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骨董品
2018/10/11

市橋とし子【人間国宝/桐塑人形】

市橋とし子(いちはしとしこ)

 

人形作家の市橋とし子は

 

1907年に東京都で生まれました。

 

やがて18歳で東京女子高等師範学校

 

保育実習科を卒業し、横浜へ移住します。

 

その際に近隣に飾ってあった

 

人形作家の今村繁子の人形に感銘を受け

 

今村の弟子となり、人形制作を学び始めました。

 

その後1949年に、第1回現代人形展に出品した

 

「午下がり」が特選第一席を受賞。

 

桐塑(とうそ)技法を用いて日常生活に即した人物の姿を

 

愛情溢れる清廉な作風で表現しました。

 

1954年には、全日本女流美術展に出品、

 

この頃の作品には人肌感をより出すために

 

仕上げに紙はりの手法を

 

用いるようになったといいます。

 

その後も多くの美術展に出品を続け

 

日本工芸会人形部長、理事なども務めています。

 

さらに、50歳を過ぎても

 

工芸家としての探究心を絶やさず、

 

1965年には彫刻家金子篤司に師事し

 

木彫りや彫刻デッサンの技術を学びながら

 

人形制作の糧としました。

 

これらの功績を認められ、78歳の時には

 

勲四等瑞宝章を受章します。

 

そして1989年、82歳の時に桐塑人形の分野で

 

人間国宝に認定されました。

 

 

 

市橋とし子の作品の特徴と技法

 

桐塑は、桐のおがくずで団子をこねるような要領で

 

煮えた糊を桐粉の中でこねていき

 

糊粉仕上げ、和紙貼り、布貼りなどの仕上げで

 

出来上がっていきます。

 

もともと江戸時代の雛人形などの制作の際に

 

衣装人形の頭部や手足などを大量に作る

 

型抜きのために使われていた技法です。

 

市橋とし子は、この桐塑の技法を用いて

 

衣装人形など多くの人形を制作しましたが

 

木彫り人形なども手掛けるなど

 

その創作力の多彩さが特徴でもあります。

 

作品の主題には、日常生活の中にある、幼児や少女、

 

老人などの自然な表情をとりあげており

 

繊細で詩情豊かな風貌をいきいきと表現した

 

その作品は、的確な構成力と、

 

彫刻デッサンを用いたしっかりとした造形力で

 

形成されています。

 

 

 

市橋とし子の評価される所以

 

人形作家市橋とし子は、女性の目線と感覚で

 

生活の中の自然な風景を

 

しっかりと地に足をつけた姿勢で見据え

 

人形制作を行いました。

 

その作品には人間を愛し

 

向き合う姿が表現されています。

 

それこそが人形制作を芸術の域にまで高めた

 

市橋とし子の評価される所以と言えるでしょう。

 

 

 

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