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骨董品
2019/06/20

内田宗寛【工芸作家/漆芸】

内田宗寛(うちだそうかん)

 

内田宗寛は1883年に千葉県柏崎市で、

 

塗師のニ代目勘三郎の長男として誕生しました。

 

高等小学校卒業後はしばらく家の手伝いを

 

行っていましたが、20代前半に

 

農商務省の漆器練習生となるため上京。

 

基礎を学んでから一時は故郷に戻りますが

 

29歳になると農商務省からの依頼で、

 

漆器産地での指導の為に各地を飛び回ります。

 

また本人も、刀の鞘塗りの名手として知られる

 

鈴木喜助から教えを受けたり、

 

赤塚自得からの言葉により研究に励むなど

 

精進の日々が続いていきます。

 

 

 

★赤塚自得に酷評される

 

内田宗寛は赤塚自得から

 

「あなたの棗(なつめ)はまるで素人のようだ」

 

と言われました。

 

棗とは、実用性と見た目の美しさを

 

両立させた茶器の事です。

 

赤塚自得は蒔絵の伝統を守り、

 

一貫した作風を崩さずに制作を続けた事で

 

知られていますが、蒔絵は実用と見た目の美しさが

 

重視されてきた一面があります。

 

そう言った歴史的背景も赤塚自得は熟知していたから

 

出た言葉なのかもしれません。

 

とは言え内田宗寛はその赤塚自得や、

 

壮大な作品作りで知られている同じ蒔絵師の

 

植松包美氏の作品に漆塗を施し、

 

同時に棗についても研究していきました。

 

 

★作風を確立し地位を高める

 

内田宗寛は1914年に、故郷にて川上不白を祖とする

 

江戸千家から茶道を学び、

 

そこから一つの作風を確立させます。

 

黒塗りの簡素的なものが棗のあるべき姿と考え

 

また独自に研究を続けていきました。

 

その中の代表的な作品の一つが

 

倣正倉院香木形平卓であり、

 

正倉院御物を模倣したその作品は

 

品位高いものとして知られています。

 

そして1941年に技術保存資格者に認定。

 

1970年には優秀漆工技術者になるなど、

 

名実共に代表的な漆芸家となりました。

 

 

 

■学びに完成がない事が伝わる

 

内田宗寛は100歳まで生きましたが、それは

 

研究と鍛錬の歴史でもあったように感じます。

 

農商務省の漆器練習生としてもそうですし、

 

また工業試験所の漆器研究室において

 

三上博士達からも教えを受けていました。

 

しかしその上で赤塚自得から

 

「あなたの棗(なつめ)はまるで素人のようだ」

 

と言われたとなると、茶器の奥深さと、

 

茶器制作の学びには完成がないのだと言う事が

 

内田宗寛を通して伝わります。

 

 

 

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