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2018.10.04
骨董品

中川衛【人間国宝/彫金】

中川衛(なかがわまもる)

 

中川衛は1947年、石川県にて生まれました。

 

実家は元々農業をしていましたが、

 

24歳で金沢美術工芸大学の産業美術学科を

 

卒業すると同時に、松下電工に入社します。

 

その後家庭の事情で実家に戻り、

 

農業を手伝う傍ら、石川県工業試験場にて

 

働くようになります。

 

故郷に戻る前はデザイナーとして働いていた

 

中川衛は、自身の経験を通した

 

地域貢献を考えていました。

 

そんな中であったのが、現代の加賀象嵌に

 

大きく貢献した、高橋介州です。

 

高橋介州からは加賀象眼について学び

 

1979年、日本伝統工芸展初入選したのを皮切りに

 

彫金家としての才能を見せ、2004年、57歳で

 

人間国宝として認定されています。

 

 

 

作品の特徴

 

中川衛の作品は

 

デザイナーとしての経験が活かされた

 

現代らしいスタイリッシュな雰囲気がある所が

 

特徴だと言われています。

 

高橋介州とは違う作風を模索していた中川は

 

鉄や赤銅、朧銀などを作品に使った事で

 

新しい加賀象嵌のスタイルを生み出し

 

話題となりました。

 

また平象嵌や鎧象嵌と言った

 

難しい技法を施している点も、

 

中川衛ならではの特徴と言われています。

 

 

 

加賀象嵌について

 

安土桃山・江戸前期に活躍した

 

大名の前田利長によって始まったと

 

言われています。

 

平象嵌の上から、糸状の金属を当て込む糸象嵌が

 

特徴と言われており、色金を使った鎧象嵌や

 

埋金と言った技法も使われています。

 

加賀象嵌は花瓶や香炉などにも用いられた

 

言わば嗜好品でしたが、技術者の減少や

 

高価であることで技術者の数は減り

 

第二次世界大戦が決定的となり

 

しばらく途絶えていました。

 

そこを復興させたのが、高橋介州などでした。

 

 

 

その他の細かい技法について

 

・赤銅

 

銅の中に0.3割ほどの金を入れた素材です。

 

硫酸銅やミョウバンの液で煮ると

 

黒がかった紫色へと変化します。

 

・朧銀

 

別名、四分一とも言われます。

 

銅を3割、銀を1割使った素材のことで

 

器物の蒔絵にも使われる梨子地で

 

光沢を消す技法の事も指します。

 

・平象嵌

 

金属や陶磁器などの素材に

 

別の素材を当て込む技法を指します。

 

 

 

加賀象眼を後世に伝える中川衛

 

中川衛は現在、作家として活動しながら

 

金沢美術工芸大学工芸科で非常勤講師として

 

勤務しています。

 

また金沢市制百周年記念事業として

 

1989年に立てられた

 

金沢卯辰山工芸工房でも指導しています。

 

加賀象眼の技術を多くの人に伝え

 

後進の育成にも励んでいます。