菊池一雄【彫刻家】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

菊池一雄(きくちかずお)

菊池一雄は1908年5月に京都府京都市で生まれました。

父は大和絵をベースにした人物画で有名な

日本画家の菊池契月として知られており、

菊池一雄が彫刻家として道を歩む

きっかけになったと言われています。

その後進学し、第一高等学校文科の

学生となった1928年には、

オーギュスト・ロダンの助手の経験のある藤川勇造から

彫刻について学ぶ機会を得ました。

菊池一雄の学びはそれだけに限らず、同時に

『磯菜摘』や『かどつけ』などの絵画作品が知られる

洋画家の小林万吾が開く同舟舎絵画研究所にも

足を運んでいます。

なお次の年から二科技塾において

塑像の作品制作を開始。

1930年の第１７回二科展においては

『カリスト君』と『トルソ』が

初入選を果たしています。

1932年には在学していた

東京大学文学部美学美術史学科を卒業し

本場で彫刻を学ぶためにその4年後に渡欧。

フランスの近代彫刻を発展させたと言われている

シャルル・デスピオから学びます。

その後約3年間の留学から帰国すると

1940年の第5回新制作協会展において

フランスで培った技術を元にした

『ギリシャの男』や『裸婦像』と言った作品は

招待出品作品となり、新制作協会会員にもなりました。

1945年には京都において

京都市立美術専門学校彫刻家の教授を務め

以降も1949年に毎日美術賞を受賞した

『青年像』など様々な話題作を世に発表し

1985年4月に息を引き取っています。

■同舟舎絵画研究所について

設立当初は美術予備校と言う概念はなく

研究所と言う呼び名もそこに起因しています。

なお同舟舎絵画研究所出身の他の作家としては

麻生三郎や寺田政明、清宮質文などがいます。

■新制作協会について

1936年に伝統を大切にしながら

新しい作品を発表する場として立ち上がりました。

また元々は猪熊弦一郎や小磯良平、内田巌と言った

帝展で活動した作家達によって構成されています。

帝展が改組となりその混乱の中、政治的背景を無くし

芸術を純粋なものにすると言う意思が現れています。

作風

菊池一雄の作品は洗練されたラインが特色です。

それは京都で生まれた事と、また父に限らず

祖父も楳嶺門下の四天王と言われるほど

名の通った日本画家の菊池芳文であるなど、

芸術の家系である事がまず起因している

と言われています。

様々な裸婦像を作り

特に1950年に電通からの発注で造った

『平和の群像』は、ヌード作品が

野外で初めて設置されたという事で、

作品は有名となりました。

とは言え1958年の広島平和公園の

『原爆の子の群像』や、1983年に高松市中央公園の

『平和の群像―あけぼのー』も含めて、

世界平和について提示すると言った目的があります。

学ぶ事を忘れなかった菊池一雄

菊池一雄は活動終盤となる1976年に

退官記念回顧展を開催。

また1982年には長野市野外彫刻賞において

出品した『転生』が受賞するなど、

活躍を見せています。

長きにわたって制作活動を続け

自身の表現を追求した菊池一雄は

終始彫刻に向き合い

学ぶ事を忘れなかった人物とも

言えるかもしれません。