近衛篤麿とは【経歴/日清戦争/政治家/霞山】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

近衛篤麿(このえあつまろ)は1863年に京都で生まれました。なお父は権大納言や国事御用掛を務めた近衛忠房(ただふさ)で、母は島津斉彬の娘の貞姫と言われています。

近衛家は藤原氏正統の血筋で公家の中でも特別な存在でもある、五摂家の家系でもあるのですが、1873年に後を継ぐことなく父が亡くなった事を受けて、近衛篤麿は祖父の養子として家を継ぐこととなりました。10代半ばの頃には侍従職となって東京へと移り、外務大臣秘書官や伊藤博文内閣の書記官長も務めた、鮫島武之助が開く塾・大学予備門に入ります。しかし、それから間もなく患った病気が原因で中退となっており、以降は和漢と英語の習得に独学で励んでいきました。

その後1884年には公爵となり、翌年からはヨーロッパに留学。ドイツのボン大学、また2年後にはライプチヒ大学に進学・転校し、1890年に帰国すると貴族院議員に就任しています。それからは貴族院議長や大日本教育会長など要職も務め、外交政策にも携わるようになると、1898年に朝鮮や中国、そして日本の権利保護や連携を重視した東亜同文会を結成しました。これに連なり、1900年には国民同盟会を立ち上げています。近衛篤麿は晩年まで世界情勢を憂い、中国や朝鮮が欧州諸国に支配されることに危機感を抱いていたため、このほかにも対露同志会を立ち上げ、枢密顧問官兼学習院長を務めるなどしていました。

しかしその最中、1904年1月に、40歳で息を引き取っています。

日清戦争後の日本の、当時の中国に対するイメージを変えるために、日清同盟を立ち上げた事。他には薩摩や長州、土佐に肥前の4藩を主にした「超然主義」が理念の藩閥政府に反対の立場であったり、アジア主義や大陸政策を提案していたことなどが代表的です。

近衛篤麿が様々な会などで情勢に対して訴えていた当時は、1894年に日清戦争が起きてから、日本人が中国人を蔑む風潮が強く起こっていました。そもそも日清戦争が起こった原因は、朝鮮への支配権を当時の中国と争っていた事が理由です。

一方で、脅威とみなしていたロシアは、シベリア鉄道と言う巨大な鉄道を建設していましたが、この路線が朝鮮内にも及んでおり、朝鮮はロシアに抵抗出来ない分シベリア鉄道が完成すれば、すぐさまにロシアに日本が占拠される恐れがあると当時は見なされていたのです。しかしその朝鮮内で中国は強い影響力があり、中国を朝鮮内から排除させて支配下におく必要があったので、日清戦争が始まりました。

近衛篤麿はその情勢を受けて日本が中国を蔑んでいる事に警戒を示し、またロシアに対して露強硬論や主戦論を展開していきました。

また、政治家で憲法研究会や火曜会を立ち上げた近衛文麿や、NHK交響楽団のベースを築き上げたと言われている音楽家の近衛秀麿の父親としても知られています。

代表書について

東亜同文会関係や日記、書簡などの近衛篤麿の関連文書を陽明文庫が所蔵。

号を”霞山”としていた漢詩もあります。

■対露同志会

1903年に近衛篤麿の他に神鞭知常や頭山満。長谷川芳之助などと共に結成されました。

当時の中国に位置する満州から、ロシアが出ていかない限り排除すべきだとしました。

■東亜同文会

1898年に近衛篤麿を会長として結成。元は東亜会と同文会がベースになっています。

ヨーロッパ西部エリアの国々には勢いがあり、対して中国は悲惨な状態であると考え、また日本含む東アジアも追い込まれている状況なので、自分達の国々が立場を強くする考えで生まれました。