
もくじ
今泉今右衛門(いまいずみ いまえもん)は、佐賀県有田町に窯を構える「今右衛門窯」の当主が代々襲名する名跡です。その歴史は350年以上にわたり、日本の陶芸史の中でも特に重要な位置を占めています。初代が有田焼の産地である有田に窯を築いたのは江戸初期とされ、当時は佐賀藩の御用窯として、将軍家や大名家に献上される高級磁器を制作していました。
中でも「色鍋島」と呼ばれる技法は、精緻な上絵付けと高い品格で知られます。江戸時代には庶民が手にすることはほぼ不可能な“特権階級のための器”でした。やがて時代の変化とともに御用窯制度が廃止され、色鍋島の技法は衰退の危機に陥りますが、この伝統を救ったのが十三代 今泉今右衛門です。彼は失われかけていた技術を古陶磁の研究や再現実験によって蘇らせ、その成果は高く評価されました。
以降、十四代・十五代と続く今右衛門窯は、伝統を守りながらも現代的感覚を取り入れた作品を発表。特に十五代は柔らかく淡い色彩表現やモダンなデザインを加え、国際的な評価を得ています。現在の当主は「重要無形文化財(色絵磁器)保持者」として、単に技術を保存するだけでなく、現代の生活空間や価値観に調和する作品を生み出し続けています。
今泉今右衛門という名は、単なる陶芸家の家系を超え、日本の美意識・職人魂・文化財保護の象徴ともいえる存在なのです。
色鍋島は、江戸時代の鍋島藩窯で生まれた上絵磁器の最高峰であり、その特徴は洗練された意匠と格調の高さにあります。白磁の素地に、藍・赤・黄・緑などの鮮やかな彩色を施し、花鳥風月や幾何学文様を緻密に描きます。特徴的なのは「余白の美」で、構図の中にあえて空間を残すことで、品のある静けさと深みを生み出します。
今右衛門窯の色鍋島は、ただ古典を模倣するのではなく、時代ごとの美意識を取り入れた進化が見られます。十三代は伝統復興を徹底し、十四代はモチーフや構図に独自のアレンジを加え、十五代は柔らかなグラデーションや淡彩を用いて現代的な空気感を作品に吹き込みました。こうした進化が、国内外の愛好家を惹きつけ続けています。
色鍋島の技法を復活させた功績者。失われていた天然呉須や釉薬の調合を古文書から復元し、重要無形文化財保持者に認定されました。研究者としての情熱と職人としての妥協なき姿勢が高く評価され、作品は美術館収蔵品となっています。
父の復興技術を基盤に、より大胆な構図や現代的要素を取り入れた作品を制作。国内外の展覧会に積極的に参加し、色鍋島の魅力を世界へ発信しました。
現代の生活空間に調和する柔らかな色彩表現を確立。現代アート的な感覚と伝統工芸の融合を試み、若い層からの注目も集めています。現在も重要無形文化財保持者として制作と後進育成を行っています。
今右衛門窯の作品は、花瓶、飾皿、茶器、酒器、香炉など多岐にわたります。
特に市場で評価が高いのは、
・大花瓶:大胆な花鳥図や四季草花を描いた高さ40cm前後のもの
・大皿・飾皿:直径30〜40cm以上で展示向けに作られたもの
・茶器揃:共箱入りで状態が良いものは贈答品需要も高い
・香炉:上部透かし彫りや精緻な絵付けが施されたもの
保存状態や制作年代、共箱・共布の有無によって査定額は大きく変わります。
ここ数年、色鍋島の需要は国内外で拡大しています。特に海外のコレクターは「人間国宝の作品」として高い評価を与えており、日本国内より高値で取引されるケースも増えています。日本国内ではバブル期に購入されたコレクションが相続のタイミングで市場に出ることも多く、希少な図柄や初期の作品が見つかることもあります。
・絵付けの精緻さ:線が揺れず、発色に濁りがない
・釉肌の透明感:磁器の白が青みを帯び、柔らかな光沢がある
・共箱と書付:直筆サイン・落款と共布の一致
贋作は精巧でも、色の深みや筆致の緊張感で差が出ます。
先日、松山市内のお客様が「祖父のコレクションの中に、箱入りの鉢があるので見てほしい」とご来店されました。お持ちいただいたのは、共箱入りの今泉今右衛門作『色鍋島 大根文 五寸高台鉢』。白磁の余白を活かした構図に、瑞々しい大根と葉を藍・緑・黄の鮮やかな色彩で描いた、大変上品な一品でした。
五寸(約15cm)という使いやすいサイズながら、高台の高さと端正な形状が格を添え、飾っても実用しても映える逸品です。共箱には作家名と作品名がしっかりと記され、内部には共布としおりが揃っており、保存状態も極めて良好でした。お客様のお話によると、贈答品として譲り受けてから一度も使用せず、長年大切に保管していたとのことです。
当店の鑑定士は、絵付けの精緻さ、釉薬の透明感、高台の仕立て、さらに縁起物として人気の高い「大根文」という題材の価値を総合的に評価。近年の色鍋島作品の市場需要も考慮し、適正かつ高水準の査定額をご提示しました。お客様は「思いがけない高評価で驚いた」と喜ばれ、「価値のわかる方に引き継いでほしい」とご成約いただきました。
くらや松山店では、このような色鍋島の高台鉢や皿類も専門知識をもって丁寧に査定いたします。縁起の良い文様や共箱付きの作品は高評価につながる場合が多く、お持ち込みいただく価値があります。
・共箱・共布・しおりの有無
・状態の良し悪し(傷、ヒビ、退色)
・作者の肩書と制作年代
当店は骨董品・美術品の専門知識を持つ鑑定士が常駐し、有田焼・色鍋島の市場動向も熟知しています。愛媛県内の出張査定に対応しています。
今泉今右衛門の作品は、単なる器や鑑賞品ではなく、日本の美意識や職人の魂、そして何百年も続く有田焼の歴史を背負った“文化財”ともいえる存在です。特に色鍋島は、江戸時代から大名家の御用磁器として培われた格調の高さを持ち、現代の暮らしにおいても凛とした存在感を放ちます。
今回ご紹介した「色鍋島 大根文 五寸高台鉢」のように、絵柄や形状、保存状態、さらには共箱や付属品の有無によって価値は大きく変わります。また、縁起物や季節を感じさせる文様は、国内外のコレクターや美術愛好家の間で特に人気が高く、高評価につながることが多いです。
くらや松山店では、こうした美術品・工芸品を単なる“物”としてではなく、お客様の思い出や歴史を伴った「物語ある品」として丁寧に扱います。市場動向や作家の評価を踏まえ、適正かつ誠実な査定を心がけています。
もしご自宅や蔵、押し入れの奥に「これは価値があるのだろうか」と気になる陶磁器や骨董品がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。店頭へのお持ち込みはもちろん、愛媛県内の出張査定も承っております。大切なお品を未来へつなぐために、私たちが全力でお手伝いいたします。
愛媛で色鍋島・有田焼の買取をご検討の際は、ぜひ「買取専門店 くらや 松山店」へご相談ください。
【店舗情報】
買取専門店 くらや 松山店
所在地:愛媛県松山市天山1丁目13-5 イオンスタイル松山3階
営業時間:10:00~19:00(年中無休)
お問い合わせ:089-950-4334
駐車場 : あり/無料 1,140台
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