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2019.05.17
骨董品

福沢一郎【文化勲章/洋画】

福沢一郎(ふくざわいちろう)

 

福沢一郎は1898年に群馬県北甘楽郡で生まれました。

 

父は事業家であり、また西洋に強い興味を持った人物だ

 

と言われています。

 

福沢一郎は、最初は彫刻家を目指しており、

 

日本の近代彫刻を代表する朝倉文夫から

 

教えを受けていました。

 

1922年の第4回帝国美術院展覧会では、

 

出品した彫刻『酔漢』が初入選を果たしています。

 

やがて洋画家としての転機は1924年に、

 

彫刻の技術を磨くために

 

フランスに渡った頃に訪れます。

 

絵画作品の制作に目を向けると同時に、

 

シュールレアリスムも学びました。

 

しかし1941年にシュルレアリスムと共産主義は関係する

 

としていた警察に、美術評論家の瀧口修造と共に

 

一時は拘束されています。

 

それでもシュルレアリスムの視点から

 

作品を作る事は止めず、やがて1991年、

 

93歳の時に文化勲章を受賞しました。

 

 

 

作品の特徴

 

福沢一郎の作品は時代の移り変わりと共に

 

テーマを変えながらも、一貫して

 

人間の内面性を見つめていると言われています。

 

社会や美術、そしてそれらに関わる人々を

 

良い面も悪い面も含めて、

 

独自の色彩感覚と造形で描き出しました。

 

ちなみに初期の作品にはシャガールの影響が現れており、

 

昭和初め頃にはジョルジョ・デ・キリコや

 

マックス・エルンストの影響が

 

見て取れると言われています。

 

 

 

作品の背景

 

シュールレアリスム

 

超現実主義とも呼ばれていますが、

 

理性を取っ払い夢や夢想などをモチーフに

 

人間の無意識を描いた、

 

20世紀に始まった手法及び思想です。

 

日本においては19289月から19936月まで発行された

 

『詩と詩論』上でシュルレアリスムについて掲載され、

 

滝口修造が1930年代に導入し始めたと言われています。

 

共産主義

 

財産の独占的私有を無くす事で、貧困の差がなく

 

平等に幸福を手にする事が理想と掲げています。

 

シャガール

 

フランス出身の画家でシュルレアリスムの一人として

 

捉えられています。

 

しかしシャガール自身はその呼ばれを否定していた

 

と言われています。

 

旧約聖書をテーマに、幻想的な作品を

 

多く描いているのが特徴です。

 

ジョルジョ・デ・キリコ

 

シャガールと同様、シュルレアリスムの一人として

 

数えられていますが、他のシュルレアリスム作家を

 

否定する発言が残っています。

 

マックス・エルンスト

 

こちらもシュルレアリスムの画家ですが

 

先に挙げた画家とは違い、シュルレアリスム運動を

 

率先して引っ張っていきました。

 

 

 

シュルレアリスム作家として理解されなかった福沢一郎

 

福沢一郎が影響を受けたとされる思想や画家を見ると

 

とにかく強くシュルレアリスムの傾向が

 

作品に出ているのが伺えます。

 

しかしあくまで日本を見つめたシュルレアリスムの作品

 

となるので、そこに福沢独自の視点が現れているのは

 

想像に難くありません。