金森映井智は1908年2月に
富山県の高岡市にて生まれました。
高岡市は加賀藩の2代目藩主であった
前田利長によって鋳物産業が盛んとなった場所で
金森映井智自身も幼少期から
鋳物に興味を持っていたといいます。
そしてまもなく、彫金職人であり
第十二回帝国美術院展覧会への入選や、
ベルギー万国博覧会の名誉大賞の受賞を果たした
内島市平と出会った事で
彫金職人になる考えとなりました。
金森は高校卒業と同時に内島市平自身から
彫金や鋳金、板金や鍛金と言った技術を
本格的に学びんでいきます。
そして2年後に独立を果たし、1930年に
商工省第17回工芸展覧会に初入選及び褒状を受賞。
1989年には人間国宝となり
12年後の2001年11月に息を引き取りました。
金森映井智の作品の特徴は
まず高岡銅器(鋳物)の影響を
色濃く受けている所だと言われています。
高岡銅器自体が、そもそも1611年に
前田利長が高岡市に7人の鋳物師を呼んだことが
きっかけで始まり、以後現代においても
日本全国で使われる銅器のほとんどが
高岡市で作られています。
その高岡銅器は仏具や花瓶、茶道具や装飾金具など
ありとあらゆる所に影響を与え
確固たる美しい造形美は世界中で称賛されると同時に
金森映井智にも大きな影響を与えました。
金森映井智の作品には、鋳銅などの素地に
金や銀の線象嵌や布目象嵌が施されています。
また四条派の日本画家である中島秋圃からも
教えを受けていた影響もあり、草花の模様が
作品内に施してあるのも特徴のひとつです。
高岡銅器について
高岡銅器は鋳造と研磨、彫金と象嵌から
作品が作られていきます。
分業がされていますが、どの工程も
卓越した技術を持った職人によって作られています。
なお前述の通り高岡市は
日本で一番のシェアを誇る銅器生産地であり
像から茶器まで大小様々な道具が作られています。
四条派について
円山四条派とも呼びます。
18世紀中盤の京都を中心にして
自由な作風を求める動きが活発になりました。
円山四条派はその中でも
あくまで写実的である立場を取る、
と言う考えに至っています。
金森映井智はこの門下生でもありました。
金森映井智は、独立してから作家として
活動をスタートさせたと言われています。
高岡銅器は分業制であるため
作家として個性を発揮することは難しく
内島市平と出会わなければ自身が受けてきた影響を
ダイレクトに作品に反映させることは
難しかったと考えられます。
しかし金森映井智は1962年には
日本工芸会の正会員となり、技術の高さから
東照宮の立木観音堂天蓋金具の製作を
依頼されるほどとなりました。
この出来事は
金森の個性が認められたと同時に
技術の高さが立証されたといえるでしょう。
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