川崎小虎【日本画家/岐阜県/大和絵/行樹社】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

川崎小虎(かわさきしょうこ)は1886年5月に岐阜市で生まれました。なお本名は川崎隆一と言います。明治画壇を代表する画家でもある祖父の川崎千虎など芸術に強い家系でもあったため、10歳に満たない頃から、祖父に大和絵について教わっていました。川崎千虎が亡くなった後でもある1902年には、その川崎千虎が教えた中でも一番優れた弟子とされる小堀鞆音から引き続き大和絵について学習。なおその前から近所に住んでいた関係から、安田靫彦などからは故実についても教わっています。

その後19歳になった川崎小虎は東京美術学校へ進学し、日本画のみならず南画や洋画について学習。5年後に卒業すると小・中学校で教鞭を執って経験を挟み、20代半ば頃になると画家の水島爾保布(みずしまにおう)や広島晃甫(ひろしまこうほ)などと共に行樹社を設立しました。この団体では価値観の固まった日本画について新しい模索をすることをテーマに活動し、4度の展示を行っています。こうして少しずつ自身の作品制作に置いても腕を磨いていき、1914年には文部省美術展覧会において出品した『つき草』が初入選。またその2年後に同展にて発表した『花合せ』は特選となりました。

以降も積極的に作品を発表し、やがて1943年には東京美術大学の教授として務めると同時に、山本丘人や東山魁夷、加藤栄三達と共に国土会を結成。その後も1961年には日本芸術院恩賜賞を獲得し、80代になると武蔵野美術大学の名誉教授になるなど活躍を続けていきます。そして1977年1月、91歳で息を引き取りました。

川崎小虎は活動初期は言わば優等生的で品の良い大和絵を描いていきましたが、そこから伝説や歴史を扱ったロマン性の高いスケールの大きな作品。

また人間や動物に対しての喜び溢れる作風へと変化し、活動終盤は近くにある自然や動物を題材にして描いたと言った特徴があります。

川崎小虎が行樹社を立ち上げた頃、美術の世界では作家性を歓迎する動向になりつつあり、それが上手く、それからの川崎小虎の成功に繋がったと言われています。また1939年には小堀鞆音の教え子による朱弦会の活動にも参加。1940年には国土会メンバーともなる東山魁夷と川崎小虎の娘が結婚するなど、画業やプライベートでも忙しくなりますが、その同年には従軍画家としてアジア方面にも赴きました。

80歳も越えた1968年には脳溢血が原因で左手しか使えなくなってしまいますが、以降も水墨画を描き続け、毎年コンスタントに作品を発表と言ったように、その創作姿勢は現在でも評価されています。

他の代表作

1912年に行樹社の活動の一環として発表した『聖書を持つ少女』と『夜の蔵』。(いずれも岐阜県美術館が所蔵)

1924年第5回帝国美術院展覧会作である『春の訪れ』や『萌え出づる春』などがあります。

■小堀鞆音(こぼりともと)

1864年に栃木で生まれた日本画家です。最初は兄や父から教わっていたものの、川崎千虎に平安時代からの貴族の重要ステータスだった、有職故実と言う決まり事について指摘されたのをきっかけに弟子入りしました。

■大和絵

平安時代中盤に発生した学術的な形式に沿った絵画の事を指します。

それまで遣唐使の派遣で受けていた影響から離れるように、日本の自然や文化を柔和なタッチで鮮やかに描いてるのが特徴です。

なお日本画は鎌倉時代後半になっては、中国の宋元画などから影響を受けた絵画の事を指します。