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骨董品
2019/07/11

玉楮象谷【工芸作家/漆芸】

玉楮象谷(たまかじぞうこく)

 

玉楮象谷(本名:藤川為造)は1805年、

 

香川県(当時は讃岐国)高松にて鞘塗師(さやぬりし)の

 

藤川理左衛門の孫として生まれました。

 

また儒学者の篠崎小竹や

 

文人書画として名を馳せた貫名海屋、

 

京都の焼物師の永樂善五郎をルーツに持つ

 

篠崎小竹と交流を持った事でも知られています。

 

玉楮象谷は代々鞘塗師を営んでいる家系で

 

父の藤川敬三から漆塗りと彫刻の技法を学びました。

 

やがて高松藩主である松平頼恕の下で

 

作品を作り続ける事となり、

 

玉楮の姓を与えられます。

 

そして存清(ぞんせい)や蒟醤(きんま)と言った

 

技法の研究から、象谷塗の技法を編み出しました。

 

それが他の将軍などへの献上物として

 

認められる形になり、

 

また香川漆芸の原型にも繋ります。

 

35歳と言う若さで亡くなりますが

 

玉楮象谷は象谷塗を生み出した後、

 

朱漆を幾度となく塗り重ねる堆朱、もしくは堆黒でも

 

作品を作りました。

 

 

代表作は『蒟醤竜文料紙箱並硯箱』や

 

『蒟醤料紙硯箱』などがあります。

 

 

 

技法の数々

 

■存清

 

沈金を使って文様を作った後、彩漆を塗ったり

 

もしくは研出も行います。

 

中国の明代に作られた技法で、日本でのこの呼び方は

 

茶人によるものとされています。

 

玉楮象谷の場合は剣を使って

 

線彫りで細かい彫刻を行い、

 

そこに金粉や金箔を入れたりします。

 

これを「鎗金細鉤描漆法」

 

(そうきんさいこうびょうしつほう)と言います。

 

また炭で研ぎ出す方法も挟む事があり

 

それは「鎗金細鉤填漆法」

 

(そうきんさいこうてんしつほう)と言われています。

 

■蒟醤

 

タイやミャンマーなどで元々行われている

 

竹で作った器の上から文様を作り

 

そこに色漆を入れてから乾いた後、

 

研ぎ出していく技法です。

 

■象谷塗

 

研磨した木材の素地に

 

下塗りと上塗りの中間である中塗りも行った後、

 

長さ1メートルほどのイネ科の大形多年草である

 

真菰(まこも)の粉を撒く技法を指します。

 

使っていく内に艷やかさが出ることで

 

侘び寂びの雰囲気も出てきます。

 

なお真菰の粉を撒いてからもさらに漆を塗るために

 

磨きの作業も発生します。

 

 

 

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