・馬毛…「天尾」は馬の尻尾の付け根辺りの毛で剛毛筆の高級筆。
・山馬毛…東南アジアに生息する水鹿の一種の毛。今日では良いものは入手困難な為高価。
・狸毫…狸の毛で高級品。
・鼬毫…鼬の毛で高級原料として使われる。
・狼毫…中国北方に棲息する鼬の一種の尻尾。
・羊毛…中国の江南地方に生息する山羊の毛。
「羊毫」「純羊毫」「純白羊毛」に分けられる。
「宿浄純羊毫」「細光鋒」「細微光鋒」「細光鋒」「粗光鋒」など純羊毫でできた筆は高価。
・玉毛…猫の毛。毛質に粘りがあり、あたりがソフトで鋒先が利く。
・紫毫…ほとんどが野ウサギの毛。
中国では紀元前から原料として使用されており、兎の中で一番良い毛とされている。
兎により黒、うす茶などの色がある。日本での常識的な表現は黒色。
「精制大七紫三羊」「選豪円健」などの原毛に使われることが多い。
・白毫…白ウサギの毛。
代表的な唐筆には「写巻」「下筆春蚕食葉声」がある。
剛毛で弾力の強い筆の中でも特に強い部類に入る。
狸・鹿・馬毛の毛。組み合わせにより兼剛、柔毛の筆になる。
筆の硬さでは硬いほうに属し、筆先の戻りも良いので初心者に向いている。
リスなどの赤毛や黒い毛の筆が多いが中には白色のものもある。
鼬やコリンスキーに馬尾脇などを混ぜ書道家向けの筆も作られている。
明時代の屠隆は良筆の条件を言い表すのに「尖」「斉」「円」「健」を筆の四徳として言い表している。
「尖」穂先の部分がとがっていること。
「斉」穂先全体がよく整っていること。
「円」穂全体がきちっとした円錐形になっていること。
「健」穂先の腰の弾力がほどよく、筆運びがスムーズであること。
毛…馬毛、山羊毛、狸毛、鹿毛、羊毛、玉毛など
形…長鋒、中鋒、短鋒
産地…唐筆(中国製)、和筆(日本製)
穂先…鋭く尖り、毛先が揃っていて、角がなくしっかりしている形の筆が良い
唐筆製作の伝習により製作される中国製の筆。
獣毛を使って現在のような筆を作ったのは秦時代の蒙恬将軍。
管を枯木、柱を鹿毛、被を羊毛で造った筆を始皇帝に献上したのが始まり。
1956年に国営上海工芸が設立され、李鼎和の名柄を中心に名称を変更して製造を開始した
(工房・製造商)
李鼎和、上海工芸、善璉湖筆厰、杭州武林卲芝厳筆荘、中国工藝、戴月軒、金閣、北京湖筆店、蘇州湖筆厰、老周虎臣筆墨荘、善璉湖筆二廠、善璉集芸斎湖筆有限公司、北京李福寿など
(銘柄・商標)
双羊牌、金鼎牌、火炬牌、大極牌、宿浄純羊毫、仿蘭蕊式宿凈純羊毫、京さ、二號鶴甲、加料條幅、選毫圓健、蘭蕊羊毫など
日本の三筆(平安時代初期)…空海、嵯峨天皇、橘逸勢。日本書道史上最も優れていた能書家
寛永の三筆(江戸時代初期)…本阿弥光悦、近衛信尹、松花堂昭乗
平安時代の三跡…小野道風、藤原行成、藤原佐理
世尊寺流の三筆…藤原行成、世尊寺行能、世尊寺行尹
黄檗の三筆…隠元隆琦、木庵性瑫、即非如一(江戸時代に来朝した黄檗宗の僧)
幕末の三筆…市河米庵、貫名菘翁、巻菱湖
明治の三筆…日下部鳴鶴、中林梧竹、巌谷一六
(生産地)
熊野筆…広島県熊野町。全国の筆の80%が生産されている
川尻筆…広島県川尻町。現在、全国シェアの約20%を生産
江戸筆…練り混ぜ法(元禄時代、細井広沢によって確立された手法)で明治5年、学制発布と共に広まった
豊橋筆…水を使い練り混ぜを行う為、墨吸が良く墨はけが遅いが墨になじみやすいため書き味が良い
仙台御筆…宮城県仙台市。宮城野萩を軸に作らており、竹軸より少し重いが手になじむ
奈良筆…獣毛(馬、狸、羊、鹿など)を使い練り混ぜ法で作られている
固め筆…関西。筆先の半分から3分の2を崩して使う
捌き筆…東京・新潟・仙台。軸際まで墨を付けて使う