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骨董品
2019/04/19

長野垤志(初代)【人間国宝/茶の湯窯】

長野垤志(ながのてつし)

 

昭和を代表する釜師の長野垤志は

 

1900年に愛知県名古屋市で生まれました。

 

当初は、洋画家を目指して上京し

 

早稲田大学付属早稲田工手学校や

 

本郷洋画研究所で学びますが、

 

関東大震災の際に研究所が消失してしまいます。

 

その後は鋳金に転じ、鋳金家の山本安曇に学び

 

後に香取秀真の「七日会」に入り

 

古美術研究、作品の指導を受けました。

 

また、31歳の頃には釜師の伊藤一正から

 

茶の湯釜の製作指導を受けています。

 

その作品は、1927年の帝展で

 

「飛躍」(銀製小箱)が初入選を果たすと

 

第11回から第13回まで連続入選し、

 

1933年には同展に出品した「青銅方盤」が

 

特選を受賞しています。

 

また、その後に日展で審査員、日本工芸会でも

 

審査員、理事などを務めました。

 

1959年には第6回日本伝統工芸展で

 

「松林の園肩衝釜」が日本放送協会会長賞を

 

受賞しています。

 

そして、1963年、63歳の時に

 

重要無形文化財「茶の湯釜」保持者に認定され、

 

67年には紫綬褒章を受章しました。

 

代表作には「砂鉄(暁山)釜」、「腰筋姥口釜」、

 

「肩筋釜」、「太藺文筒釜」、「松林の園肩衝釜」

 

などがあり、著作には『天命の釜』、

 

『あしやの釜』などがあります。

 

 

 

長野垤志(初代)の作品の特徴と技法

 

長野垤志の得意とした作品は

 

古来使われていた鋳造法で制作した

 

「和銑釜(わずくかま)」です。

 

その高い芸術性と格調ある茶釜を創出しました。

 

また釜の他にも鋳造作品として

 

銀や銅を用いた花瓶、置物なども制作しています。

 

釜に対する学問的な造詣にも深く、

 

あしや釜や天明釜などの古釜を調査・研究し

 

『茶の湯釜全集』という著書も出版しました。

 

長野垤志の活動は、

 

日本の茶の湯文化を広めることにも

 

大きく寄与しています。

 

それまでは古釜はあまり鑑賞用として

 

作られていませんでしたが、

 

美術品の域にまで高めた功績は大きいと言えます。

 

また、善光寺、輪王寺、薬師寺、建長寺など

 

梵鐘の制作も多く手掛けました。

 

 

 

長野垤志(初代)の評価される所以

 

長野垤志は、製造が難しいとされていた

 

砂鉄による「和銑釜(わずくかま)」の復元を成功し

 

大きな功績を残しました。

 

古来の釜の技法や様式を体系的に研究し

 

現代に甦らせた釜師の第一人者と言えます。

 

 

 

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