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2018.03.27
骨董品
茶道具

ムラーノガラス ~ヴェネツィアングラス~

ムラーノガラスとは

 

ムラーノガラスはイタリアのヴェネツィア、

 

ムラーノ島の工房で作られたガラス工芸品で

 

いわゆるヴェネツィアングラスといわれているものです。

 

日本の九谷焼や有田焼の様に

 

土地の名前が入った工芸品です。

 

 

ムラーノガラス1

 

 

ヴェネツィアで作られたグラスの始まりは

 

7.8世紀頃とも、10世紀頃とも言われ

 

明確には分かっていないようですが

 

ムラーノガラスが作られているムラーノ島に

 

工房が集まったのは13世紀のことです。

 

 

当時、東方貿易で東方諸国の産物を

 

ヨーロッパに独自供給していた

 

ヴェネツィア共和国は

 

その中で最も珍重されていたガラス製品を

 

自国で生産して、利益をあげたい

 

と考えました。

 

しかし、ヴェネツィアでは原材料や燃料を

 

産出することが出来ない為、

 

原材料の仕入れ先である他国に

 

ガラス制作の技法が漏れ

 

コピーや類似品が出回ることを恐れます。

 

そこでヴェネツィア共和国は

 

最も進んだ技術を持っていた

 

アンティオキアと協定を結び、

 

1291

 

「ガラス製造業者および工人・助手、

 

家族等のすべてをムラーノ島に移住させ

 

島外に脱出する者には死罪を課す」

 

という政策を打ち出しました。

 

大胆な政策ではありますが

 

これには技術流出を防ぐだけでなく、

 

ガラスの溶解炉が火元となる火事の被害を

 

最小限に抑える目的もありました。

 

 

家族や販売者と共に

 

狭い島内に押し込められた職人たちでしたが、

 

互いに切磋琢磨し

 

ローマ帝国やイスラム時代の

 

ガラス技術を取り入れるなど

 

独自の技術が進歩していきます。

 

作品の中にはグラステーブルや鏡、

 

シャンデリアなどの名品もあり

 

その繁栄が最も高まった15.6世紀には

 

ヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」を作るために

 

12人の職人が

 

島から連れ出されたといわれています。

 

 

現在では継承者が年々減っており、

 

マエストロと呼ばれる

 

ムラノガラスの上級職人は

 

わずか20数人だそうです。

 

 

ムラーノガラスの特徴

 

世界中で評価されているムラーノガラスですが

 

公式でない模造品が多く出回っています。

 

ムラーノガラスは鉛を含まない

 

ソーダ石灰を使用する事が特徴で

 

数種の鉱物を混ぜることで

 

多様な色合いを表現するものですが、

 

装飾性も非常に高く

 

吹きガラスという基本的な技法から

 

空中で吹くことにより極薄に吹き上げる技法、

 

さらにグラスを細く引き伸ばして

 

竜や花などをモチーフにした

 

複雑な装飾を施すなど

 

「軽業師の妙技」と呼ばれる

 

高度なテクニックが用いられています。

 

 

ムラーノガラス2

 

 

こういった作品が

 

確実にムラーノ島で作られたことが分かる方法としては

 

ヴェネツィアングラスのイメージ・伝統を守り

 

購入者にも本物であることを保証するための

 

職人組合プロモヴェトロ協会による

 

登録商標ラベルが付いていることを

 

確認すると良いでしょう。

 

ムラーノ島で、

 

1000年にわたって受け継がれてきた

 

伝統的な製法だけを用い、

 

マエストロの手によって作られた作品であることを証明する

 

唯一の公的証明書です。

 

 

ムラーノガラス3