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福沢諭吉(ふくざわゆきち)は1835年に大阪府で生まれました。また父親は豊前国(現在の大分県)中津藩士の福沢百助として知られています。幼い頃に父を亡くし、当初は読書よりも漢学や剣術を好む子供だったと言われていますが、10代半ばの頃から才能を発揮し、兄も通った塾にて論語や詩経、また中国の歴史書などを何度も読み返している内に、多くの知識を吸収しました。
その後、長崎で蘭学やオランダ語も学び、20歳になる頃にはコレラや天然痘の治療に貢献した緒方洪庵が開く適々斎塾に入門。約2年後には最年少で塾頭として活躍するほどの実力を付けています。こういった才能を見てからか、その3年後の1858年には福沢諭吉は藩の命令によって江戸へと渡り、蘭学塾の講師となりました。この蘭学塾は慶応義塾大学の前身とも呼べる塾で、慶應義塾の開設には福沢諭吉も携わっています。
また1858年は日米修好通商条約によって、日本が他国にとって開かれた年でもありました。翌年に横浜に出向いた福沢諭吉は、そこに訪れた外国人達がオランダ語を使わずに英語でやり取りしているのを経験したことで、独学で英語も取得。
やがて30代後半の頃になると、自ら開校した洋学校の中津市学校の生徒に、学問についての考えを説明した『学問のすゝめ』の第一編を出版しています。翌年、1873年には森有礼が中心となった明六社に、西周や加藤弘之、中村正直と共に参加。機関誌『明六雑誌』を出すことで思想や政治・経済についての考えを展開しました。しかしこれは閉鎖的な考えを批判する内容でもあり、1875年、言論弾圧によって『明六雑誌』は廃刊になり実質的に解散となっています。
以降も晩年までに様々な活動を積極的に行い、1901年2月、66歳で息を引き取りました。
福沢諭吉は非常に多才な才能をもち、武士の生まれではあるものの蘭学者や教育者、また現代にまで続く多くの学校の創設にまつわる関係者として活躍しています。
中でも文明開化の気運が興隆した時代には、熱心に啓蒙活動を行ってきました。背景としては欧米国と比べた際、アジアの文化が遅れていると言う考えからも来ており、それについては1885年に出された『脱亜論』に特に分かりやすく現れていると言われています。
また明治新政府から幾度となく官職としての勤めるよう勧められても断り、あくまで民間として自由に持論を展開する事を重視しました。それが『学問のすゝめ』や『明六雑誌』の刊行とも繋がっていくのです。
『学問のすゝめ』内に記されている「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」は、人間は実質的に平等であるとして知られています。しかし実際は「されば天より人を生ずるには、万人は万人みな同じ位にして~」と続き、どんな立場であっても心が貧しい人もいれば豊かな人もいると言ったような意味が書かれているのです。
また福沢諭吉が説いているとされている「平等思想」は、立場に左右されず勉強を続けると言う意味合いがあると、現代においても捉えられています。
他の代表作
1866年から4年間全10巻分出された『西洋事情』は、2回の遣欧使節により培った諸国の歴史や政治などの事情をまとめた本です。これは幕末から明治初期にかけて多くの人に読まれるベストセラーとなりました。
また、1882年から出された、基本的に中立的な立場を取り脱亜論についても説いた、当時の日本を批判した『時事新報』などがあります。
■適々斎塾
1838年に緒方洪庵が医者としての活動を行いながらも開いた蘭学塾です。
福沢諭吉以外にも、村田蔵六や橋本左内など様々な著名な人物を輩出しています。
身分隔てなく教えていましたが、当時の政府の方針が理由で大半がオランダ語を学ぶ時間に時間が割けられました。
■脱亜論
福沢諭吉が1882年に立ち上げた日刊新聞「時事新報」に載せた考えです。
1885年3月にその記述があるのですが、あくまで社説の一つでわずか2000字ほどしか書かれていません。
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