大槻磐溪とは【漢学者/蘭学者/黒船/戊辰戦争】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

大槻磐溪(おおつきばんけい)は1801年5月に江戸で生まれました。なお本名は清崇で、父は蘭学者として有名な大槻玄沢(おおつきげんたく)です。そのため、大槻磐溪は幼い頃から身近に学問の存在を感じており、10代半ばの頃には本格的な修行を始めました。

まず昌平坂学問所で長を務める儒学者・林述斎に習い、翌年には同学問所に入寮。こことは10年以上の間繋がりをもち、多くを学んだと言われています。またこの間には大槻磐溪が藩校で指南役の見習いとなった時期もあり、父の意向でまもなく退くことにはなっていますが、通常は30～40代の学者が就く役職を20代前半の大槻磐溪が務めたことは異例でもありました。

その後26歳頃、約1年間、蘭学の修行のため長崎に訪問。この修行中に出会った歴史家・漢詩家である頼山陽の勧めで、以降は漢学の修行に打ち込んでいきます。やがて学問を究める最中で西洋式の砲撃訓練を目の当たりにすると、蘭学者・大塚瑪蜂の下で西洋の砲術も教わりました。同年には江川太郎左衛門(江川英龍)の開く塾に入り西洋砲術を中心に多くを伝授され、兵士としての力を身に着けていきます。

ペリー来航時には幕府からの要請で日米応接所に赴き、漢学の才能を活かして黒船の通訳に漢詩を送るなどして活躍。それから約8年後には同所での勤めを終え、仙台に移り、養賢堂の学校長を務めるようになりました。

のちの戊辰戦争勃発時には、新政府軍に対抗の意志を伝える為の書の執筆を数回担当したことで、敗戦後に逮捕されています。約3年後には仮出獄の状態から近親も解かれることとなり、晩年は江戸で文明開化の過渡期を見守りながら過ごしました。そして1878年6月、息を引き取っています。

大槻磐溪は海外や西洋砲術について学び、またマシュー・ペリーが黒船で日本に訪れた時期に開国説を唱えた事に特徴があります。

後進も多く育てており、「西に頼氏あり、東に大槻氏あり」とも称されたほか、さらに父の大槻玄沢や息子の大槻文彦と並び「大槻三賢人」とも称されています。

マシュー・ペリーの黒船来航時期には『魯西亜議』や『米利堅議』などを発表。

洋学者に向けて訳書編集にも携わっています。

自筆の漢詩も早稲田大学が所有し、古本屋などでも販売しています。

代表作

著書に『孟子約解』『近古史談』等があります。

■昌平坂学問所(しょうへいざかがくもんじょ)

1630年に林羅山が立ち上げたのがそのルーツとなっています。1690年に学問に力を入れた江戸幕府の第5代将軍の徳川綱吉により、湯島に移転。1787年から起こった、寛政の改革に合わせて幕府直轄として昌平坂学問所となりました。また、昌平黌（しょうへいこう）とも呼ばれます。

■江川太郎左衛門(江川英龍)

1801年に生まれた、江戸時代終盤に活躍した幕臣であり兵学家です。

天然痘を防ぐために種痘を用い、さらに砲術について学び1849年にイギリス船が訪れた際に、退かせたと言った活躍を見せました。

■大槻三賢人

大槻磐溪の父の大槻玄沢は陸奥国一関藩（現在の岩手県一関市）出身で、蘭学が国内にて整備されていなかった事を受けて、蘭学塾の芝蘭堂を立ち上げたり、蘭学やオランダ語について学べる『重訂解体新書』を出版しました。

また大槻磐溪の息子の大槻文彦は文部省からの依頼で辞書を編み出す事を手掛け、日本で初めてと言われる辞書『言海』を世に出しました。