会津八一とは【俳人/歌人/會津八一/秋艸道人】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

会津八一は1881年に新潟市で生まれました。小学校、中学校と進学していきますが、この頃から身体を動かす遊びから遠ざかり、俳句を制作するなど文筆活動をするようになります。同時期には、俳句雑誌『ホトトギス』に投稿を開始しました。18歳で『金色夜叉』や『多情多恨』などで知られていた尾崎紅葉と出会い、また同年、現在の早稲田大学となった東京専門学校での、翻訳家や小説家として活躍した坪内逍遙の講演に参加。翌年には俳句雑誌『ホトトギス』などで、俳句や短歌の普及に務めた正岡子規とも知り合っています。

この時期は会津八一にとって感性を磨いてきた時期とも言えますが、特に正岡子規からは様々な事を学び、漢詩や和歌についても興味を深めたほか、俳句にはより一層打ち込むようになりました。

翌年、『東北日報』上で俳句選者として活躍し、1902年、早稲田大学文学科へ入学。在学中には英文学を学びながら、小泉八雲や坪内逍遙、イギリス人詩人のキーツなど、多方面の分野の指導を受けたことで美術史学についても知見を広めていきました。卒業後、会津八一は新潟県の中学教師となり、並行して俳句や俳論などの作品を制作。奈良旅行をした際には仏教美術やその歴史にも魅かれ、自身の作品には短歌が増えていきます。

その後29歳で上京して、早稲田中学で後進の指導を行うこととなっていますが、同時に美術史についても学びを深めていきました。この間、転居先の住まいには「秋艸堂」と名付け、また自身初の歌集も出版するなど、上京後も作品の発表は続けています。

1926年からは奈良美術史や東洋美術史についても教鞭を執り、5年後の1931年には早稲田大学の教授として就任。仏教美術史についての論文が出版されるなど、美術史家としても名を広める一方で、50代から60代にかけて歌集や書画、随筆など、多くのジャンルの作品を発表していきました。

1949年からは個展を開催しており、1951年には新潟市の名誉市民に選定され、同年には『會津八一全歌集』によって読売文学賞を獲得しています。晩年も歌人、または美術史家として活躍を続けますが、1956年に息を引き取りました。

会津八一が奈良で見た仏教美術を歌に詠んだことや、また書家としても優れ、骨格が明快な分かり易い作風で作品を遺したこと。美術史家としての論文の出版など、多岐に及ぶ分野での活躍がその特徴と言えるでしょう。

会津八一は生い立ちからでも感じ取れるように、学びを深めると同時に後進の指導に強く貢献した所も評価されています。

会津八一が興味を深めたきっかけとしては奈良旅行がよく取り上げられている他、尾崎紅葉や正岡子規との交流からも大きな影響を受けました。

さらに世にまだきちんと認められていない頃の良寛和尚の作品を好み、会津八一がそれを正岡子規に伝えている所には相互影響がある事が伺えます。ちなみに学生時代には、小泉八雲の名も知られている、ラフカディオ・ハーンからも教わっています。

代表作

最初の歌集『南京新唱』（1924年発表）にそれからの作品を加えた1940年に出した『鹿鳴集』。

1947年発表の書画図録『書跡集』などがあります。

■正岡子規

『俳諧大要』や『ホトトギス』などでの活躍が知られています。

物事を客観的に分析した写生論による句作りで、国内の近代文学に影響を与えました。

■尾崎紅葉

『三人妻』『金色夜叉』などが知られている小説家です。物語を口語文体で進めるかたちが話題を呼びました。