アラビアはフィンランドの陶器メーカーです。
元々は1873年に
スウェーデンの陶器メーカー、ロールストランド社の
子会社として設立されました。
当初ロールストランド社は
隣国のロシア市場への進出を考えており
アラビア設立から10年ほどは
白地のシンプルなものを製造していました。
それから20世紀初頭ごろまでは
研究を重ねながらロシア向けの食器や陶器、
また銅版転写による
ディナーセットを製造していましたが
徐々にヨーロッパ全土で
民族ごとに異なるそれぞれの芸術性が
注目されはじめ、アラビアでも
高い装飾技術が生まれていきます。
1916年になると、
第一次世界大戦の影響によって
ロールストランド社に売却されたアラビアは
正式に独立しました。
初代社長となった
カール・グスタフ・ヘルリッツは
労働環境や製造過程を見直し
工場を拡大していき
「美しい日常」を
会社のスローガンとして掲げます。
また、制作方法の簡略化や
大量生産が重視される中で
彼はデザイナーたちの芸術性を
特に重視しました。
それによって美しいデザインが
次々と生み出されたアラビアの作品は
1937年、パリ万国博覧会で金賞を受賞し
会社は成長を続けていきました。
スローガンとなった
「美しい日常」という言葉は
1940年代の第二次世界大戦の戦時中、
また戦後も稼働を続けた工場と
フィンランドの人々を支え
多くのデザインを生んでいきます。
特に20世紀中頃は
アラビアにとっての黄金時代となり
カイ・フランクやウラ・ペロコッペといった
優秀なデザイナーが多く採用されました。
アラビアは1990年になると
北欧リビング商品を取り扱う
「iittala」に買収されましたが
現在でも創業当初と同じ場所で
作品の制作を続け
そのデザイン性と機能性に優れた作品は
世界中で親しまれています。
1969年に
パラティッシというデザインを制作しました。
黒の輪郭線に青や黄色をメインとした色使いで
草花とそこにたわわに実る果実を
大胆に描いたものです。
色違いで、モノクロのブラックパラティッシ、
紫とオリーブ色を使った
パープルパラティッシも人気があります。
1946年、
アラビアのアート部門所長となった以降も
自身で数々のデザインを生み出しました。
シンプルな白一色で無駄なものを省いたキルタ
また人物が描かれたエミリアと
パストラーリシリーズの
フォルムデザインも手がけました。
鮮やかなコバルトブルーで
独特な模様が描かれたバレンシア、
グレーの地に
ぽってりとした丸みのある形で描かれたアネモネ、
ブラウンを基調としたコスモスなど
温かみや深みのあるデザインを
多く生み出しました。