
明治時代から現代にかけて、日本における絵画の受容と好まれた技法は、時代背景や社会の価値観の変化と密接に関わってきました。特に昭和50年(1975年)から昭和60年(1985年)ごろは、日本経済の安定成長とともに一般家庭でも美術への関心が高まり、特定の手法や画家の作品が人気を集めた時期です。
明治維新(1868年)以降、西洋文化の急速な導入が進み、美術界にも大きな変革が起きました。西洋の油彩技法が初めて本格的に紹介され、これまでの日本画(伝統的な絵巻物や大和絵)とは異なる写実的な表現が注目されました。
西洋画の導入によって、油絵を描く「洋画家」が登場。
同時に伝統的な日本画の再評価・近代化も進み、「日本画家」というジャンルも確立。
黒田清輝(1866–1924):日本近代洋画の父。印象派風の明るい色調で知られる。
橋本雅邦(1835–1908):日本画の伝統と西洋的構成の融合を試みた。
大正期には個人主義が芽生え、芸術も個々の感性を重視する方向に変わりました。西洋の前衛美術や表現主義なども紹介され、画家たちは自由なスタイルを追求します。昭和初期には国策によりプロパガンダ的な絵画も制作されましたが、戦後には再び個人の創作が重視されるようになります。
梅原龍三郎:フランス印象派の影響を受けた色彩豊かな作風。
安井曽太郎:写実とモダニズムを融合した洋画家。
東山魁夷:戦後日本画の代表的存在。静謐な風景画で知られる。
この時期の日本は高度経済成長を経て安定期に入り、個人や家庭でも「絵画を買う・飾る」という文化が根付き始めました。いわゆる“サラリーマン家庭”でも、アートを生活に取り入れることが一般化しつつありました。
リトグラフ(石版画)やシルクスクリーン
高価な一点物の油彩ではなく、複製可能な版画作品が人気を集めました。価格も比較的手ごろで、額装されたものがデパートや百貨店、美術展示即売会などで販売されていました。
風景画・花・動物などの具象画
抽象画よりも、日常の癒しや安心感を与える具象的なモチーフが好まれました。特に静謐な自然や四季をテーマにしたものが家庭のリビングに飾られました。
明るい色彩・装飾性を持つ洋画風の作品
重厚な油彩よりも、やわらかく華やかな印象の作品が支持されました。
東山魁夷(1908–1999)
戦後日本画の象徴的存在。彼の描く幻想的な風景は静けさと精神性を湛えており、家庭用アートとしても非常に人気がありました。リトグラフの作品が多く流通しました。
平山郁夫(1930–2009)
シルクロードや仏教遺跡を題材とした日本画で知られる。精神性の高さと視覚的な美しさから、美術愛好家や一般層に幅広く支持されました。
千住博(1958–)
滝や自然をモチーフにした作品で国際的にも評価されており、昭和末期〜平成期にかけてリトグラフ作品が人気を集めました。
笹倉鉄平(1954–)
ヨーロッパの街並みや風景を柔らかい色調で描く画家。ポスターや版画が大ヒットし、家庭に飾るアートとして定着。
中島千波(1945–)
伝統的な日本画に現代的なモチーフや構成を取り入れ、特に桜を描いた作品が人気。
1980年代後半にはバブル経済の影響で、アートはさらに「投資対象」としても注目されますが、バブル崩壊後は「癒し」「心の豊かさ」といった要素が再評価され、アートとの向き合い方も変化していきます。
現代においては、油彩・日本画に加えて、アクリル画・ミクストメディア・デジタルアート・NFTアートなど新たな技法も登場。昭和の時代に育まれた「家庭で絵を飾る」という習慣は、現在もリトグラフや小型の原画作品などを通じて継承されています。
昭和50〜60年ごろの日本では、経済的余裕と生活の質を重視する価値観の広がりにより、絵画は「投資」よりも「生活を豊かにするもの」として親しまれました。特に、リトグラフやシルクスクリーンなどの版画技法が普及し、東山魁夷、平山郁夫、笹倉鉄平などの作家の作品が多くの家庭に飾られるようになったのです。
この流れは、現在におけるアートの多様な楽しみ方──コレクション、装飾、文化的関心──へとつながる重要な転換点となりました。
絵画にはさまざまな技法や素材による種類がありますが、以下は一般的によく知られている代表的な絵画の種類です。
特徴:油絵具を使い、キャンバスなどに描く絵画。乾燥が遅いため、色の重ね塗りや細かい表現が可能。
代表作家:レンブラント、ゴッホ、モネなど。
長所:発色が鮮やかで耐久性が高く、重厚感のある表現が可能。
特徴:水で溶かした水彩絵具を使い、紙に描く。透明感があり、軽やかで繊細な表現ができる。
代表作家:ターナー、ホーマーなど。
長所:速乾性があり、やわらかい色彩が魅力。初心者にも親しまれている。
特徴:アクリル樹脂を基にした絵具を使用。水彩と油彩の中間的な特性を持ち、速乾性がある。
代表作家:アンディ・ウォーホルなど現代美術家に多い。
長所:乾くと耐水性になり、扱いやすく多様な技法に適応する。
特徴:石や金属板に描いた図像を化学処理し、印刷する技法。複数枚の同一作品を制作できる。
代表作家:ロートレック、シャガール、ピカソなど。
長所:芸術性と量産性を兼ね備えており、版画コレクションの入門としても人気。
特徴:木の板を彫って版を作り、紙に刷る技法。日本では浮世絵が代表例。
代表作家:葛飾北斎、歌川広重など。
長所:独特の線と色面が特徴。複数の色版を重ねる多色刷りも発展。
特徴:顔料を粉状にして固めたパステルを使い、紙などに描く。柔らかく発色が美しい。
代表作家:ドガ、ルドンなど。
長所:即興的に描きやすく、柔らかなグラデーションが可能。
それぞれに異なる魅力があり、表現の幅や用途に応じて使い分けられています。コレクションや鑑賞の際には、技法や素材の違いにも注目するとより深く楽しめます。
佐賀市出身。日本近代洋画の先駆者で、東京美術学校(現・東京藝術大学)教授を務め、後進の育成にも尽力しました。
神埼郡東脊振村生まれ。土佐派を学び、文展で活躍。宮内省の御用絵師としても知られ、明治神宮絵画館に作品が収蔵されています。
佐賀市出身。洋画家として白馬会で活動し、渡米・渡欧を経て国際的な視野を持った作品を制作。帝展や光風会展にも出品しました。
佐賀県出身。洋画家として活動し、花や風景を題材にした作品で知られています。
佐賀郡大和町生まれ。美人画の大家・伊東深水に師事し、「最後の美人画家」と称される。清楚で上品な人物画を多く制作しました
古川吉重(1921–2008)
福岡市生まれですが、佐賀藩士の曾孫で佐賀にゆかりがあります。ニューヨークを拠点に抽象画を制作し、国際的に評価されました
佐賀市厳木町出身。独特のタッチで人物や風景を描き、全国で個展を開催。絵本作家としても活躍しています
これらの画家たちは、佐賀県の豊かな自然や文化、歴史を背景に、多彩な作品を生み出してきました。彼らの作品は、佐賀県立美術館をはじめとする各地の美術館で鑑賞することができます。佐賀の美術史を辿る上で、彼らの足跡を訪ねてみるのも興味深いでしょう。
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