庄司栄吉(しょうじえいきち)
庄司栄吉は1917年3月に大阪で生まれました。
その後18歳の時に大阪外国語学校フランス語部に入り
また翌年には外光派の技法と
明治終盤の日本を描いたことで知られている、
赤松麟作の開く赤松洋画研究所で学んでいきます。
1938年に大阪外国語学校を出ると
今度は東京美術学校油画科でも学びました。
そして1941年に第4回新文部省美術展覧会において
出品した『庭にて』が初入選を獲得。
以降受賞を重ね続けます。
なおその中でも1942年の第29回光風会展に
『F嬢の像』で初入選およびレートン賞受賞となり
同じ年に東京美術学校油画科を卒業となったのは、
庄司栄吉の初期の代表的な活動経歴と言えます。
その後海軍での経験を挟んで
1951年には光風会会員となり、
1981年には光風会展辻永記念賞を獲得しました。
2015年2月、97歳の時に息を引き取っています。
作風
庄司栄吉は穏やかな雰囲気のある色彩感覚を基本とし
色を塗り重ねて輪郭がぼやけた淡い感じの作品群を
多く手がけている事で知られています。
また描くテーマは音楽家や舞踊家など
人物画が多いのも、庄司栄吉の特徴です。
それについて庄司栄吉は
「元々音楽を好み、動きがあるのが特に良い」
といった発言を残しています。
動きがあると言うのは
特に舞踊家に見られる特徴でもあるので、庄司栄吉が
いかに人間の動きについて追求したいかが伺えます。
二人の師匠のアドバイス
なお庄司栄吉は赤松麟作や、『庭にて』の製作途中に
アドバイスを受けたのがきっかけで師匠となった
裸婦画で有名な寺内萬治郎を、
生涯の師としている発言を残しています。
赤松麟作と寺内萬治郎は
「活発でかつ普遍的なものを捉えるように」
と言った趣旨のアドバイスをしています。
そこには対象物を観察した上で
動きのあるものを描くようにと言った
意図があると思いますが、庄司栄吉の
観察眼を鍛えるアドバイスであるのは
間違いありません。
なお『庭にて』は輪郭がはっきりしており、
また女性がじっと座っている内容で、
対象物をよく捉えると言ったアドバイスを
特に注視した作品であるかもしれません。
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