漆芸家の田口善国は、1923年に
東京都で生まれました。
元々生家は医者でしたが、幼い頃から
尾形光琳の作品に惹かれ、田口は16歳の時に
父の知り合いであった漆芸家の松田権六に
弟子入りしています。
また、奥村土牛には日本画
吉野富雄には古美術を学んでいます。
その後1946年の第2回日展に
「風呂先屏風みのりの朝」で初入選を果たしてからは
同展で多くの賞を受賞して行きました。
この間、27歳からの2年間は
東京芸術大学研究生として、紋様学者であった
小場恒吉に日本文様を学び
図案研究に没頭しています。
以降も自身の作品制作を行いながら
日光東照宮拝殿蒔絵扉や、
大倉集古館所蔵の蒔絵「夾紵大鑑」の
復元修理にも携わりました。
これらの功績が評価され、1989年、66歳の時に
「蒔絵」の分野で重要無形文化財保持者に
認定されています。
田口善国の作品には
漆芸家の松田権六に師事したことが
大きく影響を及ぼしています。
漆芸をしっかりと習得できたことと
東京芸術大学研究生の頃に小場恒吉から
日本の文様を学びその図案を考案していたことが
作品から感じられます。
元々は、尾形光琳の漆作品に惹かれ
漆芸家の道に進みましたが、奥村土牛から日本画、
吉野富雄からは古美術を学んだことで
日本美術の造詣についての理解には
とても深いものがあり、それらが田口善国の作風に
影響を与えています。
作品のモチーフには自然や動物、植物などが選ばれ
作品には日本の情緒や気品が表現されています。
田口善国の作品に対する評価は
伝統的な漆芸を高度に再現した「蒔絵」、
「螺鈿」などの技術に裏打ちされています。
加えて、自身が高めた「研切蒔絵技法」も
評価の一部となっています。
「研切蒔絵技法」とは研出蒔絵の一種で
金錫粉地に木炭粉や銀粉を用いて墨絵のように
濃淡を浮き上がらす技法です。
これは元々は、室町時代に宋元の水墨画を
蒔絵に再現しようとしたもので
それらの技術が融合して田口善国の作品は
評価されていると言えるでしょう。
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