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掛け軸・絵画
2020/04/10

寺井重三【洋画家】

寺井重三(てらいじゅうぞう)

 

寺井重三は1928年に石川県珠洲市で生まれました。

 

その後金沢美術大学日本画科在学中の1949年に

 

日本美術展覧会(日展)で初入選となり、

 

翌年に同校を卒業。

 

日本画家として活動し、日展への出品作品は

 

5回も受賞を重ねていきます。

 

しかし1961年からは洋画家に転身。

 

色気を持つ美しい女性像を描き続けた

 

木下孝則のもとで洋画を学んでいきました。

 

翌年にはアメリカに渡り

 

アカデミー・ファインアートで学んだ後

 

1965年に木下孝則が他の画家達と共に立ち上げた、

 

一水会の会員となります。

 

また1980年には日展で特選となり

 

60代の頃には一水会の常任委員

 

そして日展の会員を勤めています。

 

さらに1991年に珠洲市文化功労賞を授かり

 

1999年には紺綬褒章授章を受章。

 

同年に日本橋三越本店にて

 

個展を開催するなどして現在に至ります。

 

 

作風

 

寺井重三は椿やバラなどを題材とした

 

静物画も描いていますが、それらを含めて、

 

やはり師の木下孝則の影響が感じられる

 

と言われています。

 

寺井重三自身は女性画でよく知られている

 

木下孝則を尊重するかのように、

 

1997年に石川県七尾美術館の企画展で発表した

 

「踊り子シリーズ」のような、

 

女性をテーマにした作品をよく手掛けています。

 

 

関連用語の細かい解説

 

・一水会

 

1936年に創られた美術団体です。

 

清朝初期の技法書『芥子園画伝』中の

 

“十日一水五日一石”を命名の元として

 

二科会会員経験のある

 

石井柏亭を中心に立ち上がりました。

 

また他のメンバーも二科会出身者が多く

 

表層的な西洋絵画になっている傾向に反し

 

その伝統を守ろうとする目的がありました。

 

現在のメンバーは『麦の色わずかに青し』や

 

『潮騒』などの風景画を手掛ける

 

小川游を代表として、

 

名誉会員に川村親光や本山唯雄、吉野谷幸重の3人。

 

構成員の中には現在、

 

寺井重三の名は含まれていません。

 

・日本美術展覧会(日展)

 

1907年に政府によって創られた

 

文部省美術展覧会(文展)が元になっています。

 

現在も続いている日本画と洋画、彫刻と工芸美術、

 

書の5部門から成り立っている

 

最大規模の公募展となっています。

 

文展時代に日本で最初の洋画団体の明治美術会と

 

元明治美術会メンバーで構成された

 

白馬会との対立を解消させるために

 

政府が作ったのがきっかけとなっています。

 

部門一つでも非常に多くの会員が在籍しています。

 

 

安定を捨てて挑戦した寺井重三

 

寺井重三は洋画家になった理由は

 

当時の閉鎖的な日本画の世界に疑問を感じ、

 

一念発起した所にあるようです。

 

またその為に、安定した生活の糧であるはずの

 

教師としての仕事も辞めたと言われています。

 

苦労も多かったと思いますが、

 

寺井重三の生き方には勇気が持てます。

 

 

 

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