前田昭博は、1954年
鳥取県八頭郡河原町に生まれました。
23歳で大阪芸術大学工芸学科陶芸専攻を卒業すると
大学時代に出会った「白磁」に没頭していきます。
以後、日本陶芸展や日本伝統工芸展などで
入選を果たしたのを皮切りに、29歳からは
新匠工芸展で2年連続で佳作賞を受賞
また、フレチャー国際陶芸展で入選するなど、
数々の賞を受賞していきました。
そのほか42歳の時には、企画展「凛」現代の陶芸美展に
招待作品として出品したりと
精力的に作品展などにも出品しています。
また、国際的にも活動を行っており
1998年にスイスで開催された
第5回国際現代磁器トリエンナーレ展では
入選を果たしています。
これらの功績から前田は
53歳の時に紫綬褒章を受章し
2013年に白磁の技術で
重要無形文化財保持者に認定されました。
前田昭博の作品に見られる特徴は
その優しい造形美に象徴されています。
それは、前田が鳥取県の
自然豊かな山村に生まれ育ったことに
少なからず起因しています。
自然に対するその審美な感覚は
作品にも影響しており、本人も
自然の中に優しい美を感じていたと語っています。
美しい自然に溢れている光に対する感覚を
陶芸制作にとっても重要な位置付けとして捉えており、
「一般的な磁器が持つ、硬質で
撥ねつけるような印象ではなくて、温もりのある
柔らかさを感じさせる磁器を追求したい」
と語っています。
前田はそのような信念から
独自の磁器の表現性を確立していきました。
前田昭博の白磁作品は
美しく滑らかな白色無地の器の面や
しとやかなねじれ状の文様が
施されているのが特徴です。
長年培ってきた伝統的な技法を基本に
豊かな芸術性ある表現と
モダンな息吹を織り交ぜた独自の作風が
国内外で高く評価されています。
制限された要素の中に秘める
無限に広がる白磁の可能性に着目し
伝統と革新的な創造という課題に
正面から向かい合って創作活動に打ち込む姿からは
前田昭博の崇高な精神性を垣間見れます。
そのような創作姿勢が
独自の白磁の技術、世界観を築いていきました。
現在では自身の創作活動に加えて
後継者の育成にも積極的に力を注いでいます。
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