原精一【洋画家】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

原精一(はらせいいち)

1908年2月に神奈川県藤沢市で生まれました。

原精一は1923年の中学生時代に、

第1回の円鳥会に出品していた

日本のフォービスムの草分け的存在でもある

萬鉄五郎の作品を見たことがきっかけで、

画業に進む決心をし、やがて弟子入りを果たします。

また同じ年に川端画学校でも学び、

円鳥会への作品発表も行い、1926年からは

中学の先輩でもあり、簡略的ながら力強い作風の

鳥海青児からも学ぶようになりました。

なお同じ1926年に設けられた

国画創作協会洋画部において、

出品した『四月風景、水彩』が初入選となり

翌年の第5回春陽会でも

『冬田』が初入選をするなど、

受賞を重ね続けていきます。

1936年には春陽会の会友に推薦されますが

1941年に戦争に駆り出されます。

しかしその間もスケッチを行い

1942年の第20回春陽会展で『笛吹き』などによって

岡田賞を獲得すると同時に、春陽会会員となりました。

1957年からはヨーロッパや東南アジアなどへの

旅行を度々行い、やがて60代後半になると

女子美術大学の教授に就任しています。

そして1986年5月、78歳で息を引き取りました。

作風

原精一はデッサン力が高く

また素早く描く事で有名です。

なおデッサン展や本として

『原精一デッサン集』も出しています。

1935年から一貫して裸婦画を

多く描いている事で知られており

豪快に躍動感のあるものとして仕上げています。

なお師匠の萬鉄五郎との作風の違いを

比較される事が多く、萬鉄五郎の作品には

大胆なタッチのフォービスムや多角的な視点を

一枚のキャンバスで表現した

キュビズムがあるのとは違い、

原精一の場合は油彩特有のタッチで

写実的寄りに表現している事で知られています。

関連用語の細かい解説

・川端画学校

1909年に円山派に忠実な花鳥山水画で知られている

帝室技芸員でもある川端玉章によって、

東京都小石川下富坂町で設立されました。

原精一や今西中通などの洋画家を多く出していますが

当初は日本画家を育てる事に重点が置かれ

また研究所として見なされていました。

・国画創作協会

1918年に日本画家でありながら

西洋近代絵画の影響を受けた

作品作りで名を馳せた土田麦僊と

東洋と西洋の描き方を合わせ、宗教的な雰囲気を

色濃く表現した村上華岳。

日本の自然を詩的な世界観であふれる

穏やかな雰囲気で描いた小野竹喬等によって

創られました。

文部省美術展覧会の審査に関して

疑問を持った事をきっかけに

自由な作品制作及び発表の為に立ち上げ

1928年に解散しますが、そこに版画部と

写真部を加えた国画会として受け継いでいきます。

戦時中でも衰えなかった原精一の情熱

原精一は兵士として呼び出されていた時期は

戦争画家としてではなく兵士として

戦地を駆けながら

数百枚にも及ぶスケッチを描いています。

それは原精一自身の内なる情熱からによるもの

と言われており、

戦時中でも衰えることの無かった情熱には

学ぶべきものがあります。