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骨董品
2019/08/02

番浦省吾【工芸作家/漆芸】

番浦省吾(ばんうらしょうご)

 

番浦省吾は1901年2月に石川県七尾市で生まれました。

 

1915年に七尾尋常高等小学校を卒業してしばらくは

 

画家として活動するのを考えていたのですが

 

6年後に地元にて蒔絵の技術を

 

本格的に学ぶようになります。

 

石川県は加賀蒔絵があったり

 

現在では石川県立美術館があったりするなど

 

蒔絵の文化にも優れていますが

 

番浦の活躍拠点は関西方面となります。

 

第二次大戦終了後は1972年に『双象』を発表したり

 

日本美術展覧会において参事を務めるなどして

 

日展での活躍が目立ちます。

 

 

 

■特徴と技法について

 

番浦省吾の作品は

 

海や雲をモチーフにしている事が多いのが特徴で

 

金属や銀に色漆などで形に一定の法則性がない、

 

独自の作風を確立しています。

 

 

 

■蒔絵について

 

蒔絵とは金銀の粉で文様を付ける技法を指します。

 

その技法も細かく分かれ

 

例えば一旦文様を付けた後に透明漆

 

もしくは黒漆か、色漆を塗り

 

その後乾かして研磨する研出蒔絵

 

模様を付けた漆の上から金や銀、色粉などを巻いて

 

乾燥させて研磨する平蒔絵などもあります。

 

番浦省吾はそう言った技法も

 

やはり学んでいると考えられます。

 

 

 

■関西と漆芸の接点について

 

調べてみますと漆芸伝承の会と言うのがあります。

 

石川県輪島にて漆塗りなどを学んだ栗原蘇秀が開き

 

技術の伝承を行っています。

 

ただ関西ローカルと言うより全国で展開されています。

 

他には1978年の東京生まれの漆芸作家の杉田明彦が

 

関西も作品発表の場の一つにしているなど、

 

関西が漆芸及び蒔絵などについて

 

独自の発展を見せていると言った記述は

 

特に見当たりません。

 

ただ他の場所より注目されていない地域だからこそ

 

その文化が根付いて欲しいという事で関西も選び、

 

番浦省吾から現在の作家まで

 

多くの人が活動していると言えそうです。

 

 

 

■関西方面で活動しながらも、海外にアピール出来た番浦省吾

 

番浦省吾は他に1936年に

 

文部省美術展覧会選賞を獲得したり

 

次の年のパリ万博展において名誉賞を受賞しています。

 

パリ万博展は1855年に第一回が開催され

 

1937年においては第六回目となります。

 

ちなみにその年のパリ万博展では

 

ピカソの『ゲルニカ』が発表されています。

 

番浦省吾の作品はゲルニカと比べると

 

大人しい雰囲気と捉えられたかもしれませんが

 

しかし名誉賞を受賞している事から

 

一定の評価がされているのが分かります。

 

番浦省吾は漆芸文化の主流から離れた

 

関西で活動しながらも、

 

その文化を海外に向けても発信していたのです。

 

 

 

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