渡辺省亭【日本画家】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

渡辺省亭(わたなべせいてい)

渡辺省亭(本名:義復)は、1852年12月に

江戸神田で生まれました。

秋田藩に仕えながら、和歌をたしなむなど

芸事に関心のある父を持っていましたが

母と父は結婚しておらず、10代はじめに父を失うと、

渡辺省亭は奉公に出されることとなっています。

やがて16歳の時には、和・漢・洋の技法を知り

歴史画にも深い菊池容斎から学びますが、

菊池容斎は見えているものを

そっくりに描く事を課してきました。

しかしその課題を乗り越えた渡辺省亭は

写実的かつ事細やかなタッチと言う、

日本画の根底にある技能を身に着けます。

その後独立すると、20代前半頃から

日本の貿易会社の元とされている、

起立工商会社において輸出工芸品の為の

下絵図案を描くこととなりました。

ここではその社風から

国外でも好まれる画風を学んだほか、

工芸品に適した図についても知識を深め

2年後の第1回内国勧業博覧会において

出品した金きゅう図案は花紋賞を獲得します。

またその間となる1876年には仕事のため

フランスに渡り、西洋文化を見聞きした事で

新しい作風を見出していきました。

以降もその活躍は続き、

1878年のパリ万国博覧会で銅牌を獲得し

1883年にはアムステルダム万博にて銀牌を受賞。

1905年にはセントルイス万国博覧会で

金賞牌を受賞すると言ったように、

海外でも高い評価を得、その名を広めていきます。

そして1918年、68歳で息を引き取りました。

代表作には『雪中群鶏図』や

『牡丹に蝶の図』などがあります。

作風など

渡辺省亭は洗練されていてかつ、気高い作風で

自然の事細かな機微を捉えた花鳥画を描きました。

これは日本の美術界を牽引する

アーネスト・フェノロサや岡倉天心など

多くの人から支持されています。

また金や銀、銅などの金属にガラス性の釉薬を使った

工芸品の七宝焼の図案や、木版画の製作。

そう言った海外向け製品の作成に

携わった経験もあり、現代でもその花鳥画は

デザイン的だと評判を獲得しています。

また、小説の挿絵画家としても活躍していきました。 

名声も手にしながら孤高となった渡辺省亭

渡辺省亭が起立工商会社で働けたのは、

菊池容斎の下で修行を積んだ、

渡辺省亭の実力が認められたからだ

と言われています。

起立工商会社では有田焼などを輸出していますが

七宝工芸の革新には渡辺省亭の活躍もある

と言う指摘もあります。

またフランス滞在の際、パトロンの開いた

サロンで絵を描くと、その技術力の高さから

大いに支持を得ました。

このように国内外で強く評判を得た渡辺省亭ですが

弟子を迎え入れることなく

画壇にも参加していなかかった為に、

孤高の画家と言われています。