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2016.09.09
絵画

文房四宝

文房四宝とは中国の文人が書斎(文房)で使用する文具で筆・墨・硯・紙の4種をいいます。

 

獣毛を使って現在のような筆を作ったのは,秦時代の蒙恬将軍が管を枯木、柱を鹿毛、被を羊毛で作った筆を始皇帝に献上したのが始まりと言われています。

唐筆(中国製の筆)と和筆(日本製の筆)に分けられます。

材料は馬、鹿、羊、狸、鼬などの動物の毛が一般的だが竹・鶏毛を使った筆もあります。

毛の硬さによって剛毛・柔毛・兼毛に分けられ、毛の長さによって短鋒・中鋒・長鋒に分けられ、毛の太さによって号数が決められます。

穂先まで麩糊で固めた筆を固め筆、固めていない筆を捌き筆といいます。

李鼎和、上海工芸、武林卲芝厳筆荘などに高価なものがあります。

 

墨(古墨)

中国の周時代(BC240年頃)に季超が案出したと伝えられています。

清時代(1700~1900年頃)までに中国で作られた墨を唐墨、江戸時代(1600~1700年頃)までに日本で作られた墨を和墨といいます。

原料は煤と膠が主成分で少量の香料も配合されています。

古墨の条件はよい原料と製法を用いていることで、保存が良ければ300年以上経った墨でも使用できます。

しかし原料が悪く製法が手抜きの墨は年月が経っても古墨とは呼べません。

明時代の名匠では程君房、方于魯などが有名で、清時代の墨匠では汪近聖、曹素功、胡開文などが有名です。

明清時代が製墨の頂点といわれています。

徽墨(中国安徽省産の墨)四大家を『胡開文』『曹素功』『汪近聖』『汪節庵』といいます。

 

紙(画仙紙)

原料は三椏、麻、藁、竹、雁皮、楮などがあります。

蔡倫(120年頃)によって発明されたと言われていますが、近年の発掘調査では前漢の武帝時代(AC140~87年頃)のものと思われる紙片が発見され、蔡倫以前にも紙があったのではないかとも言われています。

日本には高麗僧曇徴が伝えたとされ、聖徳太子が改良を加え和紙を完成させたと伝えられています。

書道用紙は唐紙、和紙、洋紙に分けられます。

一般的に日本で作られた画仙紙を和画仙/和紙、中国で作られた画仙紙を本画宣(本画仙)/唐紙と呼ばれています。

唐紙で有名な宣紙(安徽省の宣城で生産された画仙紙)の原料は藁(龍須草)と青檀の樹皮などです。

有名なブランドには金星牌、蘭亭牌、紅星牌、汪六吉牌があります。

 

作硯されてからの年月によって新硯、古硯に分けられ、最低でも100年以上(中国では清時代末以前)経っているものを古硯と呼びます。

墨を水で磨り卸すために使う石、瓦等で作ったものをいいます。

和硯(国産)と唐硯(中国産)に分けられます。

墨を溜める窪みを墨池(海)、墨を磨る部分を墨堂(丘)といいます。

形式、彫刻の模様、産地、材質などにより分類されます。

端渓硯、歙州硯、洮河緑石硯、澄泥硯が有名で中国の四大名硯と言われています。

松花江緑石硯、紅糸石硯、陶硯などは墨の降り、発墨が優れており高価に取引されます。