新村撰吉 (号: 長閑子)は、1907年8月に
石川県金沢市で生まれます。
東京美術学校に入学し、蒔絵で人間国宝となった
松田権六から学びました。
また同校の卒業と同年に
福島県立会津工業学校の教諭を務め
その後石川県工芸指導所漆工科長となるなど
様々な立場において技術を伝えていったのが
新村撰吉自身の特徴と言えます。
やがて漆芸家として活躍し始めると
『漆皮宝相華文経箱』や『漆皮台盤』と言った
漆皮の作品を多く発表。
なお作品のサインには、本名の撰吉と
屋号の長閑子の両方が使われています。
新村選吉の伝統的で上品な作風には多くの支持が集まり
1960年には日本工芸会会長賞を受賞しました。
■漆皮について
牛や鹿などの皮を湿らせた後、
容器の型にしてから漆を塗ったものです。
漆皮では箱や靴も作ります。
飛鳥時代から技法が確認されており、
奈良時代に作られたものが法隆寺や四天王寺に
収められています。
また正倉院にも漆皮の作品である
金銀絵漆皮箱第3号が保管されています。
蒔絵や螺鈿の装飾が施されているのも漆皮の特徴です。
■漆皮技法を駆使している人間国宝の作家
漆皮を使った作品作りで人間国宝となっている作家としては
増村益城を父に持ち乾漆や縄胎技法を用いた
きゅう漆も有名な、埼玉県春日部出身の
増村紀一郎がいます。
■石川県工芸指導所について
石川県工芸指導所は1938年に落成式を行っています。
それ以外の詳しい記述は特に見当たりませんが
昔から伝統工芸で栄えている石川県金沢市なので
そう言った文化を育てる場所の一つとして
機能していた事は想像に難くありません。
実際に石川県工芸指導所には、
石川県小松市の錦山窯にて
九谷上絵付を営んだ吉田美統も参加しています。
■漆皮台盤について
まず台盤とは平安時代の貴族文化について使われていた
料理を乗せるための台の事を指します。
漆皮台盤は鷺脚を付けた円形の形をしており
猪目透かしと言った技法を使っています。