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骨董品
2018/06/28

加藤孝造【人間国宝/瀬戸黒】

加藤孝造(かとうこうぞう)

 

今年で83歳を迎える加藤孝造は

 

「瀬戸黒」の重要無形文化財保持者、

 

いわゆる人間国宝です。

 

無形文化財とは、歴史上または芸術上

 

文化的価値の高い、演劇・音楽・工芸技術などの

 

無形の文化的所産です。

 

日本では、無形文化財のうち特に重要なものを

 

「重要無形文化財」に認定しており

 

その保持者は俗に「人間国宝」と呼ばれています。

 

そして加藤孝造は、「瀬戸黒」の技法において

 

平成22年に人間国宝に認定されました。

 

その他にも、紫綬褒章、岐阜県重要無形文化財、

 

美濃陶芸協会名誉会長など、

 

数々の優秀な肩書を持っています。

 

 

 

「瀬戸黒」とその歴史

 

加藤孝造は、陶芸技法のひとつである「瀬戸黒」で

 

独自の作風を確立しました。

 

ここでは、この「瀬戸黒」というものについて

 

大まかにご紹介します。

 

 

「瀬戸黒」とは、岐阜県南東部の、

 

愛知県との県境に位置する土岐市・多治見市・

 

瑞浪市・可児市で製作される美濃焼のひとつで

 

この地方は、「東濃地方」と呼ばれています。

 

そして「瀬戸黒」の瀬戸とは、

 

愛知県瀬戸市の「瀬戸」からきているのでは

 

と考えてしまいそうですが、

 

そうとは断言できません。

 

ちなみに愛知県の瀬戸市で作られた焼き物は

 

「瀬戸黒」とは別に瀬戸焼と呼ばれています。

 

実は、東濃地方と愛知県瀬戸市は

 

県境で区切られてはいるものの

 

職人も、釜の作り方も、

 

陶土を産出する粘土層も同じであり

 

美濃焼と瀬戸焼に実質的な違いはありません。

 

美濃焼のひとつに「瀬戸」黒があるのも

 

こういった事情があるためと考えられています。

 

 

 

瀬戸黒は、焼き物の歴史とは切っても切り離せない、

 

茶の湯の歴史の中で生まれました。

 

織田信長が天下人となった天正のころに初めて作られた

 

とも言われており、

 

「天正黒」と呼ばれることもあります。

 

室町時代、日本国内の茶道では

 

中国的な華麗さが特徴の書院台子茶が好まれており

 

茶碗も唐風の天目茶碗が使用されていましたが、

 

次第に素朴・簡素が特徴の「侘び茶」が

 

好まれるようになっていきました。

 

茶聖と称される千利休は

 

この「侘び茶」の完成者として知られていますが、

 

静かで内包的な利休好みで作られた焼き物のひとつが

 

この「瀬戸黒」です。

 

侘び寂びの美意識で作られた「瀬戸黒」は

 

余計なものが削ぎ落とされ

 

形状はごくシンプルな筒状のものが多く、

 

茶碗の足の部分である高台は

 

極端に低くデザインされています。

 

そして、その美しい漆黒は

 

焼成中の釜から真っ赤なうちに引き出し、

 

急速に冷やすことで生み出されます。

 

この工程から「引出し黒」と呼ばれることもあり

 

このように鉄釉を漆黒に発色させる技法は、

 

京都の黒楽も同様です。

 

 

両者の違いは、京都の黒楽が「手びねり」で成形され

 

「低火度」で焼成されているのに対し、

 

美濃の瀬戸黒は、「ろくろ」で成形され

 

「高火度」で焼成されている点にあります。

 

 

 

加藤孝造の作風と来歴

 

加藤孝造の作品は

 

「気品や風格の中に、ぬくもりや穏やかさを感じる佇まい」

 

と表現されることが多くあります。

 

「志野」と「瀬戸黒」の重要無形文化財保持者である

 

荒川豊藏に倣い、加藤孝造は穴窯のある

 

志野・瀬戸黒・黄瀬戸で独自の技法を確立しました。

 

これは「孝造黒」「孝造志野」と呼ばれています。

 

加藤孝造は昭和10年、岐阜県瑞浪市で生まれました。

 

多治見工業高校卒業後、18歳になった昭和28年、

 

岐阜県陶磁器試験場で場長である

 

陶芸家・五代加藤幸兵衛に陶芸の指導を受けます。

 

ここから、加藤孝造の陶歴が始まりました。

 

加藤は洋画の才能にも恵まれていましたが

 

昭和30年に岐阜県陶磁器試験場工芸科の

 

主任技師に就任したあたりから

 

進路を陶芸に定めます。

 

以来、数々の賞を収め、還暦を迎えた平成7年に

 

「志野」「瀬戸黒」の技法で

 

岐阜県重要無形文化財保持者に認定され

 

75歳になった平成22年には「瀬戸黒」で

 

重要無形文化財(人間国宝)に認定されました。

 

 

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