
もくじ
愛媛県松山市天山のイオンスタイル松山3階にある「買取専門店 くらや 松山店」では、骨董品・美術品をはじめ、時計や貴金属、ブランド品など幅広いお品物を査定・買取しています。その中でも、古くから多くのお客様よりご相談をいただく品目のひとつが「碁石」と「碁盤」です。
囲碁は日本の伝統文化のひとつとして広く親しまれ、単なる娯楽を超えて精神修養や礼儀作法の場でも重んじられてきました。碁石や碁盤には、単なる道具以上の「工芸品」としての価値が宿っています。特に本蛤(ほんはまぐり)の碁石や榧(かや)の碁盤は、質の高さや希少性から、美術的価値を持つものとして市場で高く評価されることがあります。
一方で、ご自宅に眠る碁石・碁盤について「古いから価値はないのでは」「傷がついてしまったから処分するしかない」と思われる方も少なくありません。しかし、実際には保存状態や素材によっては思いがけない高額査定につながることもあります。当店でも「祖父が愛用していた碁盤を査定してほしい」「押し入れに仕舞ったままの碁石に値がつくのか気になる」といったご相談を数多く受けてまいりました。
ただし、すべての碁石・碁盤が買取対象になるわけではありません。
例えば──
・プラスチック製の碁石:家庭用や入門者向けとして普及していますが、軽くて扱いやすい反面、美術的価値はなく買取が難しいケースが多いです。
・折り畳み式や簡易型の碁盤:実用には便利ですが、工芸品としての評価は低く、買取対象外となる場合があります。
・欠けや割れが多い碁石・盤:使用感が強すぎるものや、破損が目立つものは需要が乏しく、買取不可となることもあります。
このように「すべての囲碁道具が価値を持つわけではない」という点は押さえていただきたいポイントです。しかし一方で、適切な素材・保存状態であれば大きな評価につながるものも少なくありません。
碁石と碁盤は、ただの「遊び道具」ではなく、素材や craftsmanship(職人技)、そして日本文化の奥深さを映し出す存在です。その価値を正しく理解し、次の世代へ受け継いでいくためにも、専門的な知識を持つ鑑定士による査定は欠かせません。
次章からは、碁石・碁盤の起源や歴史を紐解きながら、どのように現在の評価につながっているのかを解説してまいります。
囲碁は約4000年の歴史を持つといわれる世界最古のボードゲームのひとつです。発祥は古代中国に遡り、日本へは奈良時代に伝わったとされています。当時は貴族や僧侶の間で知的な遊戯、あるいは精神修養の一環として親しまれ、やがて武士や庶民にも広がっていきました。碁石や碁盤は単なる道具ではなく、文化や思想を体現する存在として位置づけられてきたのです。
平安時代には貴族の間で嗜まれ、鎌倉・室町期には寺院や武家に広まりました。特に江戸時代に入ると、徳川幕府は囲碁を「四家」と呼ばれる本因坊家・井上家・安井家・林家に保護させ、職業棋士の制度を整えました。この時代、囲碁は単なる娯楽ではなく、将棋と並ぶ知識人のたしなみ、さらには外交や礼法の場でも重視されたといわれています。
碁盤・碁石もまた、この文化の発展とともに進化しました。江戸期には、榧(かや)の一枚板から削り出された重厚な碁盤や、伊勢産の蛤を加工した真珠のように白く美しい碁石が用いられるようになり、贅沢な道具として武士や豪商に珍重されました。
囲碁は「宇宙観を表すゲーム」としても知られています。広大な宇宙を象徴する19×19の碁盤、その中に打ち込まれる一つ一つの碁石は星のように無限の広がりを示します。そのため碁盤や碁石は単なる娯楽道具ではなく、哲学的・宗教的な意味も込められてきました。
例えば禅僧の間では、碁を打つことが「心を映す修行」とされ、集中力や無心の境地を体験する手段でもあったと伝わります。そのため碁盤や碁石は、茶道具や書画骨董と同様に「精神文化を表す道具」として受け継がれてきたのです。
明治時代になると、西洋文化が急速に流入する中でも囲碁は衰えることなく、むしろ新聞社の棋戦などを通じて広く大衆に普及しました。昭和期には日本棋院や関西棋院が組織化され、名人戦・本因坊戦といった大規模な公式戦も始まり、碁石・碁盤の需要はますます高まりました。
また、この時代には家庭でも囲碁が娯楽として広まり、贈答品として碁盤・碁石が重宝されるようになります。そのため、戦後の日本家庭には「一度も使っていない碁盤が押し入れに眠っている」といったケースが多く見られるのです。現在の買取市場に出回る碁盤・碁石の多くは、このような時代の産物であることが少なくありません。
碁石や碁盤は、素材によってその価値が大きく左右されます。見た目の美しさや手触りだけでなく、耐久性や希少性も評価のポイントです。ここでは代表的な素材や特徴について整理していきましょう。
碁石は「白石」と「黒石」の組み合わせで構成されますが、その素材には明確な違いがあります。
最も高級とされるのが「蛤(はまぐり)碁石」です。特に三重県・スワブ蛤から作られた「本蛤碁石」は、白く透明感のある縞模様が特徴で、真珠のような美しさを持ちます。
・産地:伊勢(三重県)産が最高級品とされ、現在は採取困難で希少価値が高い
・特徴:縞目が細かいほど上質とされ、「雪印」「月印」「日印」とランク分けされる
・価値:未使用や保存状態が良い場合、非常に高額査定につながる
近年は国産蛤の資源が枯渇し、メキシコ産の蛤を使った碁石が主流となっていますが、それでも国産と比較すると評価はやや落ちます。
黒石の最高級品は「那智黒石」と呼ばれる紀州・那智地方で採掘された碁石です。深い黒色と艶が特徴で、白石とのコントラストが非常に美しいとされています。
・産地:和歌山県那智地方
・特徴:漆黒で均質な石質、研磨によって美しい光沢を放つ
・価値:産地証明のあるものや、均一性の高い石は高評価
碁盤の最高級材とされるのが「榧」です。木目の美しさ、打ち心地、音色のすべてに優れ、古来より囲碁愛好家に愛されてきました。
・特徴:淡黄色で緻密な木目、打ち込んだ際に「カン」という澄んだ音が鳴る
・希少性:国産榧は伐採制限が厳しく入手困難、特に九州産榧は最高級とされる
・価値:厚みのある一枚板は数十万円以上の価値を持つことも
榧に似せて作られる「新榧」や、松・桂を用いた碁盤も多く流通しています。見た目は榧に近いですが、木目や打ち心地はやや劣ります。
・特徴:榧より軽量で手に入りやすい
・価値:実用性はあるが、骨董的価値は限定的
碁石と碁盤は、単体でも価値を持ちますが、揃っていることで一層の評価を受けます。特に「蛤碁石+那智黒石」+「榧の碁盤」という組み合わせは最上級とされ、未使用または保存状態が良ければ市場でも高値が期待できます。
碁石や碁盤を査定する際、鑑定士は「素材」「状態」「希少性」「付加価値」を中心に判断します。その評価ポイントは市場価値と直結しており、需要の動向によって査定額も変動します。ここでは査定基準と、実際の市場での評価傾向を合わせて解説します。
まず最も大きな要素は「素材」です。
・碁石:蛤碁石や那智黒石は高評価。プラスチック製は基本的に買取対象外。
・碁盤:榧(かや)は最高級材で高額査定。新榧や松・桂は実用品としての評価に留まります。
・碁石:欠けや黄ばみ、艶の有無をチェック。
・碁盤:反りや割れ、日焼けによる変色がないか。保存状態が良いほど評価が上がります。
・碁石:厚みのある「36号(10.1mm)以上」は高級品として扱われます。
・碁盤:厚みのある一枚板ほど評価が高い傾向にあります。
碁石は白180個・黒181個の合計361個が揃っていることが理想。欠品があると減額対象になります。専用の桐箱や木箱が残っていればさらに好評価です。
画像にあったような棋士のサイン入り碁盤は、特別な付加価値が認められます。
・名人や本因坊、名誉称号を持つ棋士のサインはコレクション性が高い
・イベントや贈答品由来の証明があるとさらに価値が上がる
近年は囲碁人口の減少もあり需要は一部縮小しましたが、本格的な碁石・碁盤については依然として高い評価があります。
・蛤碁石(36号クラス):数万円〜十数万円
・那智黒石:数千円〜数万円
・榧碁盤(一枚板・厚みあり):数万円〜数十万円
・サイン入り榧碁盤:通常の榧碁盤に数万円〜十数万円のプレミアが付く場合も
需要は「実用品」「コレクション」「贈答用」の3方向から支えられており、保存状態と付加価値次第では想像以上の査定額につながることがあります。
ある日、松山市内からご来店いただいたお客様が「古い碁石が家に残っているのですが、値がつくのでしょうか?」とご相談くださいました。お持ち込みいただいたのは、木製の碁笥(ごけ)に収められた白石と黒石のセット。箱も残されており、丁寧に保管されていたことがうかがえました。
拝見すると、白石は蛤碁石、黒石は那智黒石で揃っており、揃いの361個がほぼ完品の状態で残っていました。白石には蛤特有の縞模様が確認でき、黒石も艶がしっかりと残っており、保存状態としても申し分のないものでした。
お客様は「父が囲碁好きで使っていたものですが、私は囲碁をしないので、処分するしかないと思っていました」とのお話でした。ご本人はあまり価値を期待されていなかったご様子でしたが、蛤碁石と那智黒石のセットであること、そして欠品がない完品であったことから、しっかりとした査定額をご提示することができました。
査定結果をお伝えすると、お客様は「まさか碁石だけでこんなに評価していただけるとは思わなかった」と大変驚かれ、喜んでご売却くださいました。
碁盤がなくても、碁石のみで十分に価値がある場合があるという好例です。特に蛤碁石や那智黒石は、囲碁愛好家やコレクターからの需要が高く、盤とセットでなくても査定対象となります。
碁石や碁盤は、日本の伝統文化を象徴する道具であり、単なる娯楽を超えて精神性や工芸的価値を持つ存在です。蛤や那智黒石の碁石、そして重厚な碁盤は、代々受け継がれてきた思い出とともに、現在でも多くの愛好家に求められています。
今回ご紹介したように、保存状態が良い高級碁石や厚みのある碁盤は、市場で高い評価を得られることがあります。また、棋士のサイン入りなど付加価値のあるお品物は、コレクション性が加わり、より一層注目されます。
「古くて汚れているから値はつかないだろう」と思われるお品物でも、意外な価値を秘めていることがあります。碁石・碁盤とあわせて、将棋盤をお持ちいただくケースも多く、囲碁・将棋道具全般をまとめて査定することで新たな価値が見いだされることも少なくありません。
当店「買取専門店 くらや 松山店」では、店頭での査定はもちろん、重量があり持ち運びが大変なお品物に対応する出張買取も承っております。ご実家の整理や遺品整理の際にも安心してお任せください。
大切なお品物を次の世代へとつなぐために──碁石や碁盤のご売却は、信頼と実績の 買取専門店 くらや 松山店 にぜひご相談ください。
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買取専門店 くらや 松山店
所在地:愛媛県松山市天山1丁目13-5 イオンスタイル松山3階
営業時間:10:00~19:00(年中無休)
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