向井潤吉【洋画家】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

向井潤吉(むかいじゅんきち)

向井潤吉は1901年11月に京都市で生まれました。

兄は『蟻の城』や『勝利者の椅子』で知られている

彫刻家の向井良吉として知られています。

向井潤吉は1914年に

京都市立美術工芸学校予科に入りますが、

その2年後には洋画家としての道をあきらめきれず

親に反対されながらも中退。

中退した同年に関西美術院へ入学し

素描など洋画の基礎技術を磨いていきました。

その後19歳の時には家には話さずに

川端画学校に通う為に上京。

第7回二科会展において出品した

『八月の鉢』が入選となります。

1927年にはヨーロッパに移り住み、

ルーヴル美術館で模写をしたり、

フォービスム作品を学び自身の作品にも取り入れるなど

自己鍛錬に励みました。

パリにあるアカデミー・ドラ・グラン・ショーミエール

へ入り、その次の年にはサロン・ドオトンヌに

出品します。

約3年間の滞在を終え29歳で日本に帰国すると

第17回二科会展において渡欧時に制作した作品が

特別出品となり、樗牛賞を獲得しました。

やがて1936年には二科会会員となるものの

その翌年に陸軍報道班員となり

戦争記録画に携わることとなります。

戦後の1945年には行動美術協会を設立し

その後ヨーロッパに渡って各地を描いた後、

1995年11月にこの世を去りました。

作風

向井潤吉の作品の特徴は、自身が渡り歩いた場所を

まるで写真と見間違うくらいに、

徹底的に写実的に描いている所です。

特にその中でも1945年から40年ほどの歳月を掛けて

発表してきた草屋根の民家を描いた作品群は、

良い意味で日本の土壌感さえ感じる雰囲気が

魅力的です。

またとにかく多数の作品を手掛けており、

埼玉県を題材にしたもので340作品。

長野県の風景を描いたもので205作品もあります。

なおルーヴル美術館で学んでいた頃は

模写をしたりフォービスムに挑戦したりなど

川端画学校や関西美術院での経験も考えると

徹底した修行の経験が写実的かつ多量の作品を

生み出したと言えます。

■フォービスム

20世紀序盤のフランスで始まった絵画運動で

衰えの見え始めた印象派の作品に

抵抗感を持った作家達が、

優しげな雰囲気の印象派とは対照的に

原色をメインに使った明るい配色と荒いタッチで

作品を描いているのが特徴です。

■行動美術協会

戦争に破れた日本から立ち直るべく、

また二科会の再興のきっかけもあって設立された

洋画や彫刻の作家集団です。

■アカデミー・ドラ・グラン・ショーミエール

1902年に創られた私立の美術学校です。

20世紀のモダニズム彫刻を象徴する

アルベルト・ジャコメッティが、

若かりし頃通っていたり、日系アメリカ人として

日本とアメリカで美術活動を行っていた

イサム・ノグチが学んでいたことで有名です。