
もくじ
愛媛県松山市、イオンスタイル松山三階にある
買取専門店 くらや 松山店では、日々さまざまな陶磁器のご相談をいただきます。
その中でも、特に多いのがこんな声です。
「これは備前焼らしいけど、価値があるのか分からない」
「釉薬もなくて地味だし、有名じゃないですよね?」
実は、備前焼は見た目だけでは価値が分かりにくい焼き物です。
今回ご紹介する**小西陶古(こにし とうこ)**は、そんな備前焼の世界を、初心者の方にも理解しやすくしてくれる“手がかり”を持った窯元です。
この記事では、
・備前焼とは何か
・小西陶古とはどんな存在なのか
・なぜ評価されているのか
を、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。
備前焼は、岡山県備前市伊部(いんべ)で作られてきた、日本を代表する焼き物のひとつです。
最大の特徴は、釉薬(ゆうやく)を一切使わないこと。
多くの焼き物は、表面に釉薬をかけて色やツヤを出しますが、備前焼は、
・土そのものの質
・薪窯で焼いたときの炎や灰
によって表情が生まれます。
そのため、一つひとつの作品に
「まったく同じものが存在しない」
という魅力があります。
一見すると地味に見えるかもしれませんが、使い込むほどに味が増すのが備前焼の大きな特徴です。
小西陶古は、備前焼の産地・伊部で活動してきた窯元の名前です。
つまり、「一人の作家名」というより、代々受け継がれてきた焼き物の系譜を指します。
初代から二代へと続いた小西陶古の窯は、
・安定した焼成
・丁寧な作り
・分かりやすい備前焼の魅力
を大切にしてきました。
そのため、備前焼に詳しくない方でも「これは備前焼らしい」と感じやすい作品が多いのが特徴です。
小西陶古を語るうえで、よく出てくる言葉が**桟切(さんぎり)**です。
桟切とは、焼成中に器の一部が高温と低温を行き来することで生まれる、
・青み
・黒み
・褐色
などが混ざり合った、独特の色合いのことを指します。
難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、
炎の当たり方によって偶然生まれる模様です。
小西陶古は、この桟切の表情が美しく出ることで知られ、
「桟切の陶古」と呼ばれることもあります。
小西陶古の作品には、以下のようなものが多く見られます。
・花入
・水指
・茶碗
・宝瓶
・香合
いずれも、派手さよりも使いやすさを重視した作りです。
特に茶道具は、
・手に持ったときの安定感
・置いたときのバランス
がよく考えられており、「道具として完成している」と評価されます。
初心者の方が見ても、
「使われてきた理由が分かる」
そんな作品が多いのも、小西陶古の特徴です。
備前焼の査定で、とても大切なのが**共箱(ともばこ)**です。
共箱とは、作家や窯元が作品のために用意した木箱のこと。
箱の蓋には、
・小西陶古
・作品名
などが書かれていることが多く、これがあることで、
「誰の作品か」
「どんな作品か」
が分かりやすくなります。
箱がないからといって価値がゼロになるわけではありませんが、
箱があることで評価がしやすくなるのは確かです。
今回ご紹介するのは、小西陶古の備前焼 水指をお持ち込みいただいた際の買取エピソードです。
お客様は
「家族が茶道をしていたときに使っていたもの」
「箱はあるけれど、価値があるのか分からない」
とお話しされ、少し不安そうな様子で来店されました。
拝見すると、水指は備前焼らしい土味がしっかりと感じられ、全体に落ち着いた焼け色。その中に、ところどころ桟切(さんぎり)特有の色の変化が見られました。
派手さはありませんが、長く使われてきた道具ならではの、静かな存在感がある一品でした。
今回の水指には、共箱と栞が揃っていました。
箱の表書きには「水指」、そして「陶古」の文字。栞には
「備前焼 小西陶古」
と明記されており、どの窯元の作品かがはっきり分かる状態でした。
備前焼は、見た目だけでは評価が難しい焼き物ですが、
・共箱
・箱書き
・栞
が揃っていることで、作品の背景を正確に読み取ることができます。初心者の方にとっても、安心して評価につなげやすい大きなポイントです。
水指は、茶道具の中でも実用性が強く求められる道具です。
そのため査定では、
・口造りが整っているか
・フタとの収まりは良いか
・ヒビや水漏れがないか
といった点も丁寧に確認します。
今回の水指は、使用感はあるものの大きな傷みはなく、日頃から大切に扱われてきたことが伝わる状態でした。
査定後に、
・小西陶古が備前焼の窯元であること
・桟切という焼けの特徴
・水指としての評価ポイント
を一つずつご説明すると、
「ただの古い焼き物だと思っていました」
「ちゃんと見てもらえてよかったです」
と、安心されたご様子が印象的でした。
備前焼や茶道具は、分からないまましまわれていることが多いジャンルです。
しかし、共箱や栞が残っていることで、価値を正しく伝えられるケースも少なくありません。
小西陶古の備前焼は、見た目の派手さよりも、土と炎がつくる自然な表情を大切にした焼き物です。
とくに水指や茶碗といった茶道具は、実際に使われることを前提として作られており、長く使い込まれることで味わいが深まっていきます。
今回の水指のように、
・共箱や栞が残っている
・備前焼らしい焼けや景色が出ている
・大きな傷みがなく、丁寧に扱われてきた
といった条件がそろうと、初心者の方が思っている以上に、しっかりと評価につながるケースも少なくありません。
備前焼や茶道具は、
「価値があるのか分からない」
「古いから売れないのでは」
と、そのまましまわれていることが多いジャンルです。
しかし、分からないからこそ、一度専門店で見てもらうことで、作品の背景や魅力がはっきりすることがあります。
買取専門店 くらや 松山店では、陶磁器や茶道具について、初心者の方にも分かる言葉でご説明しながら査定を行っています。
ご自宅に、使わなくなった備前焼の器や、箱に「陶古」と書かれた作品がございましたら、処分する前にぜひ一度ご相談ください。