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掛け軸・絵画
2019/10/24

菅井汲【洋画家】

菅井汲(すがいくみ)

 

菅井汲は19193月に兵庫県神戸市で生まれました。

 

1933年に知人の薦めで大阪美術学校に入るものの

 

持病の関係で中退し1937年から8年間、

 

阪急電鉄において商業デザインやポスターを

 

手掛けるようになります。

 

以降も自身の腕を磨くための努力は欠かさず、

 

優雅な美人画で知られている日本画家の

 

中村貞以からも学んでいますが、

 

日本画界の形の古さを感じ、やがて師弟関係を解消。

 

また前衛画家である吉原治良から

 

アトバイスを貰いながら二科展に出品をしますが

 

残念ながら落選が続きました。

 

やがて30代になると菅井汲はフランスへ渡っています。

 

現地では『太陽の塔』などが知られている

 

岡本太郎に出会って影響を受け、加えて

 

日本での経験をもとに制作した作品は

 

フランスでも高い評価を受けたと言われています。

 

以降も積極的な制作活動を行い、1957年に開かれた

 

東京国際版画ビエンナーレ展の第1回から作品を出展。

 

また翌年には20世紀美術展にも出品しました。

 

そして1959年の

 

3回リュブリャナ国際版画ビエンナーレにおいて

 

出品作の『サムライ』がザグレブ市近代美術館賞を

 

受賞するなど、国際的な評価を高めていきます。

 

なお1967年にパリにて車の運転中に事故を起こし

 

大怪我を負うものの、その後も制作意欲は尽きず

 

2年後には東京国立近代美術館ロビーに飾るための

 

大掛かりな作品『フェスティヴァル・ド・トウキョウ』

 

のために日本に一旦戻りました。

 

このころから菅井汲はいわゆる「無駄を省いた」、

 

前衛的な作風を確立し、1980年に

 

菅井汲新作版画全国展を開催し成功を収めています。

 

そして1996年、77歳で息を引き取りました。

 

 

 

作風

 

菅井汲の活動初期の作品は

 

アンフォルメルの影響を受け継いだ

 

象形文字に似たものを描き、

 

パリにて強く支持されていました。

 

しかし1962年を境に「オート・ルート」シリーズで

 

分かりやすい色彩感覚で洗練された

 

デザイン性を持つ作品を描くようになります。

 

(なお「オート・ルート」は

 

フランスの高速道路の意味を指します。)

 

また1970年代からは主に

 

「フェスティヴァル」シリーズで、

 

標識のように無機質でパターン化した作品群を

 

展開していきます。

 

こう言った1962年からの作品の背景としては

 

自身が熱狂的に車で高速道路を走るのが好きで

 

その際に浮かんだ映像を元にしている所にあります。

 

さらに活動終盤になると名前のイニシャルでもあり

 

道路のカーブを思わせるアルファベットの

 

Sをテーマに作品を作り続け

 

そこに自身の個性を見出していたようです。

 

 

 

関連用語の細かい解説

 

■リュブリャナ国際版画ビエンナーレ

 

1955年から一年おきで開かれている版画を扱った

 

スロヴェニアで開かれている公募展です。

 

■アンフォルメル

 

フランスで起こった批評家の

 

M.タピエが命名した前衛芸術運動。

 

物質感を前面に押し出したり躍動感に溢れている絵。

 

また規則的な構成を否定したもので

 

不定形とも呼ばれています。

 

■岡本太郎

 

物事を多角的に見たものを一つのキャンバスに収める

 

キュビズムを取り入れ、また

 

前衛芸術を促進した洋画家です。

 

 

 

自身を成功に導いた菅井汲

 

菅井汲は二科展で認められなかった事と

 

元々デザイナーとしても活動していた点が功を奏し

 

国際的に認められた印象を受けます。

 

また『サムライ』や、ルファベットのSを

 

テーマにした作品群など、分かりやすく

 

アピールする事にも長けていたとも言えそうです。

 

 

 

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