松岡映丘【日本画家/兵庫県/大和絵】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

松岡映丘は1881年7月に兵庫県神崎郡で生まれました。なお本名は輝夫と言い、弟には日本民俗学を立ち上げたとされる柳田国男がいます。他にも彼の父や親族が医師や言語学者等の職業に就いており、日本に古くからあるものの知識に長けた一家でもありました。その中で松岡映丘は幼い頃から好んでいた絵画の分野に強い興味を持っていき、理解を深めていくこととなります。幼少期から武者絵・歴史画などをよく見ていたことから松岡映丘は日本画家を志し、やがて14歳になると狩野派の橋本雅邦から。16歳時にはやまと絵住吉派の山名貫義からも教わると言ったように、若い時期から技術を磨いていきました。

まもなく1899年には東京美術学校日本画科へ進学。在学中は川端玉章や寺崎広業からも教わり、既に十分に力を付けていた松岡映丘は、23歳となる年に同校を首席で卒業し、その4年後には助教授として務めるほどとなっています。

その後、自身の作品の制作にも力を入れ、1912年に第6回文部省美術展覧会において出品した『宇治の宮の姫君たち』が初入選。また1914年の文部省美術展覧会で発表した『夏立つ浦』で、新しい大和絵を提示したなど、話題作を多く発表していきました。

30代半ば頃には平福百穂や吉川霊華と共に金鈴社を結成。以降も文部省美術展覧会や帝国美術院展覧会での活躍は続き、また1919年には帝国美術院展覧会の審査員ともなります。

他にも国画院を立ち上げるなど作品の制作と普及に尽力し、1938年3月、56歳で息を引き取りました。

自身が最も興味を持っていた人物及び武者絵が特に多く見られます。古典に対する学びも深かったのですが、それを密度のある色彩感覚で、現代的な感覚を取り入れている所が特徴のひとつといえるでしょう。また上品さも、作品を描いていくうちに高めようとしていると言った指摘もなされています。

なお松岡映丘の作品には風景画や歴史画も得意としています。

松岡映丘は1918年に東京美術学校の教授となり、大和絵が世間に再び見つめられるようになる為に努めるのみならず、上記のように新しい大和絵のアプローチを試みているところにも評価が集まっています。なお亡くなった兄弟を除いて、無事成人となった井上通泰や柳田国男、松岡鼎や松岡静雄と合わせて松岡五兄弟と言われています。

その他の代表作

1918年発表の『山科の宿』（山種美術館が所蔵）は、今昔物語のワンシーンを描いている事で知られ文部省美術展覧会において特選を獲得。

他にも『富岳茶園之図』や『伊香保の沼』。『千草の丘』や『屋島の義経』などがあります。

■金鈴社

1916年に平福百穂や結城素明と言った、文部省美術展覧会出身の画家達で結成された研究グループです。展覧会を積極的に開き、雑誌の中央美術などでも新しい作品についての考えを発表していきました。

■国画院

1935年に松岡映丘が教え子達とで立ち上げました。

新たな作品の提示の場として機能していく考えでしたが、松岡映丘が1938年3月に息を引き取り弟子達が遺作展を開催したり、また師の画集を発表した所で解散となりました。