しました。ここでは松岡映丘から教わりながら仏画の模写などに励み、1918年には研究家に進学。引き続き松岡映丘に師事していきますが、卒業後もその交流は続き、1921年、松岡映丘と穴山勝堂に狩野光雅、それに相談役として川路柳虹を迎えて新興大和絵会を設立しています。

また、岩田正巳自身の作品制作や出品も行っていましたが、結婚後の1924年、帝国美術院展覧会の場で発表した『手向の花』が初入選となり、以降は新興大和絵会展のほか、帝国美術院展覧会や日本美術展覧会を活動の場として、作品を発表していくようになりました。

その後、1935年には国画院の設立に携わり、1939年に川崎小虎や服部有垣などとで日本画院を立ち上げると言ったように、団体の結成も目立ちます。この間には帝展での特選や、新文展に無鑑査出品となるなど画家としての名声も高めていきました。

その後50代を過ぎると、日本美術展覧会(日展)の審査員を務めるなどする一方で、毎年日展で出品を行い、1961年には『石仏』が芸術院賞を獲得しています。以降も日展顧問や最初の三条市名誉市民となり要職を歴任し、86歳頃には三等端宝章を受章するなど日本画壇で活躍していきました。

そして1988年、94歳で息を引き取っています。

岩田正巳は歴史風俗や石仏を題材にして、穏やかかつ堂々とした雰囲気の作品群に特徴があります。

帝国美術院展覧会や新文部省美術展覧会でも活躍をしていき、風景画や歴史画が得意な画家として知れわたるようになっていきました。

なおその範囲は日本を超えて、中国やインドに出向いてそこにある石仏や陶俑も作品として描くこともあり、制作された作品は洗練されたタッチで異国情緒溢れる雰囲気を表現してもいます。

そのほか1949年には、劇や歌舞伎の舞台装置や時代考証も行いました。

94歳と言う長寿である所や、コンスタントにずっと日展で作品を発表していった点。また新興大和絵会での活動時期も特に注目されています。なお設立時は、メンバーの芸術家としての名はまだ広がっていませんでした。

ですが活動を続けるうちに、人間と自然の関わり方や今までにない風景画を表現した事は次第に認められるようになり、現在も日本画壇の歴史においても重要な位置付けだとされています。

代表作

1934年発表の帝国美術院展覧会（帝展）で特選になった『大和路の西行』（三條新聞社が所蔵）は、西行の旅路を描き人物と風景が見事に合わさっていると高い評判を得ています。

他にも帝展における1926年の第7回『十六夜日記』や1928年第9回の『比叡の峯』など。

ちなみに『比叡の峯』は帝展で出した作品ではただ一つの、純粋な風景画と言う指摘があります。

■寺崎広業(てらさきこうぎょう)

1866年に生まれ狩野派と四条派を学び、爽やかな雰囲気のある山水画を数多く発表してきました。また画家としての評価のみならず、人としても立派な人物であったと言われています。

■松岡映丘(まつおかえいきゅう)

1881年に生まれ、昔ながらの大和絵を現代に再現すると同時に、モダンで密度の濃い色彩感覚のある日本画を展開していきました。

また大和絵において土佐派から派生して、物語や和歌をテーマにした華やかな雰囲気の住吉派の系譜にあると言われています。