
もくじ
こんにちは。愛媛県松山市で骨董の買取をしている「買取専門店 くらや 松山店」です。
先日、愛媛県松山市のとあるご家庭から「不用品を整理していたら、古い急須が出てきたけど、価値があるかわからないので見てほしい」とのご相談を受けました。私は骨董品買取の経験から、こういった依頼には「思わぬお宝」が眠っていることがあると直感し、さっそく出張買取に向かいました。
依頼主のお宅に到着すると、すでに庭先には大量の古い食器や雑貨がまとめられ、処分の準備が進められていました。その中で、目に留まったのが、一見すると素朴な茶色い急須。ホコリをかぶり、長年使われていないようでしたが、私はすぐにそれが「宜興朱泥の急須」であることに気付きました。
「これは、少し見せてもらってもいいですか?」と尋ねると、依頼主は「これですか?もう何年も使ってないし、割れてもいないけど、ボロボロで価値なんてないですよ」と苦笑い。なんと、そのまま処分する予定だったとのこと。
しかし、私は急須を手に取ると、その質感、形状、そして底に刻まれた銘を確認しました。紫砂の滑らかな質感と独特の重量感、さらには名工の落款が入っていることから、これは本物の宜興朱泥の急須であると判断しました。
「実はこれ、中国の宜興という地域で作られた、伝統的な朱泥の急須なんです。作られた時代や職人によっては、価値がつくことがありますよ」とお伝えすると、依頼主は驚いた様子。「えっ、こんな古い急須が?ずっと棚の奥にしまってあって、誰も使わなかったのに…」と信じられない様子でした。
依頼主は「こんな古いものに価値があるなんて、驚きです。捨てる前に相談して本当に良かった」と感謝され、最終的に買取を決断。買取金額をお渡しすると、「祖父が使っていたものだけど、ずっと放置していたから、これから大切にしてくれる人の手に渡るのは嬉しいです」とホッとした表情をされていました。
もしもあの時、私が目を留めなかったら、ゴミとして処分されていたかもしれません。
骨董品は、持ち主の意図とは関係なく長い時を超えて価値を持ち続けることがあります。
「これはもう使わないし、価値なんてない」と思う前に、一度ご相談いただければ、思わぬ掘り出し物が眠っているかもしれません。
「不要品=無価値」と決めつけず、お気軽に査定をご依頼ください!
今回は朱泥の急須についてお伝えします。
是非、最後までお付き合いください。
朱泥(しゅでい)の急須は、中国の宜興(ぎこう)や日本の常滑(とこなめ)で作られる赤みを帯びた陶土で作られた急須のことです。その特徴的な赤色は、鉄分を多く含む粘土を高温で焼成することで生まれます。特に、日本では常滑焼の朱泥急須が有名です。
朱泥の急須の特徴は
急須自体が適度に熱を蓄え、均一に茶葉を蒸らすことができます。特に玉露や煎茶などの日本茶に適しています
① 紫砂(しさ)陶土の優れた性質
宜興で産出される紫砂(しさ)には以下のような特徴があります。
特に、**朱泥(しゅでい)**の急須は、鉄分が豊富でお茶の旨味を引き出す効果が高いとされています。
② 宜興紫砂壺の主な種類
宜興の急須には、使用される土の種類や焼成の方法によって異なる種類があります。
種類 | 特徴 |
朱泥(しゅでい) | 鉄分が多く、赤みを帯びた色合い。高温焼成により硬質になる。 |
紫泥(しでい) | 紫がかった色合い。最も一般的な紫砂壺の素材で、耐久性が高い。 |
本山緑泥(ほんざんりょくでい) | 緑色がかった陶土。珍しく、流通量が少ない。 |
天青泥(てんせいでい) | 灰青色の土。貴重で、価格も高め。 |
中でも朱泥は、高温焼成による硬質で滑らかな質感があり、日本茶・中国茶ともに適した急須とされています。
③ 宜興の名工と紫砂壺の歴史
宜興の紫砂壺は、**明代(16世紀)**に発展し、清代(17~19世紀)には皇帝や貴族の間で愛用されるようになりました。伝統的な急須の製作は「手作り」が基本で、名工による作品は数十万円から100万円を超えることもあります。
有名な宜興の紫砂壺の名工
これらの名工の作品は、投資対象や美術品としても評価されています。
朱泥の急須は、使い込むほどに色艶が増し、お茶の味が変化すると言われています。これは、朱泥の多孔質な性質により、茶葉の成分が徐々に染み込むからです。例えば、緑茶を淹れ続けると甘みが強くなり、烏龍茶では香りが豊かになるといった変化が起こります。
「急須を育てる」と聞くと、不思議に思う方もいるかもしれません。でも、特に**朱泥の急須(宜興紫砂壺や常滑焼)**は、使い込むほどに風合いが増し、お茶の味が変わると言われています。
これは、朱泥が持つ多孔質の性質が関係しています。つまり、使い込むことで茶葉の成分が急須に染み込み、「自分だけの急須」に成長していくというわけです。
朱泥の急須が育つ理由は、その素材の特性にあります。
多孔質構造(細かい穴が空いている)
→ お茶の成分が少しずつ急須に染み込むことで、味わいが変化する。
無釉(むゆう)の焼き締め
→ 釉薬(うわぐすり)がかかっていないため、茶葉の旨味や香りが吸収されやすい。
使い込むと色艶が増す
→ お茶の成分が馴染むことで、朱泥の急須は美しい飴色へと変化する。
つまり、朱泥の急須は使うほどに「味を記憶する」茶器。毎日同じお茶を淹れ続けることで、より深みのある味わいになるのです。
数年〜数十年使い続けた急須は、以下のように変化していきます。
色の変化
味の変化
手触りの変化
このように、急須は年月とともに成長し、「自分だけの茶器」になっていくのです。
急須を育てることは、単なる道具の管理ではなく、お茶を淹れる楽しみそのものです。
例えば、10年後、20年後に「この急須で淹れるお茶は格別だ」と感じられたとき、それは自分が時間をかけて育てた証になります。
また、親から子へと受け継がれる急須もあり、「家族の歴史を刻む茶器」としての役割を果たすこともあります。
「急須を育てる」とは、日々の積み重ねでお茶の時間をより豊かにすることなのかもしれません。
宜興の朱泥急須は世界的に人気があり、オークションでは数百万円以上で取引されることもあります。しかし、その価値を狙って偽物も数多く出回っています。
「顧景舟(こけいしゅう)」や「時大彬(しだいひん)」などの著名な作家の名前を騙った偽物が多く出回っている。
本物と偽物の見分け方
朱泥の急須は、使い込むほどに味わいが増し、お茶をより美味しくしてくれる魅力的な茶器です。そして、中には歴史的な価値や作家の技が詰まった逸品も少なくありません。
もし、ご自宅に「使わなくなった急須」や「祖父母の遺品で眠っている朱泥の茶器」があれば、それは思わぬ価値を秘めたお宝かもしれません。
「こんな急須、価値があるのかな?」と気になったら、ぜひ一度ご相談ください。
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