加納夏雄【帝室技芸員/彫金】 | 骨董品などの遺品整理・買取は口コミで評判の買取専門店【くらや】

加納夏雄(かのうなつお)

加納夏雄は1828年4月に京都で生まれました。

実家は米問屋ですが1835年7歳の時に

刀剣商を営む加納治助の養子となり、

そこで刀の鍔や柄などに触れてきた事が

彫金家としてのきっかけとなります。

そして12歳の時、彫金師の奥村庄八に弟子入りすると

象嵌技術を学び、また14歳になると

円山四条派の絵師である中島来章から

写実の技術を取得しました。

やがて18歳で金工師として独立を果たし、

東京での活動をスタートさせます。

当初は刀装具の装飾に没頭していましたが、

その才能が徐々に認められていくと、

皇室からの仕事の依頼などを受けるまでとなりました。

こうして1876年、廃刀令によって

刀装具の装飾に携わっている者の多くが廃業となる中、

48歳であった加納とその才能は、すでに広く知られており

国内外で人気を高めていきます。

やがて62歳のときには、

百鶴図花瓶によって第三回内国勧業博覧会で

一等妙技賞を受賞。

1894年には、66歳で帝室技芸員に任命されました。

代表作としては、

鯉魚図額や百鶴図花瓶などがあります。

特徴

加納夏雄の特徴としては、

中島来章から学んだ経験が活かされた

下絵の出来の高さがまず取り上げられます。

そのため人や花や鳥などは

生命感に溢れていると言われており、

また象嵌技術にも勿論優れ、その気品の高さは

日本のみならず自身の作った起立工商会社により

大いに世界にアピールする事も出来ました。

技法

■象嵌

刀にも使われていた技法として知られています。

金属や陶磁器などの素地を彫ってから、

そこに別の材質のものを当て込みます。

■片切彫

加納夏雄は片切彫の技法が有名です。

江戸時代前期から中期に渡って活躍した

金工家の横谷宗珉が確立した技法として知られており、

一方を鏨で斜めに彫り

もう片方は垂直に彫り込んでいくものです。

また円山四条派の絵画の柔和な筆使いの技法を

彫金で表現したものとしても知られています。

作品の背景

加納夏雄は時代の移り変わりに翻弄されながらも、

その技術の高さが認められ

上手く対応できた彫金師と言えます。

1869年には宮内省から

明治天皇の使用する御刀金具の彫刻を依頼されるなど、

刀の装具を作り続けてきました。

ところが7年後の1876年には

廃刀令により刀の装具作りを終了するものの、

1871年の新貨条例時には

新貨幣の原盤作りに取り掛かっています。

また置き物や花瓶、煙草盆と言った

日常品作りを続けたことで、

廃刀令の後も自身の技術を活かしていきました。

その後も業績が讃えられる加納夏雄

加納夏雄は1898年にこの世を去るものの、

鋳造師の安倍胤斎によって

1910年にブロンズ像が造られます。

また加納夏雄自身も1890年に東京美術学校教授に就任し

続く後世に教えを広めていきました。